現役世代の「私」のお金・健康に関するお役立ち情報

“親”の介護で離職して、”親”の介護に日々追われ、”自分”の老後は後まわし?

「親の介護をどうするか?」だけで決めない!「自分の老後をどうするか?」も一緒に考えよう。

 

親が70歳に近づいてくると、頭をよぎるのは介護の問題。介護は突然やってくることも多く、元気なうちから準備しておくことが重要となります。

実際に介護をしている人で一番多いのは誰なのかを見てみましょう。

 

 

介護者で最も多いのは誰なのか

 

厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概要」における主な介護者の状況をみると、同居家族が54.4%、別居の家族等が13.6%となっており、同居して介護しているケースが多いことがわかります。

同居の介護者の年齢層は男女とも「60~69歳」が最も多いという結果が出ています。要介護者と同居の介護者の関係性をみると、「配偶者」が23.8%と最も多く、次に「子」が20.7%、「子の配偶者」が7.5%となっています。

別居の家族を含めて全体の子の割合を見てみましょう。

「子20.7%」、「子の配偶者7.5%」、「別居の家族13.6%」を足すと41.8%となり、主な介護者の約半数近くが子どもたちであることがわかります。離れていると親の介護が難しいのではと考えてしまいますが、実際は別居の家族も介護者として多く関わっていることがわかります。

 

 

老老介護は危ない!子どものサポートは不可欠

 

 

65歳以上の高齢者の介護を65歳以上の高齢者が行うことを「老老介護」といいますが、こういうケースもいまや珍しくありません。高齢であるがゆえに体力的にも精神的にも介護者の負担は大きく、共倒れになってしまう可能性もあります。

そうならないためにも子どもが介護に関わり、サポートしていく必要があります。片親が亡くなった場合はなおさら、子どものサポートは不可欠となってきます。

親の介護はある日突然始まるかもしれません。そのとき子どもはどう動くべきなのか、家族、きょうだい間で話し合っておくとよいでしょう。

 

 

介護と仕事の両立は可能か?

 

子どもが親を介護するとなると、真っ先に頭によぎるのは、「介護と仕事の両立の可否」ではないでしょうか。果たして親の介護をしながら現在の仕事は続けられるのでしょうか。
結論から申しますと、仕事を辞めて介護に専念する「介護離職」はおすすめできません。親の介護のために仕事を辞めてしまうと、金銭面だけでなく、体力的にも精神的にもダメージが大きいといわれています。
仕事は介護から離れられる、いわゆる息抜きの時間となります。家族以外の人と関われる唯一の機会となり、気持ちもリフレッシュできます。外部の介護サービスをうまく利用すれば仕事を続けることはできますので、焦って仕事を辞めることはせず、ぜひ「仕事を辞めずに介護する」という選択をしていただきたいと思います。

 

 

介護離職すると、自分の老後も危うくなる!

 

学生の子どもがいる54歳の会社員のご家庭を例に、次の設定のもと介護離職した場合どうなるかをみていきます。

 

  • 要介護者80歳
  • 本人(会社員)54歳
  • 妻(パート)50歳
  • 子ども20歳と18歳
  • 貯蓄額1500万円
  • 介護期間10年

 

介護離職したときに退職金として1000万円を受け取ったとしても、その後は妻のパート年収のみとなります。子どもには学費や結婚資金などがかかりますし、自分たちの生活費、住居費などもかかります。到底妻の収入だけでは家族4人の生活は賄えないため、貯蓄の1500万円を切り崩しながら生活していかなければならないでしょう。

10年後の64歳、介護が終わったときには貯蓄額はマイナスになっている可能性も高く、そこから再就職できたとしても64歳からの収入は少ないでしょう。自分と妻の年金支給を合わせても自分たちの老後生活は苦しいまま、さらに借金が増えることにもなりかねません。

 

一方、仕事を続けながら介護をした場合では、60歳までの6年間は収入が続きます。もしその後会社で再雇用してもらえたら、なおラッキーです。介護に必要な費用をいくらか出したとしても貯蓄額がマイナスになることは回避できるのではないでしょうか。

自分の老後のこともしっかりと考えたうえで、介護と向きっていくことが大切です。

仕事をしながら介護を続ける場合、「介護休業」「介護休暇」という制度があります。

 

 

<介護休業とは>

 

労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業できます。93日を3回に分けて取得することもできます。

 

 

<介護休暇とは>

 

労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族の介護や世話をするための休暇です。対象家族が1人の場合は年5日まで、対象家族が2人以上の場合は年10日まで取得可能です。1日または時間単位で取得できます。

ぜひ勤務先での介護制度を確認してみてください。

 

 

介護はみんなで協力してやっていこう

 

1人でも2人でも多く、子どもや親族が介入して介護者の負担を軽くしてあげることが必要です。

 

  • 介護に参加できる人は子ども以外に誰かいるだろうか?
  • 食事、洗濯、掃除、入浴など、どの部分で介護が必要なのか?
  • 介護される側の気持ちは?
  • 介護事業所はどこまでサポートしてくれるのか?

 

など、介護する上で把握しておかなければいけないことはたくさんあります。

 

もちろん家族だけでは分からないことも多いと思います。ケアマネージャーに依頼すればケアプランを作成してもらうこともできますので、ぜひ相談してみましょう。

介護される人、介護する人の事情をしっかり考慮し、お互いが負担のない介護体制を整えていくことが重要です。そのためにも、親が元気なうちに老後の要望を聞いておきましょう。

介護は一人で抱えすぎないことです。外部のサービスや周囲の人の手を借りて、ぜひ自分の時間も大切にしてください。

 

 

 

おすすめ

 

当サイトは、皆さんの各種リテラシーをアップデートする情報やコラムを多数掲載しています。

 

特に、今回の解説に連動したこちらの記事はおすすめです。直下(黒いボタン↓)の 「続けてご覧になっていただきたい記事はこちら」 からご確認ください。

 

また、他の情報が気になる方には、下方の 「今回の記事に関連するおすすめ記事」 をおすすめします。お好みに合わせてご選択ください。

 

 

■ 続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:

 

家庭内・介護施設における“高齢者虐待”はなぜ起こるのか? 

 

 

■ 今回の記事に関連するおすすめ記事はこちら:

 

 

この記事は役に立ちましたか?

もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

関連記事