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5つの「ない」が下流老人への転落を招く

5つの力が無いと「老後貧乏」から「下流老人」に転落する!これってどういうこと?

 

下流老人とは一体どのような状態をいうのか。生活困窮者支援を行うNPO法人・ほっとプラス代表理事の藤田孝典氏は、著書「下流老人」で次のように定義しています。

“生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者”

下流老人には、今回紹介する5つの「ない」が共通して見られます。つまり、下流老人への転落を回避するには、この「ない」をなくすことが鍵となるのです。

 

※1出所:2020年破産事件及び個人再生事件記録調査(日本弁護士連合会消費者問題対策委員会)

 

 

 

下流老人への転落を招く5つの「ない」

 

冒頭の藤田氏は同著のなかで、下流老人には次の3つが「ない」としています。

①収入が著しく少「ない」

②十分な貯蓄が「ない」

③頼れる人間がい「ない」(社会的孤立)

 

総務省の調査によると、世帯主が65歳以上の高齢世帯のうち、貯蓄額4,000万円以上の世帯は全体の2割弱。一方で、貯蓄額100万円未満の世帯も1割弱あり、世帯間で大きな格差があることがわかります。

 

世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高階級別世帯分布(二人以上の世帯)-2021年

 

 

出典:家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果(総務省)

注)標準級間隔100万円(貯蓄現在高1,000万円未満)の各階級の度数は縦軸目盛りと一致するが、貯蓄現在高1,000万円以上の各階級の度数は階級の間隔が標準級間隔よりも広いため、縦軸目盛りとは一致しない。

※貯蓄保有世帯の中央値とは、貯蓄「0」世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の低い方から順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する世帯の貯蓄現在高をいう。

 

高齢者はお金持ちと思われがちですが、高齢期の相対的貧困率は現役世代よりも高く、その傾向は特に女性で顕著です。

 

男女別・年齢階層別相対貧困率(平成22年)

 

 

出典:平成24年版男女共同参画白書(内閣府)

 

高齢期の主な収入源である年金は、現役時代の年金保険料の納付状況や収入額によって決まります。現役時代の収入が少ないと受け取れる年金は減り、老後を迎えた時点で貯蓄がゼロというケースも少なくありません。

たとえ自分の収入や貯蓄で生活できなくても、子どもや親戚など、頼る人がいればなんとか踏みとどまれるかもしれません。家族や友人などとの会話や交流があれば、たとえ貧しくても精神的な豊さは保てるでしょう。

しかし、ワーキングプアが問題となっているように、子ども世代にも余裕がないケースが多く、引きこもりなどで子どもが親に頼って生活しているケースも増えています。

頼れる人がいないとなれば下流老人へ転落するリスクは一気に高まるでしょう。下流老人には気軽に会話したり、相談したりできる人がいない、いわゆる社会的孤立状態の人も多く、経済面、健康面の問題がより深刻化する要因になっています。

 

 

この3つに加えて次の2つが「ない」場合、下流老人へ転落し、最低限の生活さえままならない状況に陥りかねません。

④セーフティーネットの存在や利用方法を知ら「ない」

⑤計画性が「ない」

 

 

セーフティネットは存在を知らなければ利用できない段

 

日本には社会保障制度など、最低限の生活を送るためのセーフティネットが整備されています。生活に困窮する高齢者が利用できるセーフティネットとしては、例えば次のような制度があります。

 

 

これらのセーフティーネットを利用できれば、下流老人への転落を回避、あるいは転落しても最低限の生活は維持できるでしょう。しかし、セーフティネットを利用するには基本的に自分で申請する必要があります。制度の存在を知っているかどうかが明暗を分けるのです。

 

とはいえ、一般の人にとっては、どのような制度があり、利用条件や内容がどうなっているのか、詳細まで把握するのはなかなか難しいもの。最低でもセーフティーネットが用意されていること、どこに相談すればよいかは知っておきましょう。公的なセーフティーネットについて知りたい場合の相談先は、役所の相談窓口やファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家などです。

会社員や公務員は、社会保障や税金などの手続きを勤務先に任せっきりにしがちです。そのため、退職して手続きを自分でやらざるを得なくなって戸惑う人が少なくありません。問題に直面してから困らないよう、制度の内容や手続方法、相談先などは現役時代から少しずつでも身につけていきましょう。

 

 

計画性の有無が明暗を分ける

 

収入が少なくても、家計をうまくやりくりし、利用できる制度を利用できるかどうか。現役時代に計画的に資産形成を進め、老後を迎えてからも計画的にお金を使っていけば下流老人への転落を防げるケースもあります。

 

現役時代に比較的収入が高く、無計画にお金を使っても困らなかった人も油断は禁物です。年金生活になって収入が減っても生活水準を下げることは難しく、貯蓄を使い果たして「老後破綻」に陥る人には、もともと高収入だった人も少なくありません。

退職金でまとまったお金を手にして気が大きくなり、無計画に百万円単位のお金を使ってしまう人、慣れない投資に手を出し資産を減らしてしまう人もいます。

収入額、貯蓄額といった条件は同じでも、計画性の有無が明暗を分けるのです。

 

老後に向けて計画的に備えるにはどうすればよいのか。それには、まず80歳、90歳、100歳まで生きるとした場合にいくらお金が必要なのか、なるべく早い段階でシミュレーションしてみましょう。不足額の有無やその大きさがわかれば、いつまで、どのくらい働けばよいのか、何にどのくらいお金を使えるのかを逆算でき、行動に移しやすくなるはずです。

 

自分でシミュレーションを行うのが難しい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)など専門家に相談してみましょう。

 

 

 

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