「フレイル」とは、英語の「Frailty(フレイルティ)=脆さ」が語源だそうです。
「フレイル」という言葉、知っていますか?
日本の2015年の平均寿命は男性約80歳、女性87歳です。しかし健康寿命はというと男性71歳、女性74歳となっています。つまり男性は9年、女性は12年もの間、要介護の状態にあるというわけです。
そう遠くない未来、自分自身が要介護状態にならないようにするために知っておきたいのが、「フレイル」です。
フレイルって何?
フレイルとは、加齢とともに心身の機能が弱ってきた状態のことをいいます。簡単に言えば、健康な状態と要介護の間の状態にあるのがフレイルです。
フレイルという言葉はもともと「Frailty」からきていて、日本語訳をして「虚弱」という言葉が使われていました。
しかし、「Frailty」は加齢に伴う身体機能の衰えは適切な支援や介入が行われれば、要介護状態になることを防ぐことができることから、「虚弱」ではなく、カタカナ表記の「フレイル」が新たに誕生しました。
フレイルは、さまざまな要因があることから、3つに分類されます。
- 身体的フレイル
- 精神・心理的フレイル
- 社会的フレイル
筋力の低下により足腰が弱くなるなどの「身体的フレイル」だけでなく、認知機能の低下やうつの症状などの「精神・心理的フレイル」、1人暮らしや経済的困窮などの「社会的フレイル」もあります。
現在日本は高齢者人口が25%を超えています。2025年には75歳以上の後期高齢者が2,000万人を超える超高齢社会となります。
高齢者のフレイルにいち早く気づき、適切な介入が必要なのです。フレイルは高齢者の健康のために必要な概念といえます。
フレイルになりやすい人は
フレイルは加齢に伴い発症しやすいというデータがあります。高齢者よりも後期高齢者の方が割合は高く、以下のような持病がある場合もフレイルになりやすいといわれています。
- 糖尿病
- 慢性腎臓病
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 骨粗鬆症
- 運動器不安定症
- 認知症など
また、フレイルとともによく聞く言葉に「サルコペニア」があります。
サルコペニアは、加齢にともない筋肉量が減少していく現象です。サルコペニアが進むと、骨折や転倒によって寝たきりになる(要介護になる)可能性が高くなります。フレイルの人はサルコペニアを発症することも多いため、注意が必要です。
あなたは大丈夫?フレイルチェック
衰えを感じていても、それは加齢によるもので仕方ないと放置してしまっている方も少なくありません。要介護状態にならないためには、フレイルにいち早く気づき、予防することが大切です。
以下の5つの項目は日常の体調や活動に関わる内容です。当てはまるかどうかチェックしてみましょう。
3つ以上当てはまる方は、「フレイル」、1~2個当てはまる場合は「プレ・フレイル(予備軍)」の可能性があります。
本人が気づかない場合もあるため、家族や周りの人が気づいて知らせてあげることも大切です。
ほかにも、自分で筋力をチェックする方法に、「指輪っかテスト」があります。計測器などはつかわないため、すぐに試すことができます。
このテストはサルコペニアの危険度を知るため方法です。
まず、両手の親指と人差し指で輪っかを作り、その輪っかでふくらはぎの一番太い部分を囲むだけの簡単なテストです。膝の角度は90度の状態にし、肌の上から測りましょう。
ふくらはぎを囲めない、もしくはちょうど囲める場合はサルコペニアの危険性は低いといえます。
しかし、指とふくらはぎの間に隙間ができる場合は、サルコペニアの危険性が高くなります。早めに受診することをおすすめします。
あまり聞きなれていない方は、サルコペニアなの?フレイルなの?と思うかもしれません。
しかしながらこの2つはお互いに関連する状態であり、サルコペニアの可能性が高いのであれば、フレイルの状態にも近づいている可能性があるのです。
フレイル予防策
フレイル予防策は大きく3つ、食事、運動、社会参加です。この3つを今の生活にうまく取り入れていくことが大切です。
バランスのよい食事を心がける
1日3食、主食、主菜、副菜、汁物をバランスよく食べるようにしましょう。特に筋肉のもととなる魚や肉、卵、大豆製品などタンパク質は積極的にとるようにしてください。
適度な運動を習慣づける
運動をすることで、筋肉量が増えます。筋力低下による転倒や骨折のリスクも減ります。始めは無理をせず、自分のできることから始めましょう。継続することが大事です。
人と関わる機会を増やす
趣味のサークル活動や地域のボランティア活動などに参加する、友達とカラオケや食事に行くなど、どんなことでもいいのです。外出する機会が増えれば、筋力の低下を防げます。またそこには人との関わりがありますので、心の健康にもつながります。自分にあった活動を見つけてみましょう。
まとめ:若い頃からの習慣でフレイル予防を
自分が介護される側になる……そんなことは到底思いつかない人も多いでしょう。
しかし、ここに上げたフレイル予防策は、「じゃあ今日からやろう」と思ってもなかなか出来るものではありません。若い頃からの「習慣」が大事なのです。
これらの習慣は、フレイル予防だけではなく、生活習慣予防にも役立ちます。年を取ってからではなく、「若い頃から」の習慣にしていきましょう。
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