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介護対策の“はじめの一歩”「ジェノグラム」をご存じですか?

我が家に 「介護」 が発生したら、その担い手は誰になる?

 

突然ですが皆様は『ジェノグラム』というものをご存じでしょうか?

簡単に言うとジェノグラムは『家系図』のことを指します。

この記事を読んでいる方は「でも家計図と介護って何か関係があるの?」「相続以外にも必要あるの?」なんていう疑問もあるでしょう。

しかし介護においてジェノグラムを作成し家族関係をしっかりと把握しておくことは多くの場面で重要になります。

今回は親の介護における家族負担の観点からジェノグラムの重要性を解説し、実際にジェノグラムの作成方法についても解説させていただきます。

とはいえ、ジェノグラムを作ることはそこまで難しいことではありません。

この記事を読んだ後に是非作成してみましょう!

 

 

ジェノグラムとは?

 

冒頭でも解説した通りジェノグラムとは、分かりやすく言えば家系図のことです。

家系図は対象者を中心に

 

  • 親や子兄弟が生きているのか
  • 亡くなっているのか
  • 誰と一緒に住んでいるのか

 

など関係性を記載するものです 。

ジェノグラムは対象者を中心として親族の関係性を記号で表したもので、課題の抽出や支援者及び関係者との情報整理を行うツールとして役に立ちます。

 

 

エコマップの違いは?

 

ジェノグラムと似たもので一般的なのは『エコマップ』と呼ばれる相関図です。

エコマップとは家計図とは異なり、対象者や家族を中心にその周囲にある関係者や社会資源の相関関係を表した図となります。

そのためエコマップに登場する人物は家族だけに限らず

 

  • 友人や近隣住民
  • 老人福祉センターやデイサービス

 

なども含まれます。

品質良く、負担の集中しない介護を目指すためにはこのような社会資源の活用が非常に重要になります。

ジェノグラムの作成が完了し、実際に介護が現実味を帯びてきた際はエコマップを作成し具体化したイメージを立てることに挑戦してみるのも良いでしょう。

 

 

なぜジェノグラムを作成する必要があるのか?

 

実はジェノグラムを作成するという作業は介護の司令塔を担うケアマネジャーの方にとっては、当たり前の作業ともいえます。

それはなぜか。

より良い介護を行っていくためにはその人を取り巻く家族との協力関係が非常に重要であることにほかなりません。

 

 

介護の担い手問題を避けるため

 

ではケアマネジャーだけでなく親の介護を行う際に備えて皆様がジェノグラムを作成する理由。その一番大きな理由は『介護の担い手問題』です。

皆様は親の介護が必要となった場合、誰が介護を担うべきとお考えでしょうか?

2000年に介護保険制度が施行されてから家族の介護負担は昔に比べて減少したとはいえ、

 

  • 介護は「長男の(嫁)がするもの」という古い風習の名残
  • 手は貸さないが口だけ出す兄弟、姉妹とのトラブル
  • 介護の押し付け合い
  • 金銭負担の拒否

 

など介護の担い手負担を原因とする問題は現場で多く見られるトラブルとして認知されています。

 

 

事前の話合いができていない

 

これらの問題が生じる原因の一つが『介護は突然に始まるもの』という特性があることでしょう。誰も親の介護が何年後に始まるかなんて事は予測が付かないことです。

また最近では『親と同居』していることは決して一般的なものではなくなり、物理的に介護負担を行う事が困難になっているケースもあります。

このような状況を避けるためにもっとも重要なのが

『事前に話合いを行い、役割分担を明確にする』

ということです。この話合いにおいてジェノグラムを作成することにより

 

  • 物理的な介護を行いやすい人
  • 金銭的な支援を行いやすい人
  • 相続権のある人

 

などを明確にすることができるため『介護の担い手問題』によるトラブルを少しでも軽減するための材料にすることができるのです。

 

 

ジェノグラムの書き方(個人)

 

ここまでジェノグラムの概要と個人で作成することの重要性について触れてきました。

ジェノグラムの記号や関係性の表現の仕方などの書き方には一般的なルールがあります。

ただし地域や職種、職場などによって記載方法に若干のばらつきがあります。

しかし今回ジェノグラムを作成するにあたっては基本的に皆様が置かれている状況を把握するためのツールとして使用いたします。

そのため今回紹介する方法で作成を行なっていただければ大きく問題はないかと思います。

 

 

性別

 

男性の場合は四角、女性の場合は丸で表します。

中には年齢を記載される方もいらっしゃいますが、その場合は毎年年齢を更新する必要がありますのでおすすめしません。(少なくとも作成年月日と照会できるようにしましょう)

 

 

対象者(本人)

 

対象者(介護が必要な方)を記載する場合は図形を2重で書きます。
これから作成するジェノグラムはこの方を中心として作成します。

 

 

死亡している人

 

「図形を黒塗りにする」「図形にバツを付ける」という方法が見られます。

どちらの方法でもすでに死亡しているという表現に使います。

視覚的には黒塗りの方がわかりやすいという方も多いですが好きな方法を選択してください。

 

 

兄弟・姉妹の順番

 

明確な共通ルールはありませんが『左側から順番に年長者にする』という方法で統一してしまうのがベターでしょう。

最も重要な目的は皆様とご兄弟(家族)が確実に把握できる事ですがジェノグラムはケアマネジャーにとっても重要な情報ですので統一すると喜ばれます。

 

 

ジェノグラムの書き方(家族)

 

個人での図形の書き方を把握したら、次は関係性を線で示し明確にしていきましょう。

 

 

夫婦・婚姻・内縁

 

夫婦の記載は横に並べて線でつなげましょう。

夫婦関係には『婚姻関係』『内縁関係』の2種類が存在します。

書き方に明確なルールはありませんがこの2種類の関係性は記載方法を分けるようにしましょう。

『二本線』『一本線』『波線』『点線』が一般的に使われます。

 

 

尊属(親)・卑俗(子)

 

『親は上』『子供は下』の段に記載し、線でつなげます。

 

 

離婚・親権

 

離婚した場合は夫婦関係を示す線の間に斜め線を入れます。1本と2本線に決まりはありませんが、見やすいという意味で2本線が良いでしょう。

斜め線をいずれかにずらすことにより親権を表現することができます。

親権側にこの線を残します。

この図の場合は父親に親権があるということになります。

 

 

同居世帯家族の書き方

 

ここまで来ると家族全体の関係性がかなり見えてきます。ここからはジェノグラムとしてより機能性を高めるために情報を書き足していきます。

同居家族を線で囲みましょう。コチラに関しても実線、点線などの明確なルールはありません。

 

 

文字による情報の追加

 

ここまで来たら最後はジェノグラムに文字情報を追加していきます。

文字情報には決まりはありません。

例のように下記のような状況を書き足していくとよいでしょう。

 

  • 住んでいるところ
  • 経済状況
  • 本人との関係性(介護に消極的など)
  • キーパーソン(介護を行う上でもっとも重要な介助者)

 

 

ジェノグラムを有効活用しましょう

 

ここまで書き足せば、あなたのジェノグラムは完成です。

ジェノグラムを作成し、客観的に見つめなおすことで実際に親の介護が必要になった際の介護の担い手や強力を仰ぐ必要がある親族などを再度考察することができます。

介護においては介護を受ける方の状態や幸福度はもちろん大事ですが、継続して行っていくためには介護を行う側の心身の健康が非常に重要となります。

介護負担の集中化など、介護の担い手問題は心身共に介助者が消耗していく大きな原因となります。親の介護負担により皆様の生活品質を落としてしまう事態になるのは本末転倒です。

皆様もこの機会にぜひジェノグラムを作成して将来の介護を見直し、事前の協議を行ってみましょう!

 

 

 

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