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外貨建て保険のメリット・デメリット

外貨建て保険の仕組み、円建て保険との違い、加入するメリット・デメリットとは?

 

外貨建て保険は、保険料や保険金が米ドルなどの外貨である生命保険のことです。

この記事では、外貨建て保険の仕組みや円建て保険との違い、メリット・デメリットについて解説します。

 

 

外貨建て保険とは

 

外貨建て保険は、払い込む保険料、受け取る保険金や解約返戻金がすべて外貨の生命保険の総称です。

保険料は外貨で払い込むのが原則ですが、特約をつければ、保険会社の提示する為替レートで円換算した保険料を、日本円で払い込むことも可能です。

 外貨建て保険に対し、保険料、保険金、解約返戻金がすべて日本円の保険を、「円建て保険」といいます。

外貨建て保険と円建て保険の基本的な仕組みは同じです。ただし、外貨建て保険では、円換算した保険料や保険金、解約返戻金が、その時々の為替レートによって変動します。

 

 

外貨建て保険の種類

 

外貨建て保険は、終身保険や養老保険、個人年金保険など、貯蓄性(資産形成機能)のある保険種類で販売されています。

 

・外貨建て終身保険

終身保険は、被保険者(保障の対象者)が死亡したときや高度障害状態になったときに死亡保険金が支払われる生命保険で、保障が一生涯続くのが特徴です。保険期間の途中で保険を解約した場合は、解約返戻金を受け取れます。

 

・外貨建て養老保険

養老保険は、保険期間中に被保険者が死亡または高度障害状態となったときに死亡保険金が支払われ、被保険者が満期まで生存していたときには、死亡保険金と同額の満期保険金が支払われる生命保険です。保険期間の途中で保険を解約した場合は、解約返戻金を受け取れます。

 

・外貨建て個人年金保険

個人年金保険は、払い込んだ保険金を積み立てて運用し、将来年金として受け取る保険です。

 

 

外貨建て保険のメリット

 

外貨建て保険には、次のようなメリットがあります。

 

・円建て保険よりも保険料が割安

外貨建て保険は、保険料を払い込み、その通貨の国の国債(米ドル建てなら米国債)を中心に運用されます。円よりも高金利の通貨で運用される外貨建て保険の場合、円よりも予定利率が高く設定されるため、保険金額が同じであれば、円建て保険よりも保険料は割安になります。

 

・為替差益が期待できる

外貨建て保険の保険金や解約返戻金は、受け取り時の為替レートによって変動します。保険料を払い込んだときよりも円安になっていれば、円に戻したときに為替差益が生じ、受取額が増えるメリットがあります。

 

・通貨分散効果

外貨建て保険は、外貨建て資産を保有する方法の一つであり、保有する資産の通貨を分散することによるリスク軽減効果が期待できます。

 

・生命保険料控除による税負担軽減

外貨建て保険には払い込む保険料は、生命保険料控除の対象になり、所得税・住民税の負担が軽減されるメリットがあります。

生命保険料控除の適用を受けるには、年末調整または確定申告で手続きが必要です。

すでに生命保険料控除を上限まで利用している方や、もともと納める税金のない方の場合、新たに外貨建て保険に加入しても税負担軽減されないため、このメリットはありません。

 

 

外貨建て保険のデメリット

 

外貨建て保険には、次のようなデメリットもあります。

 

・為替変動リスクがある

保険料を払い込んだときよりも円高になっていると、円に戻したときに為替差損が生じ、受取額が減ってしまうおそれがあります。

 分割で保険料を払い込む場合、為替レートの変動によって円換算の保険料も変動します。円高になれば保険料は安くなる一方、円安になると保険料は高くなるのです。ただし、保険料は払い込みを続けていくうちに平準化されるため、リスクは軽減されます。

毎月(毎年)の保険料が安定しないため、家計管理がしにくいと感じるかもしれません。

 

・為替手数料がかかる

外貨建て保険では、保険料を払い込むため円を外貨に交換したり、保険金や解約返戻金として受け取った外貨を円に交換したりする際に為替手数料がかかります。

為替手数料は契約者が負担するコストです。円建て保険ではかからないコストであり、外貨建て保険のデメリットといえます。

 

・保険料すべてが運用に回るわけではない

払い込んだ保険料からは、保障にかかるコストや契約の維持管理にかかるコストが差し引かれ、残った金額が運用に回ります。このコスト分は運用にマイナスです。

特に終身保険や養老保険など、保障性の高い保険種類は保障コストが多くかかるため要注意です。

もともと死亡保障が必要な方であれば、円建て保険に比べて割安な保険料で保障を確保しながら、同時に資産形成もでき、一石二鳥といえるでしょう。しかし、保障が必要ない方は、余計なコストを払うことになってしまいます。

 

・早期解約は不利になる

保険商品は、基本的に長期継続を前提に商品が設計されています。

そのため、早期に解約すると、解約返戻金が払込保険料総額を大きく下回ったり、解約控除という手数料が課されたりします。

解約控除がかかるかは商品によって異なり、保険料が10年以上払い込まれた場合は控除されないのが一般的です。

 

・市場価格調整(MVA)によって解約返戻金が減ることがある

外貨建て保険には、「市場価格調整」という仕組みを持った商品があります。

市場価格調整とは、その保険が運用対象とする債券価格の変動を解約返戻金に反映させる仕組みのこと。

債券価格は金利が上昇すると価格が下がるため、契約時よりも解約時の市場金利が上昇していると、解約返戻金が減ってしまいます。市場価格調整の有無については、契約前に確認しておきましょう。

なお、市場価格調整は解約時のみ適用され、契約継続する場合や保険金額には影響しません。

 

 

外貨建て保険にも、向き不向きがある

 

老後資金として注目されている外貨建て保険ですが、誰にでもその利用をお勧めするわけではありません。向いている方と向いていない方がいるのも事実です。

 

 

外貨建て保険が向いている方

 

外貨建て終身保険や外貨建て養老保険が向いているのは、万一の保障を確保しながら、外貨で資産形成をしたい方、外貨で資産を保有しておきたい方です。

保障は必要なく、外貨で資産形成や運用がしたい方には、外貨建て個人年金保険が選択肢になります。

外国株式ほどのリスクは取れないものの、外貨預金よりは高いリターンが欲しい。そのような方の選択肢になります。

 

 

外貨建て保険が向いていない方

 

円換算したときに元本割れすると困る方には外貨建て保険は向いていません。また、外貨建て保険に限らず、10年以内に必要となる資金の運用には保険の利用しないほうがよいでしょう。

 

 

円に戻すタイミングを調整できるようにしておく

 

 

お金が必要になったタイミングで大きく円高に振れていると、保険金や解約返戻金として受け取った外貨を円に戻すとき、為替差損が生じるリスクが高くなります。せっかく高い利回り運用できていても、その利益が帳消しになってしまうもあるのです。

お金が必要になるタイミングで為替がどうなっているかは、保険に加入する時点ではわかりません。そのため、外貨建て保険の保険金や解約返戻金を円に戻すタイミングを調整できるようにしておくことが重要になります。

これには、外貨建て保険だけでなく、十分な円建ての資産を保有しておくのがポイントです。資産構成は、あくまで円をベースに、一部を外貨で保有・運用することを基本としましょう。

 

商品によっては、受け取った保険金を外貨のまま保険会社に据え置くことができます。据置期間中は所定の利率で運用が継続されるため、為替の状況を見ながら受け取る時期を調整することが可能です。

外貨建て保険に加入する際は、据置制度が利用できるかどうかも確認しておきましょう。

 

 

 

 

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