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そもそも、「請求する権利のある人」が請求しなければ受け取れません!

保険には「請求権」があります。「請求権」とは、保険事故が発生した場合に、保険会社に対して保険金を支払うよう請求することができる権利のことを言います。

「受取人」と言った方が分かりやすいかもしれません。

 

ところで皆さんは、下記のそれぞれに対して明確に理解されているでしょうか?

 

・死亡保険金の請求権は誰にあるのか?

・満期保険金の請求権は誰にあるのか?

・入院給付金の請求権は誰にあるのか?

 

実は、この請求権を誤認しているために発生しているトラブルがあります。

保険会社は原則として、請求権者からの請求でなければ支払いに応じることができませんが、非請求権者が請求したことで“受け取れない”事態が発生しています。

 

では、どのようなケースでこうした事態が発生しているのでしょうか?

 

今回は「請求権」について、具体的な事例を挙げながら解説します。

このケース、「そんな理不尽な…」と思いませんか?

 

まずは、実際に起きたトラブルの事例を確認してみましょう。

 

 

 

 

「ご主人様がご存命なら、給付金の請求はご主人様からでなければ受け付けられない」

 

皆さんが同じ状況に陥ってしまった場合、ほとんどの方は奥さまと同じように憤りや疑問を感じるのではないでしょうか?

 

また、その一方でこれが保険契約のルールであるならば「日常的にトラブルが多発しているのでは?」と思いませんか?

 

そこで、まずは「保険請求の原則」について確認してみましょう。

 

 

本当に、意識のない被保険者本人からの請求が必要なのか?

 

保険を契約する際、個人の名前を記入する箇所は3か所あると思います。

おそらく上記の事例では下記のような契約形態であったのではないかと思われます。

 

契約者 被保険者 受取人
ご主人 ご主人 奥さま

 

「受取人」の名義が奥さまであれば、奥さまがこう思ってもおかしくはありません。

「被保険者である主人に保険事故が発生し、受取人である自分が請求して何がおかしいのか?」

 

ところが、この「受取人」は“死亡保険金の”受取人であって、入院給付金や手術給付金の受取人ではありません。

入院および手術給付金の請求権は「被保険者本人」にあり、受け取るのも「被保険者本人」になるのが保険請求の原則になります。

 

とはいえ、上記の例では「意識が無い状態であれば請求は不可能では?」「こんなことが保険会社のスタンスとして社会的に許されるのだろうか?」と感じた人も多かったのではないでしょうか?

 

しかし現実には、被保険者が存命である以上、被保険者自身が給付金の請求をしなければならないのが事実です。

 

 

では、受け取れないまま泣き寝入りするしかないのか?

 

「成年後見人制度」についてご存じの方もいるかもしれません。

 

家庭裁判所によって選ばれた後見人が認知症等で意思能力が不十分な人の代わりに財産管理や生活に必要な契約を代理で行える制度のことで、以前はこうしたケースが生じた際、成年後見人を立てる手続きを行うことで後見人が給付金の請求を行っていました。

 

ただし、後見制度を利用するためには数ヶ月(長ければ半年)もの間、待たされることも少なくありません。

 

また、数万円の費用がかかることもあり、後見制度のために給付金と同等の金額が必要になったという話も見受けられます。

それでは何のために給付金を請求するのか分かりません。

 

そこで、こうした事態を解決するために“ある制度(特約)”が開発されました。

 

現在は各社の商品に当たり前のようにセットされている特約なので皆さんは特に意識したことが無いかもしれませんが、当時としては画期的で有意義だと評価を得たこの制度(特約)について、続けて解説します。

 

 

自分の代わりに家族が請求できる仕組みがあればいいと思いませんか?

 

上述の背景から開発されたのが「指定代理請求制度」です。

 

被保険者本人に特別な事情がある場合、契約者(※)があらかじめ指定した代理人が被保険者の代わりに給付金等を請求できる制度で、この制度のおかげで上記のようなケースでも滞りなく給付金を受け取れるようになりました。(※契約者と被保険者が異なる場合、代理人の指定時に被保険者の同意が必要になります。)

 

なお、実際にこの制度を活用し代理請求を行うためには各社が設定している諸条件を満たさなければなりません。

 

家族間で異なる保険会社の商品を契約している場合や、個人でも複数社の商品を組み合わせて加入されている場合は、せっかくの代理請求権を上手に行使するためにも、各社の取扱基準を必ず確認されるようお勧めします。

 

 

まとめ

 

今回の記事では「被保険者請求権の原則」と「指定代理請求制度」について解説しました。

 

入院や手術給付金の請求権は原則として被保険者本人もあります。

また、この原理原則を知っていたとしても、自身の契約に「指定代理請求特約」が付加されていなければ、冒頭で紹介したような事態を招きかねません。

 

さらには、お伝えしたようにこの「指定代理請求特約」の取扱基準は各社区々なので、加入保険会社への確認が必要です。

 

とはいえ、実際に問い合わせを行う前に、もう少しこの制度のことを知っておきたいとお考えになる場合は、続けてこちらのコラムをご確認ください。

 

下方「続けてご覧になっていただきたい記事はこちら」の直下にある黒いボタンをタップしてご覧ください。

 

続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:

教えて!「指定代理請求人制度」とは?成年後見制度や家族登録制度とは何が違うの?

 

 

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