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若年女性注目!「糖尿病って太ったオジサンの病気じゃないの?」

痩せている若年女性は、普通体型よりも糖尿病のリスクが高いって本当?

 

「糖尿病なんて私には関係ないわ」そう考える若い女性も多いでしょう。ましてやダイエットに励み、いわゆる「痩せ型」をキープしている人には、糖尿病はとても縁遠い病気のように感じます。

しかし実際には、「痩せ型の若い女性」にも、そのリスクが潜んでいるというから驚きです。

 

 

一般に糖尿病と聞くと、メタボ体型の人が陥りやすいというイメージがありますが、「痩せ型の女性」にも、そのリスクは潜んでいるようです。こうした情報から昨今、炭水化物のカットや低糖質ダイエットなどが注目されています。しかし、こうした工夫がむしろ逆効果を招くとしたら。素人考えの危険性について、「大場内科クリニック」の大場先生が解説します。

 

 

入院時の血糖値は正常値の5倍にも

 

編集部

糖尿病というと、メタボ体質の人がかかるイメージです。

 

谷脇さん

ところが、18~29歳の女性に対しておこなった順天堂大学の研究によると、「痩せ型の女性は標準体重の女性に比べて、耐糖能異常の割合が約7倍高かった」との報告がありました。耐糖能異常とは、糖尿病と同様に、血中の糖のコントロールが難しくなった状態のことを指します。

 

編集部

どうして、そのようになるのでしょうか?

 

谷脇さん

あくまでメタボ体型の人の場合ですが、まず余分な糖を蓄えようとして肝臓や内臓などに脂肪がつきます。そして、糖の貯蔵スペースがなくなってしまったことに加え、体の脂肪が増えたことによりインスリンの分泌が減り働きも弱まります。その結果、行き場を失った糖が血中にあふれてきます。ですが、この機序が痩せている女性にも当てはまるのかというと、そこまでは不明です。

 

編集部

痩せ型女性の症例については、まだ明らかになっていないことも多いのですか?

 

谷脇さん

そうですね。痩せているにも関わらず、メタボ体型の人と同じようなことが起こっていることがわかっています。痩せていてメタボ体型の人に比べて脂肪がないのに、なぜ同じようなことが起きているのかは、まだ十分に解明されていないようです。

 

 

痩せすぎでエネルギー不足になると、身体機能が低下する

 

 

編集部

順天堂大学の報告で「痩せ型」の目安となったのは?

 

谷脇さん

BMIが「16.0~18.49」の女性を対象としたそうです。BMIは、「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求められます。例えば、身長155cmで体重43kgの人なら、BMIは17.9ということですね。日本人女性の20%くらいは、同報告でいうところの痩せ型に属していると言われています。

 

編集部

なぜ、痩せ型なのに異常がみられたとお考えですか?

 

谷脇さん

これから研究が進むと思いますが、「運動量」、「食事量」、「筋力」のそれぞれが少ない「エネルギーの低回転状態」であることと関係しているのではないかと考えられます。つまり、代謝が低下している状態なのだと思います。

 

編集部

糖質を摂り過ぎているためではなく、代謝が低下しているからだと?

 

谷脇さん

はい。瘦せ型で糖尿病を発症する女性は、糖質の摂取量がむしろ少ないようです。筋肉量が少ないと、エネルギー消費が落ちてしまいます。血液中の糖が使われることもなく、蓄えられることもなく、残ってしまっている状態であると私は考えています。

 

 

なにがイイかは、個人によって違う

 

 

編集部

結局は、痩せ型もぽっちゃり型も糖尿病リスクが高いと?

 

谷脇さん

はい。対策としては「ある程度しっかり食べて、しっかり動く」に尽きると思います。なお、BMIの計算で用いる体重は、脂肪と筋肉を区別していません。脂肪ではなく筋肉を付けて、BMIの正常値へ近づけるべきでしょう。

 

編集部

ちまたでは、低糖質ダイエットなどがもてはやされていますよね?

 

谷脇さん

ダイエットするにあたって、ある程度の糖質制限は理にかなっていると思います。ただし、筋肉を付けるためには、ある程度の糖が必要です。「体重を減らす」ことだけに目がいき、食事量を減らすと筋肉も同時に減っていってしまうでしょう。過度な低糖質ダイエットで“満足に動けなくなった”結果、「エネルギー低回転タイプ」になることも考えられます。やはり、ある程度は食べて、体を動かすことも大切ということなのでしょう。

 

編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

 

谷脇さん

危険なダイエットは病気を招きかねません。「良かれと思って間違った習慣を取り入れている」ケースがよく見かけられますので、医師のアドバイスを取り入れましょう。とくに食事内容は、極論へ走りやすい印象です。ベキ論や特集のような画一化された方法ではなく、その人に合った正しい内容で取り組んでいただきたいと願っています。

 

 

編集部まとめ

 

痩せ型女性の糖尿病は増えているとのことでした。メタボ体型の人と同じことが体の中で起こっているなんて、予想だにしませんでした。ある程度しっかり食べて、体を動かすことが大切です。もしあなたに、やみくもな「モデル体型への憧れ」があるとすれば、いま一度、考え直してみましょう。医師と一緒に、健康づくりへ励んでいきたいものですね。

 

 

 

まとめ:糖尿病予防のやり方も、人それぞれ

 

近年は、ぽっちゃり体形だけではなく、痩せ型女性の糖尿病も増えているとは驚きです。

いわゆる「メタボ体形」のオジサンだけではなく、体に脂肪がつかないように気を遣っているはずの若い女性でも、体の中で何が起こっているのかは分かりませんから、健康診断の結果やそれを解説して下さる医師の言葉はしっかりと胸に刻みましょう。

あなたの体の中からの声を受け止めるのは、あなたにしかできないことなのです。

 

 

 

エピローグ もし、このようにお考えなら

今回のコラムはいかがでしたか?既にご存じの情報もあれば、「そうなんだ」「知らなかった」といった情報もあったのではないでしょうか?

 

「糖尿病」は、もしかしたら最も誤解されている病気のひとつかもしれません。多くの人が、「甘いモノが好きな人」「太ったオジサン」がなる病気だと思っている一方で、実は老若男女問わず可能性がある、とても身近な病気です。

こちらは、本サイトに掲載されているコラムの中からエッセンスを抽出したものですが、皆さんはどこまでご存じでしょうか?

 

・【基本】 そもそも、「糖尿病」ってどんな病気?

・【確率】 予備軍を含めると2000万人ってホント?“国民病”ってどういうこと?

・【兆候】 健康診断だけではわからない?“隠れ糖尿病”とは?

・【症状】 「スパイク」って何?食後に体がだるくなる原因は?

・【原因】 「血管の病気」ってどういう意味?遺伝は関係ある?

・【治療】 どんな治療方法がある?どれくらい大変?

・【予防】 糖分はすべてカラダに良くない? とにかく糖分を控えればいい?

・【関連】 「サイレントキラー」とは?他の生活習慣病と関係ある?

 

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