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「仮想空間」の技術は医療・健康分野でも活用され始めている

自分のアバターが10年後に大きな病気に…ちょっとドキッとする話です。

 

私たちが子どもの頃に「仮想空間」という言葉を聞くと、それはあくまでフィクションの世界のことで、あまり現実味がないように感じていませんでしたか。しかし今、仮想空間はさまざまな分野で利用され、私たちの生活に身近なものになりつつあります。リアルとデジタルが融合する社会は、既に始まっているのです。

 

 

仮想空間ってどんな空間?

 

まずは仮想空間とはどのようなものなのかをご説明しましょう。

 

仮想空間とは、体は現実世界にあるのですが、「現実ではないが、まるでそこに存在しているかのように感じることができる・行動することができる空間」のことを言います。ここ最近では仮想空間やそれを利用したサービスのことを「メタバース」と呼んでいます。

メタバースとは「超」を意味する「meta」と「宇宙」を意味する「universe」を合わせた造語です。メタバースの中には、AR、VRなども含まれます。

 

仮想空間はさまざまな分野で利用されていますが、積極的に取り入れられている分野といえば、エンターテインメントでしょう。

イメージしやすいのは一大ブームとなったあのゲーム。いろいろな動物たちが暮らす森に、ユーザーが新しい住民としてその森の中で生活をするというものです。ユーザーが生活していくあの空間はひとつのメタバースです。もともと三次元空間のゲーム分野には利用されやすい技術なのですね。

 

また、仮想空間は音楽ライブでも利用されています。

単にライブ映像を流し個々で楽しむのとは異なり、メタバースを利用することで、まるでライブ会場に居るかのようにアーティストのライブを楽しむことができるのです。実際は一緒に居ないのですが、その空間に居るみんなで体感し共有することができるのです。

 

また、メタバースを利用した戦闘ゲームが人気を博し世界中で楽しまれていますが、そのゲーム空間で音楽ライブを行うといった複合的な使われ方も可能になっています。

 

 

いろいろな仮想空間

 

仮想空間には「VR」、「AR」、「MR」、「DR」、「SR」といった種類があります。これらの仮想空間は、現実の世界では存在していないものを、まるで存在しているかのように感じることができる技術です。このような技術は進歩・発展していく中で、だんだんその境目が曖昧になっていきていることで、「XR」(クロス・リアリティ、エクステンデッド・リアリティ)と総称されることもあります。それではそれぞれの仮想空間がどのようなものかを順に見ていきましょう。

 

 

VR(Virtual Reality)

 

「仮想現実」のことを言います。仮想空間をまるで現実に存在しているかのように感じることができる技術です。

これまで1990年代に第一次ブーム、2010年代に第二次ブームが起こり、最も古い歴史を持つ仮想空間で、商用化・開発が進んでいた技術です。コンピューターによる3DやCGなどの技術で作り出される仮想空間です。専用のヘッドセットやゴーグルを装着して視界全部を現実世界のように感じることが可能になっています。

 

 

AR(Augmented Reality)

 

「拡張現実」のことを言います。仮想世界の視覚情報(映像など)を現実世界に重ねて、現実世界を拡張して体験することができる技術です。

現実の写真にさまざまな加工ができるアプリや現実世界の位置情報を利用してキャラクターを捉まえたり、交換したりする人気ゲームはこの技術を利用しています。

 

 

MR(Mixed Reality)

 

「複合現実」または「混合現実」のことを言います。仮想世界の映像や情報を、現実世界の中に三次元的に存在させ融合・複合させる技術です。

MR技術を搭載したデバイスを利用することで、仮想情報をよりリアルに感じられるため、シミュレーションが必要とされるさまざまな分野で利用されています。シミュレーションの精度が上がり、業務効率化が可能になった例もあります。

 

 

DR(Diminished Reality)

 

「隠消現実」または「現存現実」のことを言います。実際には存在しているものを消して目に見えなくする技術です。

前述のARとは反対の概念であるため、「消すAR」とも呼ばれています。画像編集などにおいて、リアルタイムに必要ない情報を削除する修復技術として使われています。不要物の映像の上に背景映像などを重ねることで、不要な情報を見えなくしています。

 

 

SR(Substitutional Reality)

 

「代替現実」のことを言います。過去や未来といった虚構の情報を、現実世界に重ね、見ている人に錯覚を起こす技術です。

これから起こる現実として体験するものが実は事前に編集されていた映像だったという、自分が存在している空間・今見えている世界が、現実ではないと認識させないという点において、他の仮想現実とは異なります。SF映画などのストーリーでよく使われている、仮想世界で生活していたが、リアルな世界が実は別にあったという設定がこのSRです。

 

 

 

 

医療・健康領域での仮想現実の利活用例

 

エンターテインメント領域での実例を中心に紹介してきましたが、仮想空間についてイメージできたでしょうか。

かつては限られた使われた方をしていた仮想空間でしたが、通信速度の高速化やデータ量が多くなったこと、コスト面での低廉化、映像の遅延が少なったこと、同時に多数の機器をネットワークで繋げるようになったことなどによって、これまで特別な領域でしか利用できていなかった仮想空間に拡がりがみられるようになりました。

私たちが生活する上で最も欠かせないとも言える医療や健康といった領域でも積極的に利活用されてきています。また、Society5.0によって国としてのあるべき未来像を明らかにした政策によるあと押しと、新型コロナウイルス感染症のパンデミックという想定外の社会情勢により、仮想空間を含むデジタル化が世界的にも急速に進展した理由に挙げられます。

 

特にVR、AR、MRの3つの仮想空間の技術を利活用した、医療・健康領域での実例をご紹介しましょう。

 

 

医療VR(Virtual Reality)

 

現実ではない映像世界を見せ没入させることが可能な仮想空間技術ですから、かなりリアルで実践的な状況の素材を作り、繰り返し使用することが可能です。

このような特徴をうまく利用できるのが、シミュレーションやトレーニングです。対象者として医療従事者や患者はもちろん、非当事者にまでさまざまです。具体的には次のような利活用例があります。

 

  • 医師・従事者向け教育・研修
  • バーチャルトレーニング(専用ゴーグルなし例も)
  • 発達障害や認知症の視覚体験プログラム
  • 統合失調症の患者向けSST
    ※ソーシャルスキル・トレーニング:社会生活で必要な技術を向上させるための訓練
  • 立位や歩行が困難な患者向けリーチングトレーニング
    ※リーチング:特定の位置に向かい手を伸ばす動作

 

 

医療AR(Augmented Reality)

 

現実世界に仮想の視覚情報を加える技術ですから、現実に起こっていることの情報確認としての応用が進められています。個々人での利用のほか、同じ現実を他の人と共有しながら利用することも可能であるため認識の差異が起こりにくい技術と言えます。

 

 

遠隔医療支援

 

医療現場では、熟練度の高い医師が不足しているため、この問題の解消に期待が寄せられています。

 

例1.遠隔地での手術において、患者の患部の映像にベテラン医師の指示を表示させる

例2.検査機器において、操作する医師が機器を撮影、ベテラン医師に指示を仰ぐと、カメラやセンサーがベテラン医師の動きを感知、再現され、端末に投影されたベテラン医師の動きを確認できる

 

 

画像診断

 

CTやMRIで撮影した臓器の情報を患者本人の体に映し出し、画像診断の精度を高め、医師の診断の誤差を減らします。

広範囲を確認できるAR技術によって、手術精度とスピードの向上が図れ、複数人同時で情報共有が可能です。歯科分野での応用が試みられています。

 

 

教育支援

 

教育用シミュレーションの分野でも、医療ARの技術を応用したものが開発されています。専用の機器が必要にはなりますが、実際の医療の現場に出る前に十分なトレーニングを積めるのであれば、それは医療者の卵にとっても有益な方法です。

 

 

医療MR(Mixed Reality)

 

現実世界に仮想情報を三次元的に映し出すことが可能な技術で、同じ情報を共有しコミュニケーションが図れるという特徴を活かしています。

 

 

三次元空間での術前シミュレーション

 

手術手順のシミュレーションができるため、時間短縮や出血量減少に役に立ちます。場所を問わないため、遠隔でのカンファレンスも可能にしています。また、医療の地域格差解消や医師のスキルアップにも有用ではないかと期待されています。

 

 

製薬会社による利活用

 

医師への情報提供や患者への治療支援などの場に仮想空間を利用する際に、MR技術を利活用しています。

 

 

医療・健康福祉分野での仮想空間への期待

 

医療・健康関連分野での仮想空間の活用例をお伝えしてきました。この数年で飛躍的に発展を遂げてきた仮想空間は、今後どのような方向に進んでいくのでしょうか。

 

一説によると、「VRの限界が近くこれからはARやMRの時代」とも、「最も期待される技術はVRである」とも言われています。矛盾しているようにも見えますが、それだけメリットとデメリットが紙一重なものということなのでしょう。

たとえばVRは専用の機器(ヘッドマウントディスプレイ)が必要になる点や、完全な仮想空間で没入感が強い反面、車酔いのような状況を生みやすい点、コスト面でのデメリットが指摘されています。

一方で、完全な仮想空間という点でアバターを利用した匿名性の高い医療情報・サービスの提供といった、VRならではの活用方法に期待も寄せられています。

 

ARやMRといった現実世界に視覚情報、映像を足しこむ形の、より活用しやすい仮想空間の今後も気になるところです。

 

 

まとめ:Society5.0が描く未来と仮想空間

 

身近になったとはいえ、誰もが簡単にその恩恵を受けるというところにはまだ遠いように感じます。

しかし、2、3年前のコロナ禍前の頃に現在の状況を予測できていたかと言われれば、そうではないでしょう。

Society5.0が描く未来は2040年。あと20年足らずでどのような変化をみせていくのでしょうか。

 

 

 

エピローグ もし、このようにお考えなら

 

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