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なぜ子ども世代は親の介護問題にここまで悩まされなければならないのか…

「親の介護」に人生を翻弄される子供世代の苦悩をどうすれば回避できる?

 

現代の日本では文化の多様化や発展のため目覚ましい変化が日々あります。

介護においても状況は変化しており時代は親と同居する家族や専業主婦が多かった時代から『核家族化・共働き』の世代へと変化しており昔のような介護の対応が難しくなっています。

そもそも現在介護されている70代・80代の親世代は介護の経験がない方も多いのです。

一方で現代の子供世代は親の介護問題に悩まされている、あるいはこれから悩まなければいけないという現実にたたされています。

今回の記事では世代間のギャップから今後介護を行っていく上での問題点や考え方について解説します。

 

 

親の介護を気にする子供が増えている

 

思い返せば、昔は介護といえば病院や施設が行うものという認識がある方も少なくないかもしれません。

昔は病院にいつまでも入院できる状態で介護は同居する家族が行うか、入院させるかといったイメージがある方も多いでしょう。

しかし昨今は親の介護について積極的に考えたり情報をとる方が増えています。

これは昔と比較し、介護に対する考え方が変わってきた証拠に他なりません。

このような状況に至った背景は以下のようなものがあります。

 

 

長寿化・高齢者の増加

 

医療の発展に伴い、寿命が延び、高齢者の数は増え続けています。

また医療の発展は昔は助かりにくかったがんや脳卒中、心筋梗塞などになっても死亡率を下げる結果になっています。

昔と比べ現在は長期で入院を行うことが難しくなっています。

半面、疾患の再発リスクや入院による体力の低下、後遺症等で退院後自宅に戻ってから介護が必要な方が増えたという側面が存在します。

 

 

家族のスタイルの変化

 

核家族化が進んだことにより同居家族が減少、その結果介護の担い手が減少したことも要因です。

また働き方にも変化が生じ、以前のように「長男の嫁が介護をする」ような場面も減ってきた事も要因です。

 

 

少子化

 

少子化によって介護の担い手になる兄弟姉妹の数が減少し、介護負担が集中しやすくなっていることも原因の一つといえます。

 

 

公的介護保険の導入、介護は『措置』から『契約』へ変化

 

さらに介護に関する認識が大きく変わったのは間違いなく2000年に公的介護保険が導入されたことがきっかけです。

 

 

介護保険導入前の『措置』制度

 

介護保険導入前の介護は『措置制度』が主流でした。

措置とはいわばコロナウイルスの感染者に対する措置入院のように都道府県などが必要に応じて患者を入院させる制度のようなものです。

介護が重度に必要な場合、行政の窓口へ申請することで行政が指定した老人ホームに入所する。

つまり介護保険導入以前の介護は国や自治体がサービスを提供し、財源も税金だったということです。

 

 

介護保険導入後の『契約』制度

 

しかし、税金だけで運用する措置制度では高齢化社会に対応ができず、2000年に公的介護保険が導入されます。

介護保険は利用者が自由に事業者や介護サービスを選択できる、利用者とサービス事業者間での『契約制度』に時代が変わったのです。

財源は半分は税金、半分は40歳以上の人が払う保険料と利用者の1〜3割の保険料負担に変化しています。

自由に事業者やサービスを選択できる制度の半面、サービスを利用するための情報や本人及び家族の判断が必要になります。

そのため以前の介護では国と本人の関係だった介護に、家族がより重要な意思決定者の一人となったことで親の介護をより身近な問題として考えざるを得なくなった現状があります。

 

 

なぜ子供世代は悩まなければいけないのか?介護に対する認識のギャップ

 

介護に関する制度や考え方が変化する一方で介護に対する認識については親と子で大きなギャップが生じているのが現実で、これが介護の方向性を決めていく障壁になっていることも少なくない問題です。

とある調査では

 

  • 親を持つ40歳~59歳の男女
  • 子供がいて介護された経験がない60歳~79歳の男女

 

を対象に意識調査を行いました。

その結果『親の介護は誰が担うのが良いか?』という質問に対して

 

 

と、世代によって回答が全く異なっているのです。

 

さらに興味深い結果として『子供にしてほしいと考える親の介護の内容』では

 

  • 1位:話し相手になる
  • 2位:買い物(食品や日用品など)
  • 3位:病院や介護施設への送迎

 

という回答となり、一般的な介護のイメージである『排せつや入浴介護』『移動介助やリハビリ』などのようなものは優先順位が低いことがわかっています。

 

 

介護に対する認識のギャップを解消する方法

 

上記の調査のようにそもそも『介護の担い手』の時点で認識に違いが大きく生じている状態で将来的な介護の話し合いをしようとしても難しいのが現実です。

「配偶者や子供が介護を担うべき」と思っている人に対して「自分自身でできるだけしてほしい」「介護サービスに全て任せるから」というような方向性を示せば、認識として見放されているような感覚になってしまい不快感になることも不思議ではありません。

話し合いの際に生じるトラブルはその方の人間性ではなく、単に世代間の介護に対する認識の違いが生んでいるだけかもしれません。

ではこうした親子間の介護に対する認識のギャップを解消し賢く親の介護問題をクリアしていく方法はないのか…

まずは「普段から頻繁にコミュニケーションをとっておく」ことが重要です。

認識のずれから生まれるトラブルを少しでも解消するために普段から『親がどのような介護を求めているのか』耳を傾けておく必要があります。

普段から自然に老後のことなどについて話題が出れば日常会話の中に親の気持ちや要望を汲み取るヒントは存在しているはずです。

その際はかしこまって『今日は介護問題を話そう』という必要はありません。

反対にかしこまってしまうと親も構えてしまいますよね。そのような状況を避けるためにも電話での現状報告や親と顔を合わせる機会を積極的に持つことは重要です。

 

例えばこんな日常会話を経験したことはありませんか?

 

「私のお葬式は家族葬でいいからね・・・」

「(TVのCMを見ながら)老後はあなたに迷惑かけたくないから施設に入りたいな」

 

このような些細な会話があればご両親の意向について触れることができます。

またこのような会話が出れば聞き流すのではなく、

 

「家族葬か、もしそうなったら誰を呼べばいいの?」

「施設って結構お金かかるらしいから。一度どのくらいかかるか調べてみようか?」

 

など会話を発展させることで自然に老後の計画の話に持ち込むことができます。

これらの情報交換の積み重ねで親の介護の方針は自然に決まっていきます。

 

 

親の介護問題を放置すると自分に返ってくる

 

このように介護に対する認識のギャップは将来の為にお互いが歩み寄りながら埋めていく必要があります。

これらの問題を解決しながら介護の方向性を決める際には

 

  • 時間
  • お金
  • 情報

 

の3つが非常に重要であり、これらは相互作用の関係にあります。

つまり

 

  • 時間に余裕がある➡情報を入手し、お金を節約する方法を考える
  • 時間がない➡お金をかけるが情報があれば効果的で合理的にお金を使うことができる

 

といったような相互関係です。若い世代、親の介護がまだ始まっていない世代には時間があります。今のうちに情報をしっかりと集めておく事が重要です。

 

この記事をここまで読んでいただいているということは、皆様が介護について真面目に考えているという事は間違いないかと思います。

しかし世の中には「親の面倒は見ない、お金も出さない」といった方も実際にいらっしゃいます。

重要なことはここまでの話は決して親のためではなく、介護を担う子供世代のためであるということです。

親の介護のことを適当に考え、問題をこじらせると情報がない状態で対応するため心理的・経済的に大きなダメージを被る可能性が高いです。

また今回は『親の介護』をテーマにお話を進めていますが、将来的に皆様も介護を受ける立場になることは認識しておいた方がいいかもしれません。

親のためだけでなく自分の介護のためにも情報収集を行っているという認識であれば親の介護の事も少し前向きに考えていけるのではないでしょうか。

 

 

【エピローグ】 もし、このようにお考えなら

 

超高齢化社会を迎え65歳以上の人口が約4人に一人となった現在の日本では、社会問題と化した「介護」がもはや避けては通れないリスクとなりました。その課題の中心にあるのが「担い手問題」「費用負担問題」の二重苦であり、いずれも現役世代の皆さんに降りかかってくる問題です。

今や7割を占める夫婦共働き世帯においてどちらかが担い手になれば、それは同時に収入ダウンを意味することになります。また、費用は親の年金で何とかなると考えている方が多く、直面して初めて頭を抱える方が少なくありません。

 

《参考》

介護費用(月平均)8.3万円/生命保険文化センター「令和3年度生命保険に関する全国実態調査」

厚生年金(月平均)14.6万円、国民年金(月平均)5.6万円/厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和2年度)」

 

他方、本来なら頼りにしたい社会保障も財政難に直面しており、国民の負担は増加傾向にあります。

 

《参考》

利用者の自己負担割合:創設時( H12年度)1割から、現役並みの所得がある場合は3割へ(H30年8 月制度改定)

40~64歳の月平均介護保険料:H12年度 2,075円から、令和2年度 5,669円に増加/厚生労働省「介護保険制度をめぐる最近の動向について」

 

かかる状況下、生活苦に伴うストレス等を原因に殺人まで惹起する深刻な問題である一方で、現役世代の大半は目の前の生活に追われ何ら対策を講じていないことも多く、実際に介護が発生してから後悔する方が後を絶ちません。

 

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