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子を持つ親の苦難… スポーツによる重篤な頚髄損傷の実態

夏休み、水泳での誤った飛び込み方からの受傷機転… 他にもコンタクトスポーツ、回転、空中など要注意

 

筆者は地方中核病院に勤務する医師です。

この記事では、介護が必要な後遺症を残す病気として頚髄損傷を中心に脊髄や脊椎の障害について解説します。子どもでも、スポーツによるケガが原因で一生の後遺症を残してしまうことがあります。脊髄は体を動かすときに脳の指令が必ず通る部位です。脊髄が損傷すると体が動かせない、動かしにくいという障害が残ることがあります。

 

 

脊椎 (せきつい) と脊髄 (せきずい) とは?

 

脊椎とは背骨 (せぼね) のことです。脊椎の中には脳からつながる脊髄 (せきずい) という太い神経が走っています。

例えば、手足が動くように脳から指令を送る場合を考えてみます。脳から脊髄に指令を送り、指令は脊髄から末梢神経に伝わって、手足の筋肉が動きます。このように脊髄はさまざまな指令を脳から全身に送る、人体の大切な構造です。

 

 

脊椎や脊髄が損傷するとどうなるの?

 

脊椎が折れたときや強い衝撃が加わったときに、脊椎の中を走る太い神経である脊髄に傷がついてしまうことがあります。これを脊髄損傷といいます。

脊髄のうち、首の高さにある部分を頚髄 (けいずい)といいます。頚髄損傷を起こすと、手足が動かなくなってしまう麻痺症状や排泄が自分でコントロールできないといった障害が残ることがあります。

 

脊髄損傷

 

 

 

脊椎や脊髄が損傷する原因

 

脊椎や脊髄損傷の大半は頚椎・頚髄の損傷です。スポーツが原因のものは全体の3〜10%といわれています。子どもがプールで誤った飛び込みをして頭を強打し、背骨を骨折して頚髄損傷をしたというニュースも以前にありました。

夏休みなどの長期休みに入ると、大人も子どももスポーツをする時間が増えます。ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツは脊椎や脊髄を損傷する原因になりやすいスポーツと言われています。

他には空中での動作や回転動作では体の制御が効かないときにケガのリスクが高まります。

器械体操、トランポリン、スキー、スノーボード、スカイスポーツなど空中を飛ぶスポーツも脊椎を損傷する原因になることがあります。

 

このようなスポーツでの頚髄損傷はときおりニュースになることがあります。ケガをしたときに頚椎であれば強い頚部痛、腰椎であれば強い腰部痛が起こって、損傷程度が大きい場合には損傷した背骨の部位より下の麻痺が起こります。首の骨折であれば、手と足の麻痺です。腰の骨折であれば足の麻痺が起こります。

神経が損傷してしまうと、簡単には麻痺の症状は改善せず多くの場合で後遺症を残してしまいます。

 

脊椎・脊髄損傷の他にも起こりうるスポーツによる背骨周辺の構造物を原因にした障害について、さらに解説します。

 

 

頚椎捻挫 (けいついねんざ)

 

頚椎捻挫は、いわゆる「むちうち損傷」のことです。スポーツ事故や交通事故のときなど首に強い外力が加わったときにおこる首の損傷です。

筋肉、靱帯、脂肪組織、関節の構造物など比較的やわらかい構造物のことをまとめて「軟部」といいます。捻挫 (ねんざ) は軟部を傷めることを指した言葉です。

スポーツでの頚椎捻挫は、転倒や衝突の多いコンタクトスポーツで発症することが多いです。スポーツ中に急激に首が引き伸ばされたり、縮められることで起こります。方向によって首まわりの前後左右のどの部位でも痛みの症状がでます。また、頭の後ろにも首の筋肉は連続しているので、後頭部痛が出ることもあります。

 

 

筋肉や筋膜による腰痛症

 

スポーツで急激な腰痛が起きる原因の半分以上が筋肉や筋膜と考えられています。

背骨の周りには脊柱起立筋という大きな筋肉があります。背筋の一部です。この筋肉に強いストレスや反復する疲労が与えられることで、筋肉や筋膜を貫く神経が刺激を受けることで強い腰痛の症状がでると考えられています。痛みがあることで、筋肉をあまり動かさないので筋肉が固まってしまい、血流が悪くなり、また腰痛が出るという悪循環になります。ひどくなると日常生活に支障がでて、慢性的な痛みが続く障害が残ります。

痛みの強い時期に適切な治療を行うことが重要です。痛みが強い時期は、できるだけ安静を保って痛み止めや湿布、コルセットなどで治療を行います。その後に段階的にリハビリを行い運動機能の回復を目指します。

 

 

腰椎分離症

 

小学校高学年以降の成長期に起きやすい腰の骨に関わる病気です。スポーツ選手に発生することが多いです。スポーツ動作 (腰椎の過度の背屈やひねりの繰り返し) による腰椎の疲労が主な原因と考えられています。スポーツ中やスポーツ後に腰痛の症状がでます。スポーツの中止や体幹筋肉の強化、ストレッチなど段階に応じた治療を行うことで、スポーツに復帰できます。将来、腰椎すべり症で脊柱管狭窄症になることがあります。

 

 

まとめ

 

脊椎、脊髄の怪我や後遺症について解説しました。脊椎は運動や知覚に関わる神経が走行する大切な構造ですので、損傷すると後遺症に発展することがあります。脊髄損傷を起こすと生涯にわたって、後遺症と付き合っていく必要があります。特に、頚髄損傷では症状が重くなる傾向があります。

 

 

 

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