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あの有名な元甲子園球児のプレー中の不運な事故からの壮絶人生

事故原因はヘッドスライディング…セカンドに滑り込んだその時に…頚椎骨折から

清水哲

 

清水哲 (しみず・てつ) さんはPL学園の野球部で活躍された、元甲子園球児です。桑田真澄さんや清原和博さんの1学年先輩にあたります。以前、テレビ番組の「消えた天才」で桑田真澄さんに紹介されました。

この記事では、野球のプレー中に頚髄損傷をおこし現在にいたるまでの、清水哲さんの壮絶人生をまとめました。ご本人が執筆された書籍「桑田よ清原よ生きる勇気をありがとう」「車いすの不死鳥 絶望の淵から夢を追って」などを参考にしました。

清水哲さんは小さな頃から野球を始めて、高校時代にはPL学園で甲子園大会に出場するほどの選手として活躍しました。大学時代の試合中の事故で、現在は首から下は動かすことができず車イスでの生活をしています。

清水哲さんの事故の原因はなんだったのでしょうか?

また、清水哲さんは現在結婚されています。過去に、結婚しない理由に「結婚した相手に介護で迷惑をかけるから」と述べていた清水哲さんが結婚した理由はなんだったのでしょうか?

清水哲さんの野球事故の詳細や脊髄損傷という病気、そして結婚にいたるまでの心境の変化など清水哲さんについてお伝えします。

 

 

清水哲 (しみず・てつ) さんのプロフィール

 

 

 

清水哲さんは子どもの頃からプロ野球選手になることが夢でした。野球チームに所属していた清水さんも最初の頃は野球の練習にすぐ飽きてしまったのだとか。

そんな清水哲さんは夏の甲子園でPL学園が粘りに粘って優勝した試合をみて、心を動かされたと話しています。

その試合を見てから、プロ野球選手になるためにもPL学園の野球部員として甲子園に出場したいと考えるようになりました。

そして、念願かなってPL学園に入学して野球部に入部、甲子園で輝かしい成績を残しました。その後はPL学園を卒業し、同志社大学に入学して野球部に入部します。

 

 

PL学園での夏の甲子園決勝戦

 

清水哲さんにはPL学園での忘れられない思い出があります。高校3年生のときに出場した夏の甲子園決勝、ピッチャーは桑田真澄さん、4番打者は清原和博さんでした。「PL学園 VS 取手二高 9回裏 4対3」PL学園が1点差を追い上げる場面のことです。そのときにバッターとして打席に入った清水哲さんは、ホームランを打ち同点に追いつきました。清水哲さんは子どもの頃にテレビで見ていた試合と同じように、ずっと憧れていたPL学園の先輩選手たちと同じように奇跡を起こしたのです。

結果としては、その試合は延長の末に敗戦し準優勝でした。しかし、子どもの頃から憧れていたPL学園で、夏の甲子園の決勝戦で同点本塁打を打ったことは清水哲さんにとって生涯忘れられない思い出になったそうです。

 

 

事故はヘッドスライディングが原因だった

 

PL学園を卒業後は同志社大学の野球部に入部しました。ある日のこと、清水哲さんは秋の関西学生リーグの公式戦に出場していました。5回裏の場面、フォアボールで1塁に清水哲さんが出塁しました。ベンチからヒットエンドランのサインがでたように思え、バッターが打つと信じて2塁に駆け出しましたが、バッターは見送りました。

バッターが打たないことに疑問を感じた清水哲さんは、ヘッドスライディングするタイミングが遅れてしまい、セカンドの守備の選手と衝突。それでも2塁ベースにタッチするために動こうとした瞬間、これまでに経験したことのない激痛が首に走りました。その場で、自分で自分の体を1ミリも動かすことができなかったようです。これが頚椎損傷で脊髄に損傷を負ったときによくみる症状です。

救急車で運ばれ、医師から首の骨が折れていると告げられます。診断された病院では治療ができないために大学病院に移り、8日後に手術をすることになりました。

 

 

第4・5頚椎の脱臼骨折による頚髄 (けいずい) 損傷

 

手術は無事に終わりましたが、2ヶ月以上経っても清水哲さんの体は全く動きません。事故当時は手術で骨が元に戻れば、事故前と同じように体が動くと信じていたようです。いつまで経っても体が全く動かないので「いつになったら治る?」と看護師にたずねました。

看護師は「本当のことを知りたければ主治医に聞いて」と答えます。

その言葉に不安を感じましたが、当時の清水哲さんは長くても5〜6年で治ると予想していました。二度と歩けないとは想像もしていませんでした。

しかし、医師から告げられたのは「今の医学では治すことはできない。一生寝たきりになる。」という残酷な言葉でした。

脊髄 (せきずい) 損傷は損傷部から下の体に麻痺が残ります。脊髄は頭からおしりに向かって脳からの指令を送る神経組織なので、損傷部が頭に近いほど障害が重くなります。

清水哲さんは首の脊髄である頚髄を損傷したので、首から下が動かせなくなってしまいました。

このとき19歳、あまりに残酷な出来事でした。「生きることは苦しむことだ」と人生を悲観し、自殺も考えたそうです。しかし、自殺したくても体が麻痺しているためどうすることもできず、泣くことしかできませんでした。人に見られないように毎日夜中に泣いていたそうです。

 

 

父親が脳梗塞に、それをきっかけに1人暮らしを始める

 

重度障害者になった清水哲さんですが、以前から親に何から何まで面倒を見てもらうことに申し訳なく思っていました。障害者だからといって「ひとり暮らし」ができないというということはないと考えていた清水哲さんでしたが、父親から反対を受けていました。「施設に行く」と言ったときでさえ、親の世話になればいいという理由で反対されました。

ところが、父親が脳梗塞で半身麻痺になりました。それまで介護をしてくれていた母は、父の介護に手一杯で清水哲さんの介護をやってくれる人がいなくなりました。

なんでこんなに不幸なことばかり自分の周りで起こるのかと思ったそうです。しかし、状況をプラスに考え、ひとり暮らしの準備を進めました。

その後、人材を派遣してくれる枚方市で社会資源を利用して、ひとり暮らしを始めました。

 

ひとり暮らしから3年後、ホームヘルパーとして来てくれていた現在の妻と知り合うことになります。

 

 

清水哲さんが結婚を決めた理由

 

清水さんがひとり暮らしを始めて3年が経った頃、現在の妻と知り合うことになります。清水さんがお願いしていたホームヘルパーの1人でした。非常に「できるヘルパー」であったと語っています。ひとつひとつの仕事をきっちりとこなし、全体の時間配分や段取りも素晴らしかったそうです。

清水哲さんは日増しに信頼感を高め、思いを寄せるようになったそうです。いつの間にかヘルパーとしてお願いすることが増え、一緒にいる時間が増え、次第にお互いに一緒にいるとリラックスできる存在になったそうです。

そうして結婚にいたりました。周囲からは「障害者が結婚してもうまくいかない」と言われることもあったそうです。そして、だからこそ「障害者でも結婚できる」ということを示してみたかったと思われたそうです。

 

 

現在は講演、監督、執筆活動などで活躍中

 

調べてみると、清水哲さんは講演、野球の監督、執筆活動、ホームページ作成、NPO法人での介護サービス事業を手掛けるなど活躍されています。

講演のテーマは「生きる勇気をありがとう」、「命の大切さ」、「障害者から見た現在の福祉」などがあり、現在までに数多くの都道府県で講演してきたそうです。

 

体が不自由であるため、長時間の講演は体が辛くなることもあるそうです。しかし、講演は清水哲さんにとって生きがいで残された機能を活かしてできることだそうです。

辛い体験をしたからこそ、清水哲さんの講演は心に響くものがありそうです。

 

この記事を書く際に参考にした書籍「桑田よ清原よ生きる勇気をありがとう」「車いすの不死鳥 絶望の淵から夢を追って」も執筆しています。障害者としての生活や社会との関わり方、自己表現について詳しく書かれています。

 

また、清水哲さんは特定非営利活動法人 ホームベースの理事として介護サービスに関わり、障害のある人が少しでも生活を豊かにできるように努力を続けています。

 

 

まとめ

 

筆者は地方中核病院の急性期病院に勤務する医師です。

脊髄損傷のうち、特に頚髄の損傷では首から下が麻痺になることで生活を普通に行うということは難しいです。大変なことが多いであろうことは、医師であれば想像はできます。しかし、清水哲さんのように脊髄に損傷を受けた人のその後や生活環境については知らないことがたくさんありました。書籍を読んでみて、障害を負っても力強く生きる清水哲さんの姿に感銘を受けました。

この記事が、脊髄損傷という病気がどのような症状を起こすのかということや、脊髄損傷を負っても力強く生きている人がいるということを知るきっかけになると幸いです。

 

 

 

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