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脳卒中リスクが8.5倍!? 高血圧で病気リスクはどれくらい変わる?

 

以前まで成人病と呼ばれていた高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は、今や毎日のように耳にする言葉となりました。

テレビCMでは連日減塩や低糖質の商品を宣伝し、お腹の脂肪を取るための生薬を勧めています。

 

それにも関わらず、現在の国内の高血圧患者数は約4300万人と推定されており、まだまだ増え続ける傾向にあります。

 

高血圧最大の原因は塩分の過剰摂取であり、長期的な高血圧は動脈硬化を進展させてしまうため、放置してしまうと脳血管障害や虚血性心疾患、大動脈系疾患などを発症させるリスクを増加させてしまいます。

 

またこれらの疾患はどれも致死性が高いため、できる限りの予防策を張ることが非常に重要です。

 

そこで本書では、高血圧が心臓や脳にもたらす影響について解説するとともに、我々が取るべき対策についても解説して行きます。

<高血圧がそれぞれの疾患に与える影響について>

 

 

高血圧は脳梗塞や脳出血などの脳血管障害にとって最大の危険因子となります。

脳血管障害は予防医学の発達とともに年々減少傾向にありますが、依然として罹患率や死亡率は急性心筋梗塞よりも高い水準を保っています。

 

特に興味深いデータとして、血圧のレベルと脳血管障害、特に脳出血の発症リスクは正の相関関係にあるという点です。

つまり、血圧コントロールが悪ければ悪いほど、脳血管障害を罹患しやすいということになります。

 

具体的には、高血圧ではない人(上の血圧が140 mmHg未満、下の血圧が90mmHg未満)と比較した時、軽度の高血圧の人(上の血圧が140-159mmHg、下の血圧が90~99mmHg未満)では3.3倍、重度の高血圧の人(上の血圧が180mmHg以上、下の血圧が110 mmHg以上)では8.5倍も脳卒中に罹患しやすいと報告されています。

 

この傾向は心疾患でも同様であり、脳血管障害と同様に普段の血圧が高ければ高いほど、発症リスクが増加する傾向にありました。

 

そもそもなぜ高血圧になると、これらの疾患のリスクが増加してしまうのでしょうか?

 

高血圧とはその言葉通り、血管の抵抗が高いことを意味しています。

血管に圧力がかかっていくため、血管もその圧力に耐えるために徐々に固くなっていき、さらには脆くなっていきます。

これを動脈硬化といい、この状態の血管は本来持つべき弾性を失った状態であり、多少の血圧の変化でも破綻しやすくなっているのです。

 

そのため、高血圧は脳や心臓のみならず、血管が通う腎臓、肝臓、肺などすべての臓器に悪影響をもたらします。

例えば腎臓であれば末期腎不全のリスクを上昇させることが知られています。

まさに高血圧は全身病であり、いかに危険な病気かが分かるかと思います。

 

ここまで分かっている以上高血圧を予防しない訳にはいきませんが、近年の日本人における高血圧の現状はいかがなものでしょうか?

 

<日本人における高血圧の現状>

 

 

 

まず前提として、日本での正常血圧は上の血圧が120 mmHg未満、下の血圧が80mmHg未満と定義されています。

それに対して、上の血圧が140 mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上の場合を高血圧と定義しています。

これらの数値は診察室測定下を基準としており、家庭内血圧はすべて-5mmHgで定義されています。

 

以上を踏まえて、日本における高血圧の現状を見ていきましょう。

 

漬物文化、魚文化の日本人はもともと塩分摂取量が多い国であり、さらに近年では食生活の欧米化も伴って、先進国の中では塩分摂取量が多いとされています。

しかし、過去60年の日本人の平均血圧を見てみると男女ともに年々低下傾向にあり、予防医学の一定の効果を感じます。

 

また、2020年の上の血圧の平均値は男性132.0mmHg、女性126.5mmHgであり、この10年間男女とも有意に減少しています。

また、上の血圧が140mmHg以上の者の割合は男性29.9%、女性24.9%であり、こちらもこの10年間男女とも有意に減少しています。

 

さらに、医療の発達に伴い高血圧を管理されている人の割合は増加傾向にあり、その影響からか有病率も増加していません。

ここまでのデータでは、予防医学や医療の発達により、血圧管理が以前よりも進んでいることが分かります。

 

しかし、有病者数に関しては今後の高齢化社会を考えると増加していく可能性が高く、日本での血圧管理も年々厳格化する必要があります。

実際に最新の2019年度版・高血圧治療ガイドラインの診断基準では、「上の血圧が140mmHg以上」になったら高血圧症と診断されますが、130mmHg以上でも異常値と定義していることから、上の血圧が130mmHg台になったら一度医療機関を受診することをおすすめします。

 

余談ですが、皆さんはなぜ血圧が上と下の2つに分かれているかご存知ですか?

上の血圧は、心臓が収縮して全身に血液を送り出しているときの血圧のことで、全身の臓器に流れる血液の圧そのものです。

それに対し、下の血圧は心臓が拡張している時の血圧です。

 

臨床的には上の血圧が重要視されており、多くの場合下の血圧は臨床的意義を持ちません。

しかし、心臓の血流だけは別です。

 

心臓はまさに筋肉の塊であり拡張することで血液を溜めて、収縮することで一気に全身に血液を供給している訳ですが、心臓そのものも冠動脈を介して血液を供給されています。

冠動脈は心筋内部を走行しているため、心臓が収縮している時は血管が圧迫されてしまい血流が低下してしまいます。

逆に、心臓が拡張した時に冠動脈の血流が増加して心筋に血液が供給される訳です。

 

つまり、多くの臓器への血流は上の血圧が指標になりますが、心臓への血流だけは下の血圧が重要なのです。

 

<血圧を下げるために取るべき対策とは?>

 

 

持続的な高血圧がいかに全身に悪影響か、そして年々血圧管理が厳格化している時代背景を踏まえると、皆さんも血圧に対して今よりさらに高い意識を持つ必要があります。

 

そこで、血圧管理のための取るべき対策をご紹介します。

 

  • 塩分を控える

 

最も効果的な対策は減塩です。

塩分の過剰摂取は血圧を上げる主要因であり、普段から塩分を摂りすぎる傾向のある方は、減塩を心がけましょう。

日本人男性の食塩摂取量は1日7.5g未満,女性は6.5g未満とされていますが,欧米のいくつかの国では,一般の人にも6g未満を推奨しています。

また世界保健機関(WHO)も,すべての成人の減塩目標を5gに設定しています。

 

残念ながら、世界的にみても日本人の塩分摂取量は断トツに高い水準にあるため注意が必要です。

 

  • ストレスを溜めない

 

ストレスを感じると、副腎と言われる臓器からコルチゾールというホルモンが分泌されます。

このコルチゾールには血圧を上昇させてしまう働きがあるため、過度なストレスの蓄積は要注意です。

 

  • 野菜の摂取

 

野菜に含まれるカリウムには、血液中に含まれるナトリウムを尿へ排出する力があります。

つまり、カリウム摂取によって塩分をうまく体外へ排出でき、血圧を下げる効果が期待できます。

 

そのほかにも、ダイエット、節酒、運動習慣などできることはたくさんあります。

 

まとめ

長期的な高血圧に伴う動脈硬化で誘発される病気は致死性が高いものが多いため、これを機に生活習慣を見直してみてください。

 

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