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「前立腺ガン」の患者が急増中!予防する方法はあるの?

 

肺、胃、大腸、膵臓、胆嚢、腎臓などなど。

人体には多くの臓器が存在し、それに伴ってガンにも多くの種類が存在します。

国や人種、地域によっても罹患しやすいガンや、罹患しにくいガンは異なります。

 

2019年の国内データでは、以前まで多かった肺ガンや胃ガンは、それぞれ禁煙対策やピロリ菌除去が進んだことで年々罹患者数は減少、もしくは横ばいの傾向にあります。

逆に、ここ数年日本人で最も多いガンは大腸ガンに置き換わりました。

大腸ガンの発症が増加している理由としては、食文化の欧米化の影響によるものと指摘されています。

 

このように、ガンの発生や罹患率には、それぞれのガンの原因や国の行ってきた対策が非常に強く影響しています。

 

では、近年急増している前立腺ガンにはどういった背景があるのでしょうか?

2000年代に入り、前立腺ガンの罹患者数は増加の一途を辿っています。

2000年頃は年間20000人程度の罹患者数でしたが、2020年には90000人以上が罹患し、5倍近くも罹患者数が増加してしまいました。

 

そこで本書では、前立腺ガンがここまで一気に増加した理由や、その背景、我々が取るべき対策などについて詳しく解説していきます。

<前立腺ガンの統計情報について>

 

 

まず、前立腺ガンの現在置かれている状況を数字も踏まえて解説します。

膀胱の直下に存在する前立腺は本来精子に栄養を与え、精子を保護する役割を担っています。

そして、前立腺ガンとはその名の通り前立腺がガン化したものです。

 

国立ガン研究センターが発表しているデータによれば、2018年に前立腺ガンと診断された患者数は92021例であり、これは人口10万人あたり150人ほどが罹患していることになります。

2000年頃は年間20000人程度の罹患者数でしたが、2020年には90000人以上が罹患し、5倍近くも罹患者数が増加してしまいました。

現在、男性が罹患するガンを部位別に見ていくと、2位の胃ガン、3位の大腸ガン、4位の肺ガンを差し置いて第1位に躍り出ています。

 

年代別に見ると、50代から急激に罹患率が上昇し、75歳前後で罹患率はピークに達します。

 

それに対し、死亡者数は年間12000人程度であり、これは人口10万人あたり20人ほどが死亡していることになります。

男性の部位別罹患者数で第1位であったにも関わらず、死亡者数では第7位であり、前立腺ガンは比較的死亡する患者の割合が少ないことが分かります。

 

実際に前立腺ガンは10年生存率95.7%と非常に高い生存率を誇るガンです。

前立腺ガンが前立腺の中でとどまっている「ステージⅡ」以下なら、10年生存率は100%、ガンが前立腺の外に染み出す「ステージⅢ」でも96.4%。転移を伴う「ステージⅣ」になってはじめて44.5%と大きく下落します。

 

以上のことから、前立腺ガンの罹患率は非常に高くなっているものの、早期発見できればそこまで怖くないガンであると言うことが分かります。

では、なぜ2000年代に入ってからここまで急激に罹患者数が増加してしまったのでしょうか?

 

<急激に増加した前立腺ガン!その理由とは?>

 

 

統計的に見ると、2000年代に入ってから急激に罹患率が上昇しています。

もちろん、高齢化などの人口動態の変化が要因の1つであることに間違いはありませんが、高齢化の影響を除した年齢調整罹患率を見ても、明らかに2000年代から罹患率が増加しているため、高齢化だけでは現在の急増は説明が付きません。

 

結論から言えば、急激な罹患者数の増加に最も寄与している要因は「PSA検査の普及」です。

PSA(Prostate-Specific Antigen)というのは、「前立腺特異抗原」という前立腺の上皮細胞から特異的に分泌されるタンパク質分解酵素の一つで、1979年に発見されました。

 

ほとんどの前立腺ガン細胞はPSA産生能を有しているため、一度前立腺ガンが発生しガン病巣の器質的、機能的構築の乱れが生じると、PSAはガン病巣より血中に移行し、PSAの血中濃度が上昇するわけです。

このような性質を利用して、前立腺ガンがあるか否かの診断が可能になり、現在、前立腺癌のスクリーニング(検診)に応用されています。

 

日本でも、主に50歳以上の男性を対象に、各自治体が中心となって前立腺ガン検診の普及に努めてきました。

2000年代に入り検診普及率が向上し、その影響で前立腺ガンと診断される患者数が急増したと考えられます。

 

日本の泌尿器科学会では、血液中のPSA値が4.0ng/ml以上であれば、全例前立腺針生検を行うことを推奨しています。

前立腺針生検とは、実際に肛門から前立腺に向けて針を刺して、直接前立腺の組織を採取し、ガン細胞の有無を調べる確定診断をつけるための検査方法です。

 

これは、血清PSA値が上昇するにつれて前立腺ガンの生検陽性率が上昇するというデータ(PSAが4-10ng/mlで25-30%、10ng/ml以上で50-80%)に基づいています。

またそのほかの興味深いデータとしては、治療前のPSAが100ng/ ml以上の場合には、ほぼ100%の確率で転移病巣の存在を意味し、20ng/ml以下では約99%に骨転移を認めないとされています。

これらのデータは、ある種PSA検査を行ううえで非常に意義を持たせるデータだと思います。

 

また前立腺肥大症や前立腺炎といった病気でもPSA値は上昇することがあり、PSA高値=前立腺ガンと決まっているわけではありませんので、まずは泌尿器科に受診することをおすすめいたします。

 

PSA検査は、その簡便さと臨床的意義の高さからも非常に費用対効果の高い検査である一方で、否定的な意見があるのも事実です。

前立腺ガンと診断されても90%以上は前立腺ガンが直接の死亡原因にはならないとも言われており、治療しなくてもよいガンを発見して治療してしまう可能性を考えると、無駄が多い検査なのではないかと言う意見もあるのです。

 

どちらにせよ、PSA検査の普及が前立腺ガンの罹患率を急増させたことに間違いはなく、筆者としてはリスクの高まる50代以上であれば検査を受けるべきだと考えています。

 

次に、前立腺ガン増加のもう1つの要因は「食生活の欧米化」です。

前立腺ガンの発症に関しては、食生活も少なからず関係していると考えられています。

日本人は元々、前立腺ガンにかかる人が少ない人種でしたが、戦後食生活の欧米化が進み、肉や乳製品など動物性タンパク質や高脂肪の食品の摂取が多くなるにつれて罹患率が増えていきました。

 

これは、前立腺ガンの発症に関わる男性ホルモン(テストステロン)の原料がコレステロールであり、高脂肪食品の摂取増加による男性ホルモンの被曝量増加が影響していると考えられています。

 

他にも、家族性の遺伝も関係していると言われています。

前立腺ガンが不安な方は自身の家族歴を確認して、近親者に前立腺ガンになったことがある方がいる場合は、40歳になったら一度、PSA検査を受けることをオススメします。

実際に40歳代で発症する人はほとんどいらっしゃいませんが、PSAの上昇速度などを経過観察することが大切であり、ガン発症前のPSA値を把握しておくことは非常に重要なことだからです。

 

<我々の問うべき対策とは?>

 

 

以上のことから、まず50歳以上であればどの男性もPSA検査を受けるべきです。

その上で、前立腺ガンの予防になると言われている大豆や大豆製品、トマト、アブラナ科の野菜であるブロッコリーやカリフラワー、玉ネギ、ニンニクなど、抗酸化作用の高いものを積極的にとるようにしましょう。

また、喫煙や多量の飲酒は避け、適度な運動を心掛けましょう。

 

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