失業や病気・ケガによる休職などで一時的に収入が減少すると、家計が厳しい状態に陥ります。そんなときに家計の助けになるのが「生活防衛資金」です。
いざというときに使える生活防衛資金があれば、突発的な収入減少や臨時出費発生時にも余裕を持って対応できます。精神的な不安の解消にも繋がるため、「家計の備えがない」という人は今から少しずつ貯め始めましょう。
今回は、予期せぬ収入減少や出費が発生したときのリスク対策として、生活防衛資金の貯め方や金額の目安を解説します。
生活防衛資金とは?いくら必要?目安は生活費の3~6か月分
失業や病気・ケガの影響で一時的に収入が減ったり、臨時出費が発生したり。家計には予期せぬ事態が付きものです。「生活防衛資金」とは、このような予期せぬ事態に備えて用意しておく、まとまった資金のことをいいます。
生活防衛資金は、一般的に「1か月の生活費(あるいは収入)の3~6か月分が目安」と言われています。ただ、これはあくまで目安。実際の必要額は各家庭の状況により異なるため、各家庭で必要額を考えることが大切です。
たとえば、会社員で共働きのDINKsのケース。この場合、夫婦のうち一方が休職しても会社の健康保険から傷病手当金が出ます。子どももいないため、家計の収入減少を一方の配偶者が残業を増やすなどで対処することも可能です。そう考えると、DINKsに多額の生活防衛資金は不要でしょう。
関連記事:【会社員の強い味方】「傷病手当金」とは?支給要件と注意点を解説
他方で、子育て世帯の場合、子どもがいるため収入減少時の補填が容易ではありません。子育て世帯は元々子どもに関する出費が多いことから、DINKsと比べて備えるべき生活防衛資金は多くなります。
また、夫婦のうちどちらかが自営業で国民健康保険の場合は、傷病手当金がないために有給や休職時の保障がありません。その際は、より多めに生活防衛資金を備えておくと安心でしょう。
このように、各家庭の家族構成や働き方、健康保険の加入状況などで必要な生活防衛資金は変わってきます。まずは失業や病気・ケガで休職した際にどんな公的保障や福利厚生が用意されているのかを確認し、用意する生活防衛資金を決めましょう。
生活防衛資金がない!貯め方のコツは3つ
「生活防衛資金がない」「特に用意していなかった」という人は、今から貯めて予期せぬ事態に備えましょう。
貯め方のコツは、以下の3つです。
- 先取り貯蓄
- ボーナスを貯蓄に充てる
- 固定費を見直す
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
1.先取り貯蓄を設定する
てっとり早く貯蓄を始めるためにまず設定しておきたいのが、先取り貯蓄です。
先取り貯蓄とは、収入が入ったら先に貯蓄をして、残りのお金で生活する癖をつけること。給与日に銀行の自動定期積立預金を設定して「給与日と同時に一定額を預金する」ようにすれば、強制的に貯蓄できます。会社員であれば、会社の財形貯蓄制度を活用して給与天引きで貯蓄する方法もあるでしょう。
この機会に会社で使えそうな給与天引きの貯蓄制度がないか、一度確認してみてください。
2.ボーナスを貯蓄に充てる
会社員でボーナスが出るのであれば、「ボーナスは生活費に使わず貯蓄」に充てましょう。
なぜなら、ボーナスは急に減ったり無くなったりする可能性があるからです。ボーナスとは会社が任意で従業員に支払うもので、いくら支払わなければならないという法的義務がありません。事実、コロナ禍では多くの企業が困窮し、ボーナスカットや減額のニュースが流れました。
したがって、ボーナスを生活費や住宅ローン・家賃の返済などに充てるのは得策ではありません。生活費や住宅ローンなど毎月絶対に必要な費用は極力給与で支払い、ボーナスはできる限り貯蓄に回しましょう。そうすれば、より早く生活防衛資金を備えられるはずです。
3.固定費を見直す
「先取り貯蓄できるほどの余裕がない」「そもそもボーナスがない」という人もいるでしょう。
現在の家計がすでにギリギリの状態という人は、まず家計の固定費を見直すことが大切です。家計の固定費とは、毎月定額で発生する支出のこと。一度固定費を見直せば節約効果が永続的にあるため、家計の見直しに最適です。
<固定費の例と見直しのポイント>
- 住宅ローン:現在のローン金利が高い場合、借り換えで利息を削減できないか検討する
- 家賃:より家賃が安い住居への引っ越しを検討する
- 水道光熱費の基本料金部分:「都市ガス」と「電気」は供給会社や契約プランを見直してみる
- 通信費(スマホや固定電話、ネット回線の基本料金部分):サービスの供給会社や契約プランを見直してみる
- 生命保険・損害保険料:契約内容を見直してみる
- 新聞代:紙の新聞から費用の安い電子新聞への切り替えを検討してみる
- 各サブスクリプションサービス料:定期的に契約サービスを確認し、不要なサービスは解約する
上記のうち、気軽に取り組めて効果が高い方法は「通信費」「生命保険・損害保険料」の見直しです。まずはスマホやネット回線、保険の見直しから始めてみるといいでしょう。
また、ハードルは高いものの、余裕があれば「住宅ローン」や「家賃の見直し」も検討してみてください。住居費は家計の中で大部分を占めるため、見直しすれば大きな節約になります。
まとめ:生活防衛資金を貯めるまでのリスク対策
生活防衛資金の目安は生活費の3~6か月分です。現在まとまった貯蓄がなく、これから生活防衛資金を貯める人は、「貯めるまでのリスク対策」を考えておくといいでしょう。
「貯蓄は三角、保険は四角」という言葉があります。貯蓄はコツコツ積み立てていくため右肩上がり(三角形)に増えていきますが、保険はいつから始めても同額(四角形)の保障があることを示すものです。貯蓄だと、貯まるまでに生じた収入減少や支出の増加といったリスクへの対処が困難ですが、保険だといつ始めても一定の保障を受けられます。
したがって、一定の生活防衛資金が貯まるまでのリスク対策には、こうした民間の保険を考えてみるのも一つの方法です。収入の減少に備える保険には、病気やケガで給付金を受け取れる「医療保険」や、働けないときに役立つ「就業不能保険」や「所得補償保険」があります。
関連記事:「医療保険があれば大丈夫じゃないの?就業不能保険が必要な人、所得補償保険との違い」
ただし、民間の保険を考える際はまず会社の健康保険(社会保険)や福利厚生で受けられる保障を確認してからにしてください。また、働けなくなった際には公的制度でもらえるお金があります。以下の記事で解説しているため、あわせてご覧ください。
続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:
働けなくなったときにもらえるお金は何がある?代表的な社会保障制度を解説
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