老後は、所得税や住民税など、あらゆる税金の支払いが不要になると思っている方は多いのではないでしょうか。
実は、退職金や公的年金、私的年金(iDeCoや個人年金保険など)などの受取時には税金が発生する可能性があります。
他の所得が一切なくても、何らかの税金が発生することがあるため、老後のライフプランを適切に立てるためにも、事前に確認しておきましょう。
ここでは、セカンドライフのお金を考えるために知っておきたい老後の税金について詳しく解説します。
老後に税金が発生するケース
以下のお金を受け取ったときは、税金が発生する可能性があります。
- 退職金
- 公的年金
- 私的年金
- 個人年金
- 死亡(満期)保険金
それぞれ、受け取ったときに発生する可能性がある税金の種類について、詳しく見ていきましょう。
退職金
退職金を受け取る際は、所得税と復興特別所得税、住民税が発生します。所得税と復興特別所得税の算出方法は次のとおりです。
- 退職金額から退職所得控除額※1を差し引いた額に2分の1をかけて課税退職所得を算出する
- 課税退職所得に所得税率をかけて控除額※2を差し引き、所得税を算出する
- 所得税に2.1%をかけて、復興特別所得税を算出する
※1 退職所得控除額は、以下のように勤続年数が20年以下・20年超で異なります。
退職所得控除額 | |
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数−20年) |
※2 所得税率と控除額は、以下のように課税退職所得で異なります。
所得税率と控除額 | ||
課税退職所得 | 税率 | 控除額 |
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~ 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,00円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
出典:国税庁『No.2260 所得税の税率』
住民税は、課税退職所得に各市区町村が定める住民税率をかけて、調整控除と税額控除を差し引いて算出します。
公的年金
公的年金のうち、税金がかかるのは「一定額以上の老齢年金」です。
65歳未満の場合は108万円以上、65歳以上の場合は158万円以上の老齢年金を受け取ると、所得税と復興特別所得税がかかります。税額の算出方法は次のとおりです。
- 所得税=(年金額-国民健康保険料や介護保険料などの各種控除)×所得税率-控除額
- 復興特別所得税=所得税×2.1%
通常は年金額より所得税を特別徴収した額が支払われますが、年金以外にも所得がある人などは確定申告が必要となります。
私的年金
私的年金とは、公的年金に上乗せする形で給付を受ける制度です。
確定給付企業年金や確定拠出年金(iDeCo)、厚生年金基金、国民年金基金、個人年金保険などがあります。中でも注目度が高い確定拠出年金(iDeCo)と個人年金保険における税金についてチェックしましょう。
確定拠出年金(iDeCo)は、自分で掛金を拠出・運用し、掛け金と運用益の合計を「一時金として支給(退職所得)」か「年金として受給(雑所得)」のいずれかの方法で受けることができます。確定拠出年金の受け取ったお金には所得税と復興特別所得税がかかります。
適用される所得控除は、一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受給する場合は公的年金等控除です。
個人年金保険は、保険料を払い込むことで一定期間、あるいは一生涯にわたり年金を受け取れる貯蓄型保険です。保険料を払い込んだ本人が満期保険金を年金方式で受け取る場合は雑所得扱いとなり、所得税と復興特別所得税がかかります。
老後に受け取る可能性がある非課税のお金
老後に受け取る可能性があるお金の中でも、以下のものには課税されません。
障害年金
障害年金とは、障害を負った場合に年金方式でお金を受け取れる制度です。公的年金の一種ですが、老齢年金のように課税されることはありません。
遺族年金
遺族年金とは、厚生年金や国民年金の被保険者が亡くなった際に、遺族に支給される公的年金の一種です。こちらも障害年金と同様に、所得税や相続税などは課税されません。
まとめ:税金を踏まえて収入と支出を正確に計算しよう
セカンドライフの計画を立てる際は、収支を明確にすることが先決です。
予想外の税金がかかることで貯蓄が想定以上に目減りして、自分にとって理想のセカンドライフを実現できなくなる可能性があります。
今回、ご紹介した老後にかかる可能性がある税金も踏まえて、セカンドライフにおけるお金の計画を正しく立てましょう。以下の記事では、セカンドライフにかかる生活費について解説しています。あわせて参考にしてみてください。
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