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知らないと損!日本の皆保険制度は海外とどこが違う?これまでの歴史や今後の課題は?

思わぬケガや病気に対する備えとして頼りになるのが公的保険制度です。

日本の保険は「国民皆保険」と呼ばれ、全ての日本国民が公的医療保険に加入できる制度となっています。

 

世界的にも高い評価を受ける日本の保険制度は、具体的にどのような点が優れているのでしょうか。

 

今回は日本の国民皆保険制度の特徴と、国民医療費の推移から見た制度のこれからについて解説します。

国民皆保険制度とは

 

国民皆保険制度とは、国民全員が何らかの公的医療保険に加入し、相互扶助のもと安価で治療を受けられる制度です。

日本の公的医療保険は職業や雇用先、年齢などの条件によって加入できる保険組合が異なりますが、基本的には医療費の自己負担(窓口負担)が3割となるうえ、月間の医療費が高額になりすぎない制度の適用や出産補助などがうけられます。

 

国民皆保険の歴史

日本の公的医療保険制度はおよそ100年以上前から始まっており、以下のような歴史を経て現在に至っています。

 

1922年    (旧)健康保険法の制定

1938年    (旧)国民健康保険法の制定

1943年    被保険者の定額自己負担導入

1958年    国民健康保険法の制定

1961年    国民皆保険制度の確立

1973年    70歳以上の医療費自己負担を無料化

1983年    老人保健法の施行

1984年    職域保険における被用者保険者の自己負担1割

1997年    職域保険における被用者保険者の自己負担2割

2003年    職域保険における被用者保険者の自己負担3割

2008年    後期高齢者医療制度の開始

2015年    医療保険制度改革法が成立

2018年    国民健康保険の財政運営を市町村から都道府県単位に変更

《引用》国民皆保険の歴史|日本医師会

 

現在の国民健康保険法の基礎となる旧健康保険法が1922年に制定され、日本の保険制度がスタートしました。その後国民健康保険法の制定・改正を経て1961年に国民皆保険制度を確立。国民誰もが健康保険の恩恵を受けられる国となりました。

 

1973年には70歳以上の医療費自己負担の無料化が行われ、高齢者に対する保障が最大化されました。

 

しかし、1983年からは始まった老人保健制度では入院・外来の定額負担が導入され高齢者医療が有料化。

1984年からは被用者保険(被雇用者が加入する健康保険)の自己負担割合が上がりはじめ、2003年には現在の3割負担まで増加しました。

 

その後、2008年の後期高齢者医療制度の開始、2015年の医療保険制度改革法の成立により、現代保険制度が形作られています。

 

 

世界の保険制度との違い

 

日本に公的医療保険制度があるように、世界各国にはそれぞれ独自の保険制度があります。

日本と代表的な国の保険制度を比較した表が以下の通りです。

 

  制度類型 加入対象者 加入率 医療費負担額
日本 社会保険方式 全国民 100% 原則30%
ドイツ 社会保険方式 自営業者・高所得者以外 87% 外来:なし
入院:1日1ユーロ
薬剤:10%
フランス 社会保険方式 全国民(一部除く) 99% 外来:30%
入院:20%
薬剤:35%
スウェーデン 税方式 全国民 100% 広域担当者によって異なる
イギリス 税方式 全国民 100% 原則自己負担無し
アメリカ メディケア
メディケイド
メディケア:65歳以上の高齢者・障害者

メディケイド:所定の条件を満たす低所得者

37.1%※2015年 メディケア:入院:60日間は1,340ドルまで自己負担
その後は入院日数に応じて所定の金額を自己負担
メディケイド:自己負担なし(または少額)

《参照》厚生労働省「医療保障制度に関する国際関係資料について」をもとに作成

 

以下では、各国の制度を項目ごとに比較します。

 

 

制度類型:

保険制度は大きく分けて「社会保険方式」「税方式」に分類されます。

 

日本と同じ社会保険方式を採用しているのはドイツとフランスです。フランスは国民のほぼ全員が加入する日本に近い制度ですが、ドイツは自営業者および高所得者が対象外であり、国民皆保険ではありません。

 

加入者100%の国民皆保険を実現しているのはスウェーデンとイギリスです。これらの国は社会保険方式ではなく税方式を採用しており、公的医療保険の財源は全て税金で賄われています。

 

高額医療で話題となるアメリカには、国民全員をカバーする保険制度は存在せず、国や州が運営する公的医療保険として、65歳以上を対象としたメディケア、低所得者向けのメディケイドといった制度があります。

 

これらの制度は対象が限られているため、利用者は国民の20%程度に留まっていましたが、バラク・オバマ大統領が行った医療保険改革「オバマケア」により、2015年には37.1%が公的医療保険に加入できるようになりました。

その他のアメリカ国民の大半は民間保険を利用していますが、未だに無保険者が10~15%いるなど、大きな保険格差が存在しています。

 

 

医療費負担:

医療費負担の割合も各国で大きく異なります。

 

日本は原則3割負担であり、同じ社会保険方式のフランス・ドイツも定率の自己負担を求めています。

税方式を採用するスウェーデン・イギリスは自己負担なしまたは低額と、国民が負担する医療費はほとんどありません。

 

アメリカのメディケア制度は複雑であり、保有する保険によって年間の免責金額、定額負担額、負担割合などが大きく異なります。

メディケイドは低所得者が対象であるため、原則として保険料を支払う必要はなく、医療費の自己負担なし(または少額)で保健医療を受けられます。

 

 

日本の国民皆保険は維持されるのか

 

他国と比較すると、日本の国民皆保険制度は優秀な制度であることがわかります。

しかし、現在の国民皆保険制度が永久に維持される保証はなく、自己負担割合の増加や保険料の増額が行われる可能性は十分にあります。

 

国民皆保険制度の改悪が危惧される理由のひとつに、増大する国民医療費があります。

 

平成元年(1989年)には19兆2,900億円だった国民医療費は平成22年(2010年)には37兆4,202億円と倍増し、令和元年(2019年)には44兆3,895億円と過去最高を記録しました。

それに伴い国民全体の所得合計にしめる税金+社会保障費の割合である「国民負担率」が上昇傾向にあり、令和3年(2020年)には過去最高の48.1%を記録しています。

 

すなわち、日本は国民の所得の約半分が税と社会保障費に費やされる国になってしまったのです。

 

今後も医療費の増加が加速し国民負担率が上昇し続けてしまうと、現状の国民皆保険を維持できなくなる日がやってくるでしょう。

いきなり国民皆保険制度が消滅することはなくても、現役世代が負担する保険料が値上げされ、自己負担割合が引き上げられる可能性は十分に考えられます。

 

今後高齢化社会の度合いが進行するに従い、経済力がある現役世代には厳しい要求が突きつけられると予想されます。

おそらくは稼いだお金の半分をとられる厳しい時代を迎えますので、少なくとも個人が支払う医療費を低減して資産形成に回せるような自助努力が重要になるでしょう。

 

 

まとめ

 

日本の国民皆保険制度は世界的にも優れた制度のひとつであることは間違いありません。

しかし、超高齢化社会が近づくにつれて制度の維持が苦しくなり、同時に現役世代への負担増加が進行し続ける問題も抱えています。

今でこそ公的医療保険の自己負担率は3割で据え置きになっていますが、今後引き上げのメスが入るとすれば、まずは現役世代から増えていくことは想像に難くありません。

 

こうした保険制度の改悪が予想される背景には、日本の医療が長年抱え続けている制度上の問題が存在しています。

なぜ自己負担率が上がっているのに国民医療費は増え続けているのか、その理由は!?

 

こちらのコラムでは、日本の医療制度が逼迫した先にある未来と、逼迫の原因となる医療事情を解説しています。

将来的に軽減が見込めない医療費負担に備えるため、私たちはどうすれば良いのでしょうか?

ご興味のある方は、ぜひご覧になってください。

 

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