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知らないと損!この状況が続けば医療費で国が破綻する“医療貧国”になりかねない!?

今、日本が「医療貧国」への道を着実に歩んでいるのはご存じでしょうか。

 

世界的にも優秀と評価される日本の国民皆保険制度。全ての国民が安価な保険診療を受けられる優れた制度ですが、その“国民皆保険神話”に陰りが見え始めています。

 

優れているはずの日本の医療制度はなぜ不安視されているのでしょうか。

 

今回は医療貧国化が見え隠れする日本の医療が抱え続けている問題について解説します。

日本の医療を逼迫させる「入院日数」

 

令和3年(2021年)に国民負担率が48.1%に到達し、過去最高を記録しました。

 

国民の所得に対する税金+医療費の割合である国民負担率の増加には、数十年継続して上がり続けている医療費の存在がありますが、日本の医療費が下がらない理由のひとつに長い入院日数があるといわれています。

 

【引用】厚生労働省「第3回地域医療構想及び医師確保計画に 関するワーキンググループ」

 

OECD加盟国における急性期医療の平均在院日数を比べると、日本が突出しており、2位のポルトガルと大きな開きがあります。他の主要国(ドイツ、スペイン、イギリス、アメリカ)は日本の半分から3分の1程度の日数で退院していることがうかがえます。

 

 

また、下表のとおり短期化はしているもののG7加盟国と比較すると、まだ乖離があることが分かります。

 

【引用】厚生労働省「第3回地域医療構想及び医師確保計画に 関するワーキンググループ」

 

 

病床数においても日本は各国と比べて高い傾向があります。

 

【引用】厚生労働省「第3回地域医療構想及び医師確保計画に 関するワーキンググループ」

 

同じく急性期医療の平均病床数はOECDの中では最も多い病床数となっています。2位である韓国と大きな開きはないものの、世界トップの病床数であることは間違いありません。

 

この3つのグラフからは、日本は病床数が多いうえ、ひとつのベッドあたりの在院日数が非常に長い国であることがわかります。ではなぜ日本の医療における在院日数は他国に比べて長いのでしょうか。

 

かつて日本の診療報酬は出来高払いだった時代がありました。診療行為の金額を積み上げて診療報酬を算定していたため入院日数の長期化に比例して病院経営が潤う仕組みになっていましたが、2003年からは傷病の種類ごとに計算される包括支払い制度となったため現在は短縮化される傾向にあります。(2つ目のグラフ参照)

 

 

世界が日本の医療制度に覚える違和感

 

先進諸国は医療効率化への取り組みを強めており、入院期間を短縮させ病床回転率を上げ、最終的には病床数の減少へ繋げようという動きを見せています。

こうした世界標準の動きとは別に、日本の現状はかけ離れた実態であると言わざるを得ません。

 

かかる状況下、厚生労働省は病床数の総量規制を設けベッドを新設させない姿勢を取っています。

 

しかし、既存の病床を減らすことは法的に行えないため「増えないが減らせない」という現状維持に留まっています。

そのため先述した診療報酬の出来高払いの影響により1970年代に急増した病床が今も残り続け、病床の数に比例して医療費が発生しているのが現状といえます。

 

昭和48年(1973年)に3兆9,496億円だった国民医療費は、翌年から1兆円規模の増加を繰り返しています。

診療方針の見直しにより増加の鈍化が期待されましたが、入れ替わるように少子高齢化が進行し、令和元年(2019年)には44兆3,895億円と、過去最高を記録しています。

 

今、個人負担額が少ない国民皆保険制度として評価された日本の医療が、その姿を保てなくなり始めています。

国民皆保険は日本の発展を支えてきた“屋台骨”ともいえる制度です。その発展を未来につなぐためにも、抜本的な医療制度改革が求められるところです。

 

 

まとめ

誰もが安全な保険診療を受けることができる国民皆保険制度は、解説したように「長すぎる入院期間」と「多すぎる病床数」による非効率な実態を抱えたまま、抜本的な解決の糸口が見当たらない状況が続いています。

本件は国民医療費が増加し続けるひとつの要因ではあるものの、やがては現役世代の負担として重くのしかかり、さらなる社会保障の縮小へと繋がっていく懸念があります。

 

こうした一面から私たちが自ずと受け止めざるを得ない”無言のメッセージ”が「自助努力の強化」です。

今後益々、社会保障を頼りにくい時代へと向かうことが明確である中、現役世代に求められるのは、自らの力で自身の「人生の安全」を守る“自助の精神”です。

 

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なお、引き続き「なぜ、国民の負担は増え続ける一方なのか?」「これから国民皆保険制度はどうなってしまうのか?」などについてご興味のある方には、こちらのコラムをおすすめします。

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