健康・医療の世界にも、新しい時代がやってくる?!
2016年、政府は日本が目指すべき未来社会の姿として、「Society5.0の実現」を掲げました。これは第6期 科学技術基本計画におけるものです。とはいえ、なかなか聞きなれない言葉ですよね。
Society5.0の実現って、一体何を目指しているのか。その概要をお伝えします。
目指すべき未来社会の姿
そもそも科学技術基本計画は1995年に制定されたもので、長期的視野に立って体系的かつ一貫した政策を行うために、5年ごとに見直しが行われています。また経済的・経済的課題に対応した研究開発力を強化するため、毎期約20兆円の予算がつけられています。
Society5.0の提言を掲げた第5期は、約26兆円の予算を投資しました。その変遷を見てみましょう。
科学技術基本計画
<第1期 1996~2000年度>
- 政府研究開発投資の拡大、ポストドクター1万人計画
<第2期 2001~2005年度および3期 2006~2010年度>
- 重要性の高い研究分野への重点化(重点推進4分野: ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料)
- 競争的資金の倍増と間接経費(30%)の導入
<第4期 2011~2015年度>
- イノベーション政策の重視
- 重要性の高い研究分野への重点化から、社会的課題達成を重視 する方向への転換
<第5期 2016~2020年度>
・我が国が目指すべき未来社会としてSociety 5.0を提唱
<第6期 2021~2025年度>
・ Society 5.0の実現と、総合知による社会変革、知・人への投資
「Society5.0」とは
Society5.0はサイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムで、人々に豊かさをもたらす超スマート社会を意味しています。
Societyは1.0から始まり、それぞれ人の社会がどのように進化してきたのかを現しています。
- Society 1.0:狩猟社会
- Society 2.0:農耕社会
- Society 3.0:工業社会
- Society 4.0:情報社会
- Society 5.0:新たな社会
出典:内閣府ホームページ
つまり、人の進化、人を取り巻く環境や技術の進化により、今までには無い新しい社会を創りだそう、というのが、Society5.0の超基本的な考え方です。
さまざまな分野でSociety5.0の実現に向けた動きがありますが、健康・医療分野では、予防検診の普及、ロボット介護技術の開発など、健康寿命をのばすことと、社会コスト削減を目指しています。
第6期科学技術計画はイノベーション基本計画
第6期科学技術計画は、2021年度からです。第6期から計画の名称は変更され、科学技術・イノベーション基本計画とされました。
これまでの基礎研究を、イノベーションの創出と社会実装に繋げるステージとする、という考え方によるものです。
そのため、これまでに培われた科学技術をもとに新しい製品を開発することや、それらを浸透させる、あるいは新しいサービスを創り出すことが、求められています。
また、Society5.0の概念も進化しました。
進化した、Society5.0の概念
定義:持続可能性と強靱性を備え、国民の安全と安心を確保するとともに、一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会
政府研究開発予算は2025年度までの5年間で約30兆円です。官民一体となった研究開発では約120兆円を投資し、経済発展と社会課題解決の両方を実現していきます。
解決を強化すべき社会課題とは?
現在の日本で日々問題の生じている社会課題には、環境問題や少子高齢化、食糧危機などたくさんあります。社会問題を解決するために強化する分野として、以下のものを掲げました。
【基盤分野】
- AI技術
- バイオテクノロジー
- 量子技術
- マテリアル
【応用分野】
- 環境エネルギー
- 安心・安全
- 健康・医療
- 宇宙
- 海洋
- 食料・農林水産業
医療は応用分野のひとつになります。
健康寿命をのばすだけでは、経済的な豊かさにはつながりません。そのため、社会に参加し続ける期間をのばし、経済的な豊かさにもつながる「社会参加寿命をのばす」という、新しい言葉が発信されました。
Society5.0時代のヘルスケア
Society5.0では、経済・産業サイドはデジタルトランスフォーメーション(DX)によるサステナブルな資本主義の確立を目指しています。聞きなれないと、何を言っているのか分かりにくいですが、「未病ケア・予防」「個別化」「個人の主体的な関与」がSociety5.0のヘルスケアで提唱されています。では、どのような事が必要とされているのでしょうか。
Society5.0時代のヘルスケアで必要なアクション
たとえば、昨今話題に上ることが多いものに、次のようなことがあります。
- 医療介護提供体制のDX
- 個人起点のDX
- DXに向けた環境・関係法の整備
新型コロナウイルス感染の拡大と長期化により、上記DX推進の中には予測できないスピードで実用化が広がったものもあります。そのため、活用の実態を踏まえて制度が再検討されているテーマも多くあります。
特に、オンライン診療や服薬指導は、この2年間で一気に進展しました。この医療提供方法の変化は、リアルとデジタルが融合した健康・医療の未来像を現実的なものにしました。
2040年の未来社会
文部科学省が発刊する科学技術白書をご存知でしょうか。「令和2年版科学技術白書」では、科学技術が広げる2040年の未来社会(Society 5.0)が描かれています。
文部科学省 令和4年版 科学技術・イノベーション白書より
この数年で急激に加速した健康・医療のデジタル化の流れは今後どのように受け継がれていくのでしょうか。
そして、2040年にはさらに新しい技術やサービスの社会実装が進むでしょう。その結果、健康や医療の価値はどのように変化をしていくのでしょうか。
まとめ:新しい未来はすぐそこに
2040年のSociety5.0時代のヘルスケアは、健康レベルがデジタルにより数値化されることで個人の無形資産になるかもしれません。また、センシング技術の進化で「無意識だけれども健康になる」という可能性だってあります。誰もが快適で質の高い生活を送ることのできるSociety 5.0に実現は、すぐそこまできているのかもしれません。
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