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ドル・コスト平均法との違いは?「バリュー平均法」のメリットとデメリット

その時々によって変動する商品の“価値”に着目した「バリュー平均法」を解説

 

積立投資の投資手法としてよく知られている「ドル・コスト平均法」。これに似た投資手法に「バリュー平均法」があります。

バリュー平均法は、教育資金や住宅購入資金など、お金が必要な時期と目標額が決まっている運用に向いた手法で、ドル・コスト平均法よりも高いリターンが期待できるとされています。

バリュー平均法とはどのような投資手法なのか。今回はその特徴とメリット・デメリット、ドル・コスト平均法との違いについて解説します。

 

 

 

バリュー平均法とは?

 

バリュー平均法(Value Averaging)とは、最終的な目標額と運用期間から逆算して、運用資産額が一定額ずつ段階的に増えていくよう、投資額を調整する手法のことです。

 

 

バリュー平均法の例

 

例えば1年後に120万円を目標として、以下のような商品に投資する場合、運用資産額が1ヶ月につき10万円ずつ増えていくよう、毎月の投資額を調整します。

 

【運用商品の1年間の値動き】

 

【運用資産額、毎月の投資額の推移】

 

※筆者作成

 

【運用商品価格、運用資産額、毎月の投資額(新規投資額)の推移(単位:円)】

 

 

1月に投資した10万円は、2月に運用商品の価格が9,500円に値下がりしたことで9万5,000円になっています。2月の目標資産額は20万円なので、新規投資額は不足分の10万5,000円です。

前回の買付時から値下がりした月は運用資産額がその月の目標額を下回るため、新規投資額は10万円を超えます。一方、前回の買付時から値上がりした月は、運用益の分だけ新規投資額は少なくて済み、10万円を下回ります。

また、6月と12月のように大きく値上がりすると、買付け前に運用資産額が目標額を上回ることがあります。このような場合、新規投資は行わず、目標額を超えた分は売却して運用資産額をその月の目標額に揃えます。

このようにして1年間投資を続ければ、確実に目標額の120万円を達成できます。この例では、買付額から売却額を差し引いた投資累計額が98万131円、最終的な運用益は21万9,869円(+22.4%)です。

 

 

バリュー平均法のメリット

 

バリュー平均法のメリットは、ルールを守って投資を続ければ確実に目標額を達成できることです。

運用が不調でも投資額を増やして調整するため、運用期間を通して運用資産は目標額に向けて着実に増えていきます。

運用商品の価格にあわせて新規投資額を調整するため、結果的に安いときには多く、高いときには少なく買うことになり、平均購入単価を下げる効果も期待できます。

 

 

バリュー平均法のデメリット

 

バリュー平均法のデメリットは、運用商品が値下がりしたときに新規投資額が増えてしまうことです。下落が大きいほど上乗せしなければならない投資額も増え、負担が大きくなります。

バリュー平均法は、投資額を調整して段階的に設定された目標額を達成していくことが前提であり、必要な投資額を捻出できないと成り立ちません。運用商品の下落が続けば、途中で続けられなくなるリスクは高まります。

投資額が一定でないため資金計画が立てにくい点や、目標額にあわせて毎回投資額を調整する手間がかかる点などもデメリットです。

 

ドル・コスト平均法との違いは?

 

積立投資の手法で有名なのが「ドル・コスト平均法」です。

ドル・コスト平均法は、決まったタイミングで一定額ずつ投資する定期定額投資により、運用商品の価格変動にあわせて購入する口数を調整する手法です。調整するといっても投資額を変えないだけなので、特に何かするわけではありません。

バリュー平均法は運用商品の価格変動にあわせて投資額を変え、目標額を上回った場合に運用商品を売却することもあります。これに対し、ドル・コスト平均法の投資額は一定であり、運用を終えるまで原則売却しない点が大きな違いです。

ドル・コスト平均法は投資する商品によって自動積立も可能で、ほとんど手間がかりません。それに対し、バリュー平均法は毎回自分で投資額を計算しなければならず、やや手間のかかる投資方法です。

 

 

確実に目標額を達成したいなら「バリュー平均法」の利用を検討してみよう

 

バリュー平均法は、確実に目標額を達成できるのが特徴です。また、ドル・コスト平均法に比べて平均購入単価の引き下げ効果が大きい傾向があり、より高いリターンが期待できます。

一方で、毎回積立額の計算が必要で手間がかかり、運用商品の価格が下落すれば投資額が増えるといったデメリットがあります。

バリュー平均法とドル・コスト平均法、それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解したうえで、運用目的や投資スタイルにあった方法を選ぶことが大切です。

次の記事では、バリュー平均法やドル・コスト平均法で重要な鍵を握る「長期投資」の注意点について解説しています。あわせてご覧ください。

 

 

 

 

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