悪性新生物(ガン)、心疾患、老衰、脳血管障害。
これは、2021年の日本人が死亡する原因上位4疾患です。
このうち老衰を除いたガン、心疾患、脳血管障害の3つの疾患を合わせて三大疾病と呼び、3疾患を合わせると日本の死因の半分以上を占めています。
中でもガンの死亡率は非常に高く、2021年にガンで死亡した人は全死亡数の25.6%にも及びました。
さらに、ここまで医療が発達したにも関わらず、心疾患の死亡者数は増加傾向にあります。
それに対し、脳血管障害は治療の質や予防医学の向上に伴い、近年死亡者数は減少傾向にあります。
しかし、どちらにせよこれらの疾患はどれも高額な医療費や長期入院による差額ベッド代、後遺症に対するリハビリ費用など、患者やその家族に多くの負担を強いることになります。
多くの人が罹患、もしくは死亡すると分かっているこれらの病気に対して、対策を取らないわけにはいかない時代になって来ています。
そこで、本書では三大疾病について解説するとともに、我々が取るべき対策についても解説して行きます。
<2人に1人が死亡する!恐ろしい三大疾病とは?>
2021年に報告された日本人の死亡者数は143万9809人であり、年々増加傾向にあります。
もちろん高齢化の影響が非常に強く、今後も高齢者の増加が見込まれることから、死亡者数の増加が予測されます。
では、人間はどんな理由で死亡しているのでしょうか?
2021年の死因別順位では、第1位は悪性新生物(ガン)であり、全死亡数の25.6%にも及びました。
第2位は心疾患であり、全死亡数に占める割合は14.9%でした。
昭和60年に脳血管障害に代わって第2位の座に就いて以降、増加傾向です。
第3位は老衰でした。
老衰も高齢化の影響を受け増加傾向にあります。
平成30年に脳血管障害に代わって死因第3位になり、2021年の全死亡数に占める割合は10.6%でした。
次いで、第4位は脳血管障害です。
医療の発達や予防医学の向上によって、その罹患者数や死亡率は年々減少傾向にあり、2021年の全死亡数に占める割合は7.3%にまで減少しました。
以上のことから分かる通り、老衰を除き、病気によって死亡する場合2人に1人が悪性新生物(ガン)、心疾患、脳血管障害のいずれかで死亡していることになります。
この中でも、心疾患や脳血管障害は広義の病名であり、いくつかの疾患の総称です。
では具体的にどういった病気なのでしょうか?
<死因第2位!心疾患とは?>
心疾患とは心臓の病気というだけで、具体的に心臓のどこがどう悪くなっているのかという情報は一切含まれていません。
実際にはいくつかの病気を合わせて心疾患として括っています。
- 虚血性心疾患
虚血性心疾患とは、心臓を栄養する血液が不足し心臓が酸素不足に陥る病気のことです。
そもそも心臓とは、寝ている時ですら動き続け、運動時には激しく鼓動を繰り返しているため、非常に多くの酸素を必要とする臓器なのです。
そこで、普段心臓から拍出された血液の5%程度が、冠動脈と呼ばれる血管を介して心臓の筋肉に供給されています。
冠動脈を通って新鮮な血液が心臓の筋肉に入り、たくさんの酸素や栄養を渡すことで心臓の運動は成り立っているのです。
しかし、この冠動脈は細い動脈であるため、閉塞しやすい血管でもあります。
動脈硬化などによって血管内腔が狭小化していくと、徐々に心臓の筋肉に供給できる血液が低下していくため、運動時には相対的に酸素不足に陥ってしまい、胸の痛みや違和感、息苦しさ、吐き気、嘔吐などといった症状が現れます。
これを「狭心症」と呼びます。
さらに、狭小化した血管が完全に閉塞してしまったり、血栓が飛んで詰まってしまうと、心臓の筋肉に対する酸素供給が途絶えてしまい一気に壊死します。
これを「心筋梗塞」と呼び、壊死した心筋は再生しないため、心臓から充分な血液が全身に送り出せなくなり、迅速に治療しないと死に至る恐れがあります。
狭心症は多少なりとも血液が流れているのに対し、心筋梗塞は完全に血流が遮断されているため、心筋梗塞の方がより危険な状態と言えます。
- 不整脈
心臓は基本的に、電気信号によって常に一定のリズムで拍動しています。
心臓の効率的な運動は全て電気信号でコントロールされていますが、その電気系統に異常が生じることで心臓の拍動リズムに乱れが生じ、不整脈となります。
代表的な不整脈としては、心房が勝手に独自のリズムで収縮してしまう心房細動や、心室の電気信号が異常に乱れることで正常な拍出が得られなくなる心室細動などが挙げられます。
主な症状は脈が飛ぶ感覚、動悸、冷や汗、吐き気、めまい、意識消失などのですが、その中でも心室細動は数分以内に死に至る危険なものです。
心房と違い心室は全身に血液を送るポンプであり、心室がまともに動かないと血圧が出なくなってしまうため、数秒間で意識を失い、回復のためには除細動を行わないといけないのです。
- 心不全
心不全とは、「なんらかの原因で心臓の機能が低下している状態」のことです。
急に心機能が低下した場合を『急性心不全』、普段から持続的に心機能が低下している場合を『慢性心不全』と区分しています。
心不全になる原因は前述した心筋梗塞や不整脈以外に、心臓の構造異常である弁膜症や先天性心疾患など様々ですが、共通した症状として息切れ、身体のだるさ、食欲低下、呼吸困難感、浮腫みなどが現れます。
<死因第4位!脳血管障害とは?>
脳血管障害とは、脳の血管に異常が生じる病気の総称のことで、下記疾患が含まれています。
- 脳梗塞
脳梗塞とは、脳を栄養する血管が動脈硬化によって狭小化したり、血栓が飛んでしまい閉塞してしまう病気のことです。
脳細胞は心筋と同様、酸素なしでは生きられない細胞であり、血流が途絶えることで壊死してしまいます。
近年では医療の発達により、脳梗塞が起こってから4-5時間以内に血栓を溶かす治療を行うことができれば、障害が残らない可能性もあります。
しかし、必ずしも早期に治療を開始できるわけではないため、障害が残るケースも多いです。
脳は様々な機能を有する神経細胞の集合体であり、障害される部位によって多くの神経症状をきたします。
具体的には、手足の麻痺やしびれ、嚥下障害、記憶障害、意識障害、見当識障害などが挙げられます。
- 脳出血
脳出血は、何らかの原因により脳の血管が破れて、脳の中に出血を起こす病気です。
もともと動脈瘤や動脈硬化によって脆弱性のある血管に対し、急激な血圧の上昇が加わることで血管が破綻し出血することが多いです。
出血による血の塊が脳を圧迫したり、脳に浮腫が起こったりして、脳の機能が障害されます。
症状は頭痛や吐き気、嘔吐、手や足の運動麻痺・感覚障害などさまざまです。
- クモ膜下出血
クモ膜下は頭蓋骨という固い器で囲まれた閉鎖空間であるため、その内部で出血が起きると、頭蓋内の圧力が急激に上昇してしまい脳が圧迫されます。
その結果、脳がコントロールしている呼吸や循環が停止し死に直結することもあります。
突然バットで殴られたような痛みや、吐き気、意識を失うこともあります。
前述したように、三大疾病全体で日本人の死因の半分以上を占めているため、我々はしっかりと対策や準備をしておく必要があります。
日本人の約半分の命を奪っている三大疾病ですが、医療もどんどん発展しているので適切な治療をすれば助かることも多くなりました。
しかしその反面で、今まで助からなかった命も助かってしまうため、今まで以上に医療費がかかるようになりました。
また、医療費そのものの患者負担額は、保険診療で最大3割負担、かつ高額療養費制度の併用でさらに軽減されますが、それ以外の負担はご自身で支払う必要があります。
個室に入れば差額ベッド代、入院期間中の食事代、オムツ代、口腔ケアのための使い捨てスポンジ、パジャマのレンタル代など。
特に入院が長期化しやすい脳卒中では、約3ヶ月と長期入院が必要になり、このような雑費が意外と負担になってきます。
さらに、無事に退院できても後遺症が残ってしまった場合、自宅のリフォームや介護が必要になります。
家族の誰かが要介護になれば、家族は肉体的、精神的、経済的に大きな負担を抱えることになります。
そこで、我々が取るべき対策は2つ。
1つは、そもそも疾患に罹患しないように日常生活から気をつけることです。
三大疾病の多くは生活習慣病によって罹患する可能性が高まるため、生活習慣の是正によってリスクを軽減できます。
2つめは、なんらかの民間保険に加入しておくことです。
三大疾病に罹患すれば、一時金や就業不能給付金などが支給されるため、経済的負担を軽減することができます。
まとめ
特に男性の場合、就業不能時の経済的リスクが大きく、かつ心疾患は男性の方が罹患しやすいため、より一層の注意が必要です。
【おすすめ】
当サイトは、皆さんの各種リテラシーをアップデートする情報やコラムを多数掲載しています。
特に、今回の解説に連動したこちらの記事はおすすめです。直下(黒いボタン↓)の 「続けてご覧になっていただきたい記事はこちら」 からご確認ください。
また、他の情報が気になる方には、下方の 「今回の記事に関連するおすすめ記事」 をお勧めします。お好みに合わせてご選択ください。
続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:
関連するおすすめの記事はこちら:
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。
コメント