-住宅改修、休業給付、家族介護慰労、高額介護費用関連など、いろいろあります。-
皆様は『介護は受ける側、それを支援する家族への金銭的負担が大きい』という漠然としたイメージを持っていませんか?
実際に介護は平成30年の生命保険文化センターの調査結果によると
- 平均期間:54.5か月
- 月々の費用:平均69万円
とされており合計で500万円ほどかかるとされています。
おそらく想像通りかなりお金がかかりますね・・・
しかしこれらの費用は『公的介護保険』を使うことによって自己負担額を1~3割に軽減することができますので実際にここまでの現金を必要とすることはありませんが、介護には自己負担額以外にも
介護保険適応外の介護費用
家族を介護するための休業による収入の減少
など意外な部分にお金がかかってくるのも現実です。
今回の記事では『介護でもらえるお金』に焦点をあて、申請を行うことでもらえる住宅改修、休業給付、家族介護慰労、高額介護費用関連の情報について発信していきます。
これらのお金の中には制度を把握しておき、自ら申請を行わないともらえないものも多くありますので必ずチェックしておきましょう。
住宅改修や福祉用具の助成制度をチェックする
実際の介護サービスは1〜3割の自己負担(90%以上は1割負担)で受けることができますが、特に大きなお金がかかるのが住宅改修や福祉用具に関するお金です。
住宅改修にかかる費用を補助(高齢者住宅改修費用助成制度)
日常生活を安全・安心に過ごすために下記のような住宅改修を行う際は『高齢者住宅改修費用助成制度』を利用することができます。
- 手すりの取付
- 段差の解消
- 通路の拡大や転倒予防のための床材の変更
- 扉の取り換え
- 便器の取り換え
あくまで上記のような工事を対象にしており全ての工事に対応するわけではありませんがそのような場合20万円分まで支給される制度となっています。(そのうち1~3割を自己負担)
仮に『20万円分』申請した場合の内訳は
- 支給額:14万~18万円
- 自己負担:6万円~2万円
とイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。
ただし、対象となる工事に加え
- 一部条件を除き助成制度は生涯で1度だけしか申請できない
- 申請は工事前に行う必要がある
- 申請書、完成予定図など専門的な書類が必要になる
などのハードルがあるため「知り合いの工務店に手すりを付けてもらったけど申請したい」などといった気軽な申請を行うことはできません。
専門知識のあるケアマネージャーや施行業者としっかり協議を行った上で進めるようにしましょう。
介護に必須の福祉用具の助成も(特定福祉用具購入費の支給)、腰かけ便座(ポータブルトイレ)、入浴補助用具(お風呂用のいす)などはレンタルすることができず購入となります。
その費用が支給される制度が『特定福祉用具購入費の支給』です。
同年度内の支給上限額は10万円となっております。
介護用品は購入すると高額な費用がかかるため、購入後は各種申請書や福祉用具購入の領収書などを用意して申請を行いましょう。福祉用具は基本的にレンタル制度を活用しましょう。
水回りや排せつ関係以外の福祉用具は購入ではなくレンタルが可能です。
車いすやベッド、リフトや歩行器などの介護用品を全て購入すると莫大な費用がかかりますがレンタルサービスを利用することで月数百円から利用することができます。
またメンテナンスや修理、交換などもレンタル業者に依頼することができますので安心です。
レンタルを行う場合はケアマネージャーにケアプランを作成してもらう必要がありますので連絡をおこないましょう。
高額医療同様、高額介護にも補助制度があります
介護保険を使用した場合、自己負担額は1〜3割で大丈夫ですが、万が一都合上介護度の上限額を超える費用が必要になってくる場合があります。
自己負担を超えた分の払い戻し(高額介護サービス費支給)
介護サービスの利用料において1か月の自己負担額が上限額を超えた場合、その分の払い戻しを受けられる制度が『高額介護サービス費支給制度』です。
上限額は世帯収入によって下記のように異なります。
- 現役並み所得者(課税所得145万円以上):4万4000円
- 住民税非課税者:2万4600円
高額介護サービス費支給は上限を超えた月の3か月後の上旬に各自治体から申請のお知らせが届きますので、役所の保険年金課で手続きを行うことができます。
高額医療・高額介護合算療養費制度
世帯内の介護にかかったお金、医療費を合わせたとき年間の自己負担額上限を超えている場合も払い戻しの制度があります。
高額介護サービス費支給制度と同じく上限額は
- 課税所得145万円以上380万円未満:67万円
- 住民税非課税者かつ70歳以上の方がいる世帯:31万円
となっております。
こちらは7月末日に加入している医療保険、国民健康保険及び後期高齢者医療制度に加入している場合は保険年金課での手続きが必要です。
介護を行う家族様にも支給のあるサービスがあります
介護に関する金銭的な負担は介護を受ける利用者だけではなく、日常の介護を行う家族にもあります。
介護保険の自己負担分や老人ホームの費用を負担しているような直接的金銭負担の場合はもちろん、仕事をしながら介護を行っている場合は通院や介護による休業などの時間的負担やその影響による収入の低下にもつながります。
このような場合を救済するため、家族に対する金銭的な支援制度も存在しますので在宅介護を行っている場合は積極的に活用しましょう。
2週間以上家族を介護するために休業する(介護休業給付金)
常時介護が必要なご家族様の面倒を見ており、そのために休業した場合『介護休業給付金』を申請することにより給与の最大67%が支給される場合があります。
休業は介護が必要な家族1人につき93時間を限度に上限3回に分けて取得を行うことができます。
家族介護慰労金
家族の介護を1年以上行っているが1年間介護保険サービスを利用していない場合『家族介護慰労金』を申請する事ができます。
具体的な申請には
- 要介護4または5の認定を受けている方を介護している同居家族
- 1年間介護保険サービスを利用していない
- 通算90日以上の入院をしていない
- 世帯が「住民税非課税世帯」であること
という条件がありますので、該当する場合は申請しましょう。(条件は自治体によって異なりますので事前確認が必要です)
支給額は年額10万円〜12万円程度となります。
家族が共倒れにならないように・・・サービスを使いましょう
いかがだったでしょうか。
今回の記事でご紹介させていただいたように、いざ介護が必要になった際に申請を行うことによって支給されるお金を知っておくと便利です。
(これらの補助制度は自発的に申請を行う必要があるため制度を知らないと損をすることになります。)
また介護サービスを受ける側だけでなく介護を行う家族に対する補償を知っておくことが非常に重要です。
『親の介護』が非常に重要なのは間違いありません。
ただ、介護する家族は両親がなくなった後も人生が続きます。
介護を行う側の幸せを考えると、できれば休業や会社を辞めないことを前提に介護を継続していくことが重要です。
介護は非常にお金がかかることで今回の補助金だけでは十分にまかなえないことも珍しくありません。そのために補助金について理解しておくだけでなく将来を考えた貯えや、任意保険の加入などを将来的に考えておくことも重要です。
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