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定年後、年金以外にもらえるお金は何がある?注意点は「請求しなければもらえない」!

定年後にもらえるお金は、公的年金だけではありません。

 

実は、公的年金以外にもお金がもらえるうえ、そのお金が非課税所得となる公的制度(以下・制度)があるのです。

 

ただし、これらの公的制度は自分から請求しないとその恩恵が受けられません。この記事では、請求しなければお金がもらえない、公的年金以外の制度についてご紹介します。

【雇用保険適用者向け】「会社を定年退職後に再就職希望の人」が請求するとお金をもらえる制度

 

会社を定年退職後に再就職を希望している場合は、雇用保険の中から以下3つの制度を使える可能性があります。

 

・失業給付

・高年齢求職者給付金

・教育訓練給付制度

 

どのようなお金がもらえるのか、具体的に見ていきましょう。

 

1.失業給付

定年退職した65歳未満の会社員が再就職を希望する場合、ハローワークに求職の申込みを行った後に「失業給付」の申請ができます。

 

受給要件 
  1. 求職活動を行う65歳未満の失業者 
  2. 離職日以前の2年間で雇用保険の被保険者期間通算12ヶ月以上の人 
  3. 離職日以前の1年間で雇用保険の被保険者期間が通算6か月の特定受給資格者および「特定理由離職者」 

「1と2」または「1と3」の要件をともに満たしている人 

給付期間  原則として離職日の翌日から1年間 
給付額(60~65歳)  7,096円/日 

 

ただし、年金受給者は失業給付の対象外です。

 

2.高年齢求職者給付金

定年退職後に再就職を希望する65歳以上の人は、「高年齢求職者給付金」の給付申請ができます。

受給要件 
  • ハローワークで求職申し込みを行った失業者 
  • 離職日以前の1年間に雇用保険の被保険者期間が通算6カ月以上 

の両方を満たしている 

給付期間  原則として離職日の翌日から1年間 
給付額 
  • 被保険者期間1年以上 基本手当日額の50日分 
  • 被保険者期間1年未満 基本手当日額の30日分 

※離職前の6ヶ月間に支払われた賃金をベースに基本手当日額を算出 

 

高年齢求職者給付金は年金受給者でも受給できます。

 

3.教育訓練給付制度

再就職でスキルアップを図りたい人は、教育訓練給付制度の利用がおすすめです。厚生労働大臣指定の職業教育訓練修了後に、受講費用の一部が支給されます。

 

支給対象者 
  • 受講開始日現在雇用保険の支給要件期間が3年以上または被保険者資格を失ってから受講開始日まで1年以内の人 
支給額 
  • 専門実践教育訓練 

受講費用の50%(年間上限40万円) 

※一定の要件を満たすと最大で受講費用の70%(年間上限56万円)支給 

 

  • 特定一般教育訓練 

受講費用の40%(上限20万円) 

 

  • 一般教育訓練 

受講費用の20%(上限10万円) 

 

【雇用保険が適用されない人向け】請求するとお金をもらえる制度

先ほどご案内した制度はすべて、定年退職前の職場で雇用保険に加入していた人向けのものでした。

 

そこで、ここでは雇用保険の適用がなかった人向けに、請求すればお金をもらえる可能性のある制度を2つご紹介します。

 

4.生活支援給付金+無料の職業訓練

雇用保険の適用がなかった人は、一定の要件を満たせば月10万円の「生活支援給付金」を受給できる可能性があります。

 

支給対象者  ・廃業した自営業やフリーランス 

・雇用保険の適用がなかった離職者、定年退職者 

・雇用保険の受給が終了した人 

・一定以下の収入で働きながら正社員を目指す非正規雇用者 

・本人の収入が月8万円以下(世帯全体の収入が月40万円以下) 

・世帯全体の金融資産が300万円以下 

など、一定の所得・資産要件などを満たす方 

支給額  ・月10万円の給付金+無料の職業訓練を受けられる 

 

 

本制度は、月10万円の給付金を受けながら無料の職業訓練を受講し、再就職や転職を目指すための制度です。事前にハローワークで求職の申込みを行い、その後給付申請を行います。そのため、定年後にも働く意欲があることが大前提となっています。

 

家族に養われている求職者など、要件を満たさない場合は生活給付金を受給できませんが、無料職業訓練だけ受講することは可能です。

 

 

請求すると医療費の負担を軽減できる制度

請求・申請すれば、医療費の負担を軽減できる制度もあります。

5.高額療養費制度

公的医療保険(国保など)の加入者(本人・家族など)が1ケ月に払った医療費の合計額が自己負担の限度額を超えた場合、超えた分の医療費が給付される制度です。

 

【自己負担の限度額】

所得や年齢により異なります。

 

<70歳未満>

  • 3万5,400円~「252,600円+(総医療費-842,000円)×1%」

 

<70歳以上>

  • 外来(個人):8,000円~「252,600円+(総医療費-842,000円)×1%」
  • 外来・入院(世帯):1万5,000円~「252,600円+(総医療費-842,000円)×1%

※12ヶ月以内に3回以上上限額に達した場合は、4回目から上限額が下がります。

 

【制度の利用方法】

制度の利用方法は2種類あります。

 

  1. 現在加入する公的医療保険に限度額適用認定証の発行申請を行い、医療費の支払い時に限度額適用認定証を提示する
  2. 医療費を全額支払った後、公的医療保険に限度額を超えた分の給付申請を行う

 

通常は窓口での医療費負担額が小さい1を選ぶ人が多いです。

 

6.高額介護合算療養費制度

公的医療保険と介護保険を両方利用する世帯が、1年間(8月~翌7月)の医療保険と介護保険の自己負担限度額を超えた分の給付を受けられる制度です。

 

【自己負担の限度額】

所得や年齢により異なります。

 

<70歳未満>

34万円~212万円

 

<70歳以上>

19万円~212万円

 

【制度の利用方法】

高額介護合算療養費制度の利用手続きは以下の手順で行います。

 

  1. 介護保険者(市区町村)より「自己負担額証明書」の交付を受ける
  2. 医療保険者(国保など)に「自己負担額証明書」を提出

 

以上の手続きが終わると、限度額超過分となる「高額介護合算療養費」と「高額医療合算介護サービス費」が給付されます。

 

 

請求すると介護費用の負担を軽減できる制度

予防を含む、介護費用を軽減できる制度も利用できます。

 

7.住宅改修予防給付

要介護・要支援の認定を受けた介護保険加入者は、介護費用の負担を軽減できる介護サービスを利用できます。その一つが住宅改修予防給付です。

 

段差解消等の住宅改修を行う前に必要書類を添えて住宅改修予防給付の申請を行うと、住宅改修費(支給限度基準額20万円)の9割(上限額18万円)が支給されます。

 

原則としてこの制度は生涯に一度だけ利用できますが、一定の条件を満たす場合に限り再度利用できます。

 

8.在宅要介護者介護手当

一定の要件を満たす要介護者を在宅介護する人が、お住まいの市町村に申請すると支給されるお金です。受給の要件や支給額は自治体により異なります。

 

 

「定年後にもらえるお金」は忘れずに請求しよう

以上の制度を利用すれば定年後のお金の心配が軽減されます。ただ、いずれも請求しなければもらうことはできません。

 

ご自身にとって利用できるもの、できないものがわからない場合には、制度に詳しいファイナンシャル・プランナーや社会保険労務士など、専門家に聞いてみるのも一つの方法です。もらえるお金がないか確認し、忘れずに請求しましょう。

 

また、定年後は働きながら年金をもらいたいという人は、以下の記事で注意点を解説しています。あわせてご確認ください。

 

 

続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:

「老後は年金をもらいながら働く」の注意点。働くと年金が減るって本当?

 

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