在職中は会社が手続きを行ってくれていた健康保険。
定年退職後には、自分で何らかの保険に加入する手続きを行わなければなりません。
定年退職後に加入できる健康保険にはどのような選択肢があるのでしょうか。
今回は定年退職後に選べる健康保険の種類と選び方を紹介します。
定年退職後も健康保険に入れる?
日本の健康保険の制度は「国民皆保険」が前提となっており、全ての国民が何らかの健康保険に加入する必要があります。
定年退職を迎える60歳以降は医療機関の利用頻度が上がる傾向にありますので、自分の条件にあった健康保険への加入を行いましょう。
定年退職後に保険に入る方法4選
定年退職にともない会社の保険から脱退した人は、何らかの健康保険に加入しなければなりません。定年退職後に加入できる保険には大きく分けて4つの選択肢があり、それぞれ特徴や加入のための条件が異なります。
1.在職時の健康保険を任意継続する
会社員時代に加入していた健康保険は、希望すれば継続して加入を続けることができます。この制度を「任意継続」といいます。
任意継続により延長された健康保険は、会社員時代と同じ条件で制度の利用が可能です。窓口負担割合が変わらないのはもちろん、健康保険を運用する組合が提供する療養所などの施設、提携している民間施設の割引などのサービスも継続して利用できます。
ただし、在職している間の保険料は雇用主が半分負担していましたが、任意継続における保険料は被保険者が全額を負担しなければなりません。また任意継続が可能な期間は最長2年間に限定されており、原則として途中退会はできません。
2年間の保険料は退職時の標準報酬月額が基準となりますので、2年間トータルでみれば割高な保険料を支払わなければならない場合があります。
2.特例退職被保険者になる
在職中の健康保険を継続する方法のひとつが「特例退職被保険者」の加入です。特例退職被保険者は、特定の健康保険組合に加入していた会社員が退職後も同じ健康保険を継続できる制度です。
特例退職被保険者制度を利用すれば、在職中の健康保険と同様の制度が利用できます。特に高額療養費制度以上の医療費の払い戻しを受けられる付加給付は、医療機関の利用が多い人にとっては非常に大きなメリットとなるでしょう。
加入期間は任意継続とは異なり75歳まで継続して加入できるため、一度加入すれば手厚いサポートを長く受けられます。
ただし、特例退職被保険者制度を利用できる健康保険組合は、全国にある約1,400組合のうち約60組合程度しかないため、誰でも利用できるわけではありません。
保険料は年収を問わず固定となっているため、年収が下がっても一定の保険料を支払い続ける必要があります。そのため、退職後の年収によっては、国民健康保険よりも割高の保険料を支払わなければなりません。
また一度加入すると75歳までは脱退ができない制度であることから、長い間高い保険料を払い続けなければならなくなるリスクも考えられます。
3.国民健康保険に加入する
国民健康保険は、退職後に加入する健康保険の選択肢としては一般的です。健康保険に加入できない人向けの保険制度である国民健康保険には、ほぼ加入制限がありませんので、一般的な定年退職者は誰でも加入できます。
国民健康保険の保険料は前年の所得によって決定します。そのため退職した翌年の保険料は在職最終年の所得から算出されるため、収入に対し高額の保険料が請求される場合があります。
一方で、退職にともない年収が大きく減少したなら、2年目以降の保険料は大きく下がります。そのため、加入期間中保険料が変わらない特例退職被保険者制度や任意継続に比べて割安の保険となる期待が持てるでしょう。
4.家族の扶養に入る
健康保険に加入している子どもや配偶者と同居しているなら、家族の健康保険の被扶養者となることで、家族が加入している健康保険制度を利用できます。この被扶養者が健康保険を利用できる制度を「健康保険被扶養者制度」といいます。
被扶養者は健康保険料を支払う必要はありませんが、加入者である家族と同じように健康保険制度を利用できます。また、被扶養者がいても加入者である家族の健康保険料は上がりません。
なお、扶養を受ける被扶養者となるためには、年収に一定の制限がかけられます。60歳以上の高齢者が被扶養者となるためには、年収が180万円以下および扶養者の年収の2分の1以下でなければなりません。
もし退職後にアルバイトで収入を得るつもりなら、扶養から外れない程度の収入に抑えるように注意しましょう。
関連記事:「定年後の税金と社会保険料はどうする?「フルタイムで働く妻の扶養に入る」方法も!」
まとめ
定年退職後は、すべての人が何らかの健康保険に加入しなければなりません。
選択肢は4つあり、それぞれ加入できる条件や保険料が異なります。所属していた会社や退職後の年収によって選べる選択肢は大きく変わりますので、自身の条件にあった健康保険への加入を検討しましょう。
また、健康保険の次に考えたい退職後の年金については、こちらの記事で解説しています。参考にしてみてください。
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