結婚後は家計の状況が大きく変わるため、保険の見直しが必要です。
「子どもができてからでいいのでは?」
「急いで見直しする必要ある?」
と思うかもしれません。
しかし保険の見直しは、家族の将来を考える良いきっかけになります。結果的に税金や保険料を軽減できる可能性もあるため、この機会に夫婦で話しあってみてはいかがでしょうか。今回は、見直しする際の具体的なステップを解説します。
結婚したら保険の見直しが必要な理由は3つ
結婚後に保険の見直しが必要な理由は、大きく分けて以下の3つです。
それぞれ見ていきましょう。
1.必要貯蓄額やライフプランが見えてくるから
結婚すると、子どもやマイホームといった今後のライフプランがだんだんと明確になってきます。ライフプランの内容によっては必要な貯蓄額やリスク対策も変わってくるため、結婚後は保険の見直しが必要です。
たとえば、結婚後数年内にマイホーム購入と子どもを考えている家庭があるとします。マイホーム・出産というライフプランに備えるためには一定の貯蓄が必要ですよね。しかし、貯蓄している途中で世帯主が病気・ケガをして収入が低下したり、思いのほか早く妊娠が発覚して支出が増えたりする可能性もあるでしょう。
ライフプランの実現に向けて貯蓄している途中で発生するリスクに備える1つの方法が、保険というリスク対策商品です。医療保険があれば病気やケガの医療費に備えられますし、就業不能保険があれば働けなくなったときの収入減少に備えられます。会社員であれば働けなくなったときの公的保障として「傷病手当金」がありますが、貯蓄が少ない家庭では公的保障に加えて民間保険を検討するという方法もあります。
関連記事:【会社員の強い味方】「傷病手当金」とは?支給要件と注意点を解説
結婚後は独身時代と違い、今後の家計におけるリスクが異なります。だからこそ、独身時代に加入した保険を夫婦のこれからのライフプランにあわせて見直すことが大切です。見直しの結果不要な保険を減らして保険料を節約できる可能性もあるため、必ず見直しましょう。
2.夫婦の働き方によっては保険料控除の見直しが必要だから
結婚後は、保険料控除の見直しも必要になります。保険料控除とは、一年のうちに支払った保険料の一部を所得から控除することで、所得税・住民税を軽減できる節税制度です。
夫婦の働き方によっては、この「保険料控除を受ける人」を見直したほうがより高い節税効果を得ることができます。
「保険料控除を受けられる人は契約者と決まっているのでは?」と思うかもしれませんが、実は契約者という決まりはありません。独身時代に加入した夫婦別々の名義の保険でも、実質的に保険料を支払っている人が夫一人であれば、夫が両方の保険の保険料控除を受けられるのです。
保険料控除を利用して節税効果があるのは「所得が一定以上ある人」です。専業主婦や扶養内で納税義務がない場合は、保険料控除を受けても節税効果を期待できません。夫婦の働き方にあわせて、どちらが保険料控除を受けるべきか考えて見直せば、世帯全体の節税効果を高められるでしょう。
3.夫婦の将来を話し合う良い機会にもなる
保険の見直しをすることは、夫婦の将来を話し合う良い機会です。結婚後はライフプランが見えてくると先述しましたが、具体性を持った話し合いには発展しない家庭が意外と多いです。
漠然と「子どもは2人ほしいし、マイホームもいずれはほしい」と思っている。しかし「いつ、どのように子育てしたいのか、希望するマイホームの形や場所は?」という具体的な計画になると「そのうち話せばいいや」となっていませんか?しかし、保険の見直しで必要な保険や保障額を定めるためには、こうした具体的なライフプランや今後の収支の流れを明確にしなければなりません。だからこそ、お互いの希望や価値観を話し合う良い機会なのです。
結婚後に保険の見直しをするときは、できる限りファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談しましょう。そうすれば、ライフプランや収支の流れを可視化した表を作ってもらえます。
夫婦の間に専門家が介在することで、子育てや教育に対する思いや、老後の暮らし、旅行の頻度やマイカー保有の希望など、具体的な話をしやすくなります。その結果、結婚前はわからなかったお互いの価値観に気付くこともあるでしょう。
面倒ですが、保険の見直しという大義名分があるからこそこうした話ができるというメリットもあります。子どもが生まれるとじっくり話し合う機会を持ちにくくなるため、夫婦の時間があるうちに将来のことを話し合いましょう。
結婚後の保険見直し3ステップ
ここからは、結婚後にしたい保険の見直し方法を、具体的なステップでご紹介します。
ステップ1:夫婦で加入している保険の内容を把握する
まずは、夫婦で別々に加入している保険の内容をすべて把握しましょう。
自宅にある保険証券や、自宅に届く「ご契約内容のお知らせ」「保険料控除証明書」など、加入している保険の種類や内容がわかるものをかき集めてください。独身時代に両親が加入してくれている保険がある人もいるため、名義や内容を改めて親に確認しましょう。
加入している保険を把握した後は保障内容の確認に進みますが、保険証券の見方がわからない、内容を見てもよくわからないという人もいるでしょう。わからない場合は、保険に詳しいファイナンシャル・プランナーなど、専門家に相談してみてください。
ステップ2:今後のライフプランを具体的に話し合う
加入している保険の種類や保障内容を確認したら、次は夫婦で今後のライフプランを具体的に話し合ってください。
- 結婚後の働き方や家事分担:子育て期間はどの程度働くか、共働きする場合の家事分担をどうするか
- マイホーム購入時期:いつまでにどんなマイホームに住みたいか、どこに住むか。賃貸の場合は引っ越しのタイミングはどうするかなど
- 子どもの計画:子どもはいつまでに何人作りたいか、教育方針はあるか
- 老後の過ごし方:老後はどこでどんな暮らしをしたいか
- その他:旅行の頻度、マイカーの有無など
ライフプランを作る際は、お互い譲れないポイントや考えをできる限り話しておくことです。子どもが中学生になる直前で「実は中学受験をさせたい」といった教育方針を話しても、家計の状況によってはすぐに対処できないかもしれません。また、配偶者は公立校で十分と考えているかもしれないのです。
家計の収支に直結するライフプランは、できる限り具体的に話しておきましょう。そうすればライフステージの変化にあわせて家計が変わっても、うまくやりくりしやすいです。
ステップ3:ライフプランを元に必要な保険・保障額を考える
ライフプランが具体的に固まったら、それを元に必要な保険と保障額を考えます。
このとき大事なポイントは、家計にとって無理のない保険料であること、必要保障額は各家庭で受けられる公的保障や福利厚生によって異なるということです。
無理のない保険料にしよう
保険を見直すときは、家計にとって無理のない保険料におさまるように調整することが大切です。
結婚後は、今後の大きなライフイベント(マイホーム購入や出産など)に向けて資産形成の土台を作らなければなりません。特に結婚後は結婚式や新婚旅行を終えたばかりで、貯蓄額が少ない家庭が多いでしょう。もちろん、貯蓄作りの途中で何かあったときのリスク対策としての保険ですし、貯蓄性のある保険で資産形成するという方法もあります。
ただ、将来のためにと加入した保険で家計が圧迫されてしまうのは本末転倒です。家計に最適な保険料のバランスがわからない場合は、家計や保険の専門家であるファイナンシャル・プランナーに相談することも考えましょう。
必要保障額は各家庭の公的保障と福利厚生によって異なる
見直しの際に必要な保険と必要保障額を考えるときは、各家庭で受けられる公的保障と会社で受けられる独自保障を確認することが大切です。
<公的保障(法定福利厚生)>
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 介護保険
など
<企業独自の保障(法定外の福利厚生や退職金制度)>
- 家族手当
- 住宅手当
- 食費・書籍購入などの補助費
- 貯蓄制度
- 団体保険
- 退職金制度
など
会社員の場合は、まず加入する健康保険の種類を確認しましょう。企業の健康保険といえば「協会けんぽ」が有名ですが、大手企業の場合は独自の健康保険組合を用意し、付加給付制度で手厚い保障を用意していることがあります。付加給付の内容によっては病気・ケガの保障は公的保障で十分、という可能性もあるため、まずは自身が受けられる保障が何かをチェックすることが大切です。
まとめ
結婚したら、夫婦の将来像を話し合うためにも、保険を見直ししましょう。
保険を見直すときは、ライフプランと今後の収支の流れを明確にするために、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。専門家が介在すれば、子どものことや教育方針、結婚後の働き方なども話しやすくなるはずです。
【エピローグ】 もし、このようにお考えなら
ライフステージ別のコラムでは、日常生活の中ではキャッチアップしにくいと思われる様々な情報をお届けしています。既にご存じの情報もあれば、「そうなんだ」「知らなかった」といった情報もあったのではないでしょうか?
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