生命保険を契約していると、保険内容の確認を呼びかける「定期点検」の案内が来ることがあります。この定期点検について、以下のような煩わしさを感じている人もいるでしょう。
「保険を見直すときは自分から声をかけるので、定期点検は不要」
「点検と言いながら、結局は違う商品を売り込まれるのでは」
しかし生命保険の定期点検は、保険金や給付金の請求漏れ問題を改善するために発生したもの。
定期点検によって過去のケガや病気が発覚し、はじめて給付漏れに気付くケースは少なくありません。
せっかくの保険。何かあったときに確実に保険金・給付金を受け取るためにも、定期点検にはできる限り応じることをおすすめします。
本記事では、定期点検の意義や見直しポイントについて解説しています。定期点検が面倒だと感じている人は、参考にしてみてください。
なぜ必要?生命保険会社の定期点検とは
対面で生命保険を販売している生命保険会社の場合、年に一度、訪問による定期点検を実施していることがあります。
これは、名前のとおり定期的に行われる保険内容の確認です。
仕事や家事に追われていると、1年が経つのは早いもの。忙しいときに定期点検の訪問案内があると、「また?」と面倒に感じることもあるでしょう。
しかし定期点検は元々、保険金・給付金の支払い漏れや不払い問題を機に各社の活動が活性化したもの。
本来は、保険金・給付金を漏れなく加入者に届けるための活動です。
健康だと加入内容を忘れていたり、該当する事故があっても忙しくて請求できていなかったり、というケースは意外とあります。
そこで保険会社は、定期的に加入者と接点を持つことで、潜在的な漏れを防ぐよう取り組んでいるのです。
保険によって受け取れるお金は数千万円にのぼることもあり、受け取りの有無は人の人生を左右するほどの影響を持ちます。
自動車の定期点検で周囲や自らの安全を保つように、生命保険でも定期点検を行えば、自らと家族の安全を保てるのではないでしょうか。
定期点検で確認すべきポイント:
意義があるとはいえ、無理に見直しを勧められる、違う商品を押し売りされることがあれば、定期点検そのものが嫌になりますよね。
本来は契約内容の確認を行う活動なのに、活動の趣旨と違う強引な案内があるときには、はっきりと「必要ない。契約内容だけ確認させてください」と伝えましょう。
必要のない案内は断り、契約内容の確認のみを端的に行うポイントは、以下の3つです。
保険金・給付金請求漏れがないかの確認
加入後、身体の不調や病気やケガなどで病院にかかったことはないか振り返ってみましょう。
少しでも心当たりがあれば「こんなことがあって病院に行ったけど、保険は出るの?」と確認してみるといいでしょう。
死亡保険を契約している場合は、「亡くなっていないから請求漏れなんてない」と思うかもしれません。
しかし多くの死亡保険には、生存していても所定の高度障害状態になったとき、死亡保険金と同額の高度障害保険金が受け取れる保障が付いています。
また、保障の対象である被保険者の余命が6か月以内と診断されたときには、死亡保険金の一部または全額を生前に受け取れるリビング・ニーズ特約が付いている保険もあります。せっかくの保険ですから、漏れがないかを徹底的に確認しましょう。
今の契約内容で古くなっている保障はないか確認
保険会社は医療技術や統計データを元に、その時代に適した保険商品を開発しています。長く契約している保険だと内容が古くなっている可能性があるため、保障内容を確認しながら「これって実際今病院にかかっても受け取れるの?」などと確認してみるといいでしょう。
身近な人の病気やケガの事例を持ち出し、「こんな場合、この保険ではいくら受け取れる?」と聞いてみるのもおすすめです。
受取人名義が適切かどうかの確認:
保険金の受取人の名義がこのままでいいのかも確認しましょう。
実は、受取人名義の変更が必要であるにもかかわらず、放置していたことでトラブルが生じるケースは少なくありません。
離婚して受取人が元配偶者の名義になっている、あるいは受取人が死亡したものの変更をせずそのままにしているなどがあれば、いざというときにすぐ保険の請求ができません。
原則として、保険金の請求権は受取人固有の財産とみなされるため、違う人が簡単に請求できないようになっています。
自分に万が一のことがあって請求できない場合の「指定代理請求人制度」の確認
突発的な事故や病気で寝たきり、長期入院などになり自身が請求できない状態にあるときの給付請求はどうなるのかも確認しておきましょう。
指定代理請求人制度がある保険であれば、家族や親族を代理人としてあらかじめ指定でき、万が一の際は給付請求を頼むことができます。
「指定代理請求人制度って付けている?誰を指定していた?」などと尋ねてみるといいでしょう。
指定代理請求人を指定していなければ、自身が交通事故や病気で集中治療室にいるとき、家族が代わりに請求することができません。
無料で利用できる制度なので、スムーズな保険金・給付金受け取りのために必ず指定しておきましょう。
対面の定期点検がない場合は「ご契約内容のお知らせ」を確認しよう
ネット完結型など、非対面での営業活動をメインとしている生命保険会社の場合、対面による定期点検活動を行っていないこともあります。
定期点検がない場合でも、必ず「ご契約内容のお知らせ」を確認したうえで、契約内容は見直すようにしましょう。
「ご契約内容のお知らせ」は定期点検の訪問有無に関わらず、年に一度、すべての保険会社から契約者に向けて送付される書類です。
<ご契約内容のお知らせ> の主な項目
- 証券番号
- 保険種類
- 主な契約内容(被保険者・契約者・受取人/契約期間など)
- 保障内容(保険金・給付金の額など)
ご契約内容のお知らせには、保険証券のように保険契約の主要な情報が記載されています。届いてもすぐ捨てずに、まずは内容を確認してみてください。
どこを見るべきかわからない人は、上記の「定期点検で確認すべきポイント」を元に、わからない点や疑問点をまとめて保険会社に聞いてみるといいでしょう。
見直しをしたいときは、ご契約内容のお知らせを元に、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に聞くのも一つの方法です。
重視すべきなのは万が一の際に受け取れるかどうか
定期点検でも、契約内容の確認でも、もっとも重視すべきチェックポイントは「大変なときに受け取れるのかどうか」です。
保険の給付金・保険金額が大きいとそれだけで安心してしまいますよね。
しかし、いくら金額が大きくても受け取れなければ意味がありません。
特に医療保険やがん保険は、保険会社や契約プランによって受け取れる病気・ケガの定義や金額は異なるため、内容の確認は重要です。
たとえばがん保険の場合、保険会社によっては「上皮内がん」の保障に制限を設けていたり、対象外だったりすることがあります。保障の対象になっていても、給付金額が少なく実際の治療には物足りない、なんて可能性もあるでしょう。
このような内容は、保険証券やご契約内容のお知らせといった書面を見るだけではなかなかわかりません。
定期点検の案内がある人はできる限り対面で定期点検を受け、どんなときに保険金・給付金を受け取れるのかを深く確認するようにしましょう。
まとめ:自動車の点検同様、生命保険の点検で自分と家族の安全を確保しよう
生命保険の定期点検は「面倒」「何度も見直しする必要はない」と否定的に捉えられがちです。
しかし、生命保険には万が一の際に受け取る保険金額の大きさから、自分や周囲の人の一生を左右するほどの影響があります。
自分や周囲の安全を考えて自動車点検を行うように、生命保険で定期点検を行うことは重要なことです。
とはいえ、定期点検の際に新商品の提案や見直しを強引に進められたことがあり、点検について抵抗がある人もいるでしょう。
強引な案内は本来の定期点検の趣旨からそれるものですから、不要なことには「必要ない」とはっきり伝えましょう。
定期点検で重視すべきなのか、何かあったときに保険金や給付金をきちんと受け取れるかどうかです。
どんなときに、いくら、誰が受け取れるのか。
受け取りについてしっかり確認したうえで、不安があれば見直しをするというスタンスで臨めば、定期点検をもっと端的かつスムーズに行えるのではないでしょうか。
こちらのコラムでは定期点検で重視したい受け取りに関する代表的なチェックポイントを紹介しています。
「なぜ、受け取れないのか?どうすべきか?」詳しく知りたい方は、下方(黒いボタン↓)の 「続けてご覧になっていただきたい記事はこちら」 をタップしてご覧ください。
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【なぜ受け取れない?】 がんに罹ったら一時金を受け取れると聴いていたはずなのに!
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