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乳がんは高濃度乳腺だと見つかりにくい?デンスブレストとは?

 

アメリカの某有名女優は、乳ガン予防のため乳房切除術を行い世界中に衝撃を与えました。

また、日本の有名な女性アナウンサーが乳ガンで命を落としたニュースも記憶に新しいです。

 

乳ガンは決して基礎疾患がある人や高齢者だけではなく、健康な若年女性でも容易に発症しうる病気です。

実際に、10代の女性ではほとんど罹患しませんが、20代以降急激に罹患率が上昇し、40代で罹患率はピークに達します。

 

乳ガンは早期発見できれば5年生存率はほぼ100%ですが、ステージⅣの患者であれば5年生存率は38.7%、10年生存率は19.4%にまで低下してしまうため、いかに早期発見することが重要なのかが分かります。

 

我が国日本でも、乳ガンの早期発見の為に乳ガン検診が行われています。

特に日本人は解剖学的に乳ガンが発見されにくい民族である為、若年のうちから検診で精査を受ける必要があります。

 

そこで本書では、日本人における乳ガンの特性や、乳ガン検診の選び方などについて詳細に解説していきます。

<日本人と乳ガンの関係とは?>

 

 

女性の乳房は大胸筋の前面に存在し、乳腺組織、結合組織、脂肪組織の3つで成り立っています。

乳腺組織とは母乳を作り出す小葉と、その母乳の通り道である乳管の総称であり、そのほかにこれらを支える結合組織と、外側から覆う脂肪組織があります。

 

いわゆる乳ガンは、結合組織や脂肪組織は関係なく、乳腺組織の小葉や乳管がガン化する事を指します。

 

女性の乳房は部位別に大きく5つに区分され、内側上方をA領域、内側下方をB領域、外側上方をC領域、外側下方をD領域、乳頭部をE領域としており、部位によってガンになりやすい部位とそうでない部位があります。

A領域で20%、B領域で5%、D領域で10%、E領域で5%程度がガン化し、中でもC領域は最もガン化しやすく、乳ガン全体の約50%がC領域になります。

 

乳ガンの中でも乳管の中のみで進展しているガンは非浸潤性乳ガンと呼び、乳管の外にまで進展してしまった乳ガンを浸潤性乳ガンと呼びます。

非浸潤性乳ガンと比較して、浸潤性乳ガンの場合は血管やリンパ管にガン細胞が浸潤しやすく遠隔転移の可能性も増加してしまう為、注意が必要です。

 

ではなぜ女性は乳ガンを発症してしまうのでしょうか?

結論から言えば、遺伝性や家族性を除き、多くの乳ガンの発症は女性ホルモンであるエストロゲンの被曝量に依存します。

エストロゲンは乳腺組織の細胞分裂に関わっている為、エストロゲンに多く暴露されればされるほど、乳腺組織では細胞分裂が行われます。

 

細胞分裂時に、細胞内の遺伝子情報をコピーする事で全く同じ形状、機能を持つ細胞を新しく作り出すわけですが、頻回の細胞分裂でコピーミスが起きてしまうと、正常細胞とは異なる細胞、つまりガン細胞を作り出してしまう可能性が増えてしまうのです。

 

初経が早かった人、閉経が遅い人、出産していない人などは、他の人よりも月経回数が多くエストロゲン被曝量が増加し、乳ガン発症のリスクが高まってしまいます。

合計特殊出生率が低迷し年々出生数の低下している日本では、妊娠する女性の数が減少している為、その分エストロゲン被曝量が増加傾向にあり、乳ガン発症増加の一因になっています。

 

また、近年の食文化の欧米化に伴い、日本人の食事内容は随分変化してきました。

米や野菜が中心の食事から、パスタや肉、チーズなどの加工食品が増加し、以前よりも脂質の摂取量が増加してしまいました。

 

脂質は消化吸収されるとコレステロールになりますが、まさにこのコレステロールこそエストロゲンの原料でもあります。

つまり、日本人は食生活の変化に伴ってエストロゲン被曝量が増加傾向にあるのです。

 

これらの影響から、日本人女性のガンの中で乳ガンは圧倒的に多く、罹患者数、死亡者数ともに年々増加傾向にあるというのが現状です。

年間で約9.5万人が乳ガンに罹患しており、これは9人に1人が乳ガンになる計算になります。

 

乳ガンは早期発見できれば5年生存率はほぼ100%ですが、ステージⅣの患者であれば5年生存率は38.7%、10年生存率は19.4%にまで低下してしまうため、いかに早期発見することが重要か分かります。

 

我が国日本でも、40歳以上の女性を対象に乳ガンの早期発見の為に乳ガン検診が行われています。

乳ガン検診では、医師による触診、レントゲン検査の一部であるマンモグラフィ検査、エコーによる超音波検査などが行われています。

 

特に日本人は、「デンスブレスト」と呼ばれる特徴的な乳房を持っている割合が多い民族であり、より早期からの検診が好ましいと言えます。

 

<日本人に多いデンスブレストとは?>

 

 

「デンスブレスト」という言葉を聞いたことはありますか?

デンスブレストとは「高濃度乳房」のことで、乳房内の乳腺組織の割合が高い状態を指します。

 

日本人を含め、アジア人は欧米人と比べると乳房が小さく脂肪が少ないため、乳腺が高濃度になりがちだと言われています。

また、乳腺は授乳時期を過ぎると退化していくため、高齢になるにつれて乳腺濃度は低くなっていきます。

 

乳ガン検診の検査の1つであるマンモグラフィ検査では、乳房に脂肪が多いほど全体的に黒っぽく写り、乳腺組織が多いほど白っぽく写る性質があります。

ところが、マンモグラフィではガン細胞であるしこりも白く写るため、乳腺組織が多いと画像から乳ガン組織を見分けるのが困難となるのです。

 

そのため、一般的に50歳以下の、特に若い世代や授乳期の女性では乳腺濃度が高いケースが多く、マンモグラフィ検査で乳ガンが発見されにくい恐れがあるのです。

 

マンモグラフィ検査で「異常なし」と言われた女性が、超音波検査も併せて行ったところ腫瘍が見つかったという症例があり、TVドラマの中でも題材として取り上げられるなど、近年話題となっているケースです。

40歳以上の日本人女性では約4割がデンスブレストだと言われています。

 

脂肪性乳房の方と比較すると、欧米のデータではわずかながらデンスブレストの方のほうが乳ガンになりやすいことがわかっています。

これは、乳房の中で発ガンするのが脂肪組織ではなく乳腺組織だからです。

 

デンスブレストは体質なので病気ではありませんが、なりやすい要因としては出産回数や授乳経験など女性ホルモンが関連しているも言われています。

しかし、明確な原因は判明しておらず、現段階では対象者が自分の体質を把握しておく以外に対処方法はありません。

特に30~40代女性では乳腺濃度が高い方の割合が多いため、乳ガン検診で触診やマンモグラフィ検査と、超音波検査の併用が必要か否かの議論がなされています。

 

では、どのように検診受けるのが理想的なのでしょうか?

 

筆者の考えでは、40代未満の女性であれば、マンモグラフィ検査よりも超音波検査を優先して受けることを勧めます。

超音波検査であれば放射線被曝もなく、マンモグラフィ検査のような痛みもなく、デンスブレストであっても乳ガンを検出できるからです。

 

逆に、乳腺濃度が低下し始める40代以降の女性は、乳ガンが発症する可能性がピークの時期にも差し掛かるため、マンモグラフィ検査と超音波検査を併用して検診を行うのが最善の対策だと思います。

 

まとめ

中には、エストロゲン被曝量に関係なく、遺伝的に乳ガンに罹患しやすい人もいるため、血縁者に乳ガンの方がいる場合、さらに注意する必要があります。

 

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