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教えて!ややこしい、「親がかけておく、子の保険」の注意点は?

「親が子どものころから保険をかけてくれていた」という人も多いのではないでしょうか。

この場合、親が契約しているため保障内容や受取人まで把握している人は少ないかもしれません。

 

その後、結婚したにもかかわらず契約内容を変更しないままでいると、受取人が「配偶者」ではなく「親」になり、保険金の受け取りに対してトラブルが生じる恐れがあります。

 

そこで今回は、保険金の名義の重要性について実例をもとに紹介します。

「死亡保険金受取人」は誰に?多くの場合は「母親」?

 

独身時代に親が掛けていた保険によく見かけるの加入形態は次の通りです。

 

契約者 被保険者 受取人
本人

 

勿論、親御さんの意向を踏まえて、本人も納得のうえで受取人の名義を「親」のままにするケースもあると思います。

但し、この場合は「契約者」と「受取人」が同じであることから「所得税」の課税対象となります。

一般的に、納める税金は「所得税>相続税」となるケースが多く、もしこれを回避したい場合は以下の加入形態に変更されることをお勧めします。

 

契約者 被保険者 受取人
本人 本人

 

契約者(実質的な保険料負担者)を「本人」とすることで「契約者=被保険者」となり、この場合は「相続税」の課税対象となります。

実際、社会人となり収入を得始めたことをきっかけに、このように名義変更される方は少なくありません。

詳しくは、こちらのコラムをご確認ください。

 

「知らないと損!生命保険の税金ってどうなっているの?」

 

さて、ここから本題に入ります。

参考までに課税関係の留意点をご紹介しましたが、保険金等の受け取りに関するトラブルには下記のようなケースが生じてしまうこともあります。

 

続けて、実例を確認してみましょう。

 

保険金受取人を「親」のままにしたトラブル事例とは?

 

実際に、よく聴かれるケースです。

 

結婚し、子どもの誕生を機に保険を充実させたいと考えた。その際に親が掛けていた保険を思い出した。

いろいろと検討した結果、重ねて掛ける必要もないだろうとの結論に至り、その保険を継続することにした。

 

その後、保険のことなど忘れていたある日、突然の災害で本人は帰らぬ人となってしまい、幼子と配偶者は遺族となってしまった。

 

途方に暮れる中、配偶者は義理の親がかけてくれていた生命保険の存在を思い出した。

ところが、保険会社からは請求に応じることができないだけではなく、保険金も手にすることができないとの説明を受けた。

理由は2つ。契約者からの申し出が必要であること。そしてもう一つは受取人が「義理の母」になっているとのこと。

 

説明を聴いた配偶者は義母に保険金を受け取りたいと申し出たところ、嫁姑の仲が悪かったこともあり、「あなたには一銭も渡すつもりがない」と豪語した。

 

いかがでしょうか?親の立場に立てば大事に育てた子が他界したというショッキングな出来事であり、またそれまでの保険料は親が払い続けていたこともあり、心情的には分からなくもないケースかと思われます。

 

その一方で、このような不測の事態を想定して生命保険の存在を確認していたにも関わらず、名義変更を怠っていたが為に、幼子を抱えた配偶者が1円も手にすることができない事態もまた、心痛を察するところかと思います。

 

「生命保険金」は指定された受取人にその権利が帰属されることから、上記のケースでは配偶者が「相続財産」としての権利(遺留分)を主張しても保険金を受け取ることはできません。

そのため、意図した形で遺族に保険金を遺すためには「受取人の指定」がとても重要になります。

 

参考までに、仮に被保険者よりも前に受取人が死亡した場合は「受取人の法定相続人」にその権利が受け継がれますが、この場合は更に面倒になるケースが考えられます。

というのも、法定相続人が受取人になる場合は「法定相続人全員の押印」が必要になるため、法定相続人の中にこれを不服とする者がいる場合はトラブルになる可能性があります。

他にも「受取人の名義」が故に問題になるケースはありますが、いずれにしても言えることは「受取人の指定」を軽視してはならないということです。

 

参考までに、上記のケースとは逆に、姑が快く遺された配偶者と子(姑から見たら孫)のためにと保険金を譲渡した場合、このお金には「贈与税」が課せられることとなり、納める税金は「相続税」や「所得税」よりも多くなることが想定されます。

名義変更を怠ることなく「相続税」の対象となっていた場合は非課税であったかもしれないことを考えると、税制面からもやはり「受取人の指定」を軽視してはならないことがわかります。

 

受取人を「配偶者」にしておけば問題なかったのか?

 

前述まで、「受取人の指定」を軽視してはならないと再三お伝えしていますが、税制面からはさらに留意しておきたい点があります。

 

上記の例で「受取人」を配偶者に変更した場合の加入形態は以下のとおりとなります。

 

契約者 被保険者 受取人
本人 配偶者

 

これは、「契約者≠被保険者≠受取人」となるので「贈与税」の課税対象となり、前述のとおり納める税金が最も高額になる恐れがあります。

 

これを回避するには、繰り返しになりますが契約者(実質的な保険料負担者)を「本人」に変更しておくのが望ましいと考えられます。(「契約者=被保険者」となり「相続税」の課税対象)

 

契約者 被保険者 受取人
本人 本人 配偶者

 

保険金の受取人変更手続きはそう難しくありません。契約者が、保険証券・印鑑・通知書・本人確認書類をもとに手続きを行うことが可能です。

 

なお、参考までに受取人として指定できるのは配偶者もしくは2親等以内の血族までとされているのが一般的です。中には、下記のとおり受取人を「子」とする方もいますが、この場合にも注意が必要です。

 

契約者 被保険者 受取人

 

「収入のあるご主人を受取人にする必要はない」と判断されるお気持ちは理解できますが、受取人が未成年者(未成年後見)の場合は、実際に保険金を受け取る手続きが非常に煩雑になります。

 

 

まとめ

「受取人の指定」を軽視してはならないとのメッセージは、親族間のトラブルや税制面からもご理解いただけたのではないでしょうか?

 

生命保険は「“安心”のために」と言われますが、このようなトラブルを招かないためにも今一度ご自身が加入されている保険の「名義」や「加入形態(契約者、被保険者、受取人の関係)」を確認され、実際に“安心”されることをおすすめします。

 

なお、実際に名義を変更される場合は、思わぬトラブルを招かないように専門家を頼るのも一つの手です。

また、ご加入内容をチェックされるのであれば、あわせて他の留意点についてもチェックされてはいかがでしょうか?

 

参考までに、わかりやすい動画等で皆さんのセルフチェックをサポートするこちらのメニューをご紹介します。

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