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老後も長く働くために気をつけたい、健康リスクの備え方

社会全体の高齢化が急速に進展し、昭和の時代には55歳だった定年年齢も今や60歳。いずれは65歳が定年年齢となるとも言われています。

 

定年年齢が伸びれば、老後も一定の収入を確保できます。長く働ける環境が整うことは、老後資金の準備に悩む人にとって大きな助けになるでしょう。他方で、老後には病気やケガのリスクが高まるため、今から健康意識を高めて長く働ける体を作ることが大切です。

 

今回は、老後も長く働くために、病気やケガによる健康リスクに備える方法を解説します。

定年年齢はどんどん引き上げられている

 

先述のとおり、日本の企業の定年年齢は過去55歳でしたが、今や一般的な定年年齢は60歳です。

 

加えて現在は高年齢者雇用安定法という法律により、「65歳までの雇用確保」が企業に義務化されています。同法では、定年年齢を65歳未満にしている企業には、以下いずれかの措置を講じることが義務づけられています。

 

<65歳までの雇用確保義務>

  • 定年年齢を65歳に引き上げる
  • 定年制を廃止する
  • 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)を導入する

出典:厚生労働省「高年齢者雇用安定法改正の概要」

 

つまり、会社員であれば60歳で定年を迎えても、65歳までは継続雇用制度や勤務延長制度などで働くことが可能ということです。さらに、高年齢者雇用安定法は2021年4月に改正され、現在は「70歳までの就業機会の確保」も努力義務として設定されました。

 

将来的には定年年齢が65歳となり、70歳までの雇用確保が義務化される可能性は十分あるでしょう。

 

 

長く働ける一方で、高齢になると病気やケガによる健康リスクが高まる

 

老後も長く働ける環境が整ってきたとはいえ、長く働くためには「心身共に健康である」という前提条件が不可欠です。

 

どのような人でも、加齢とともに病気やケガによる健康リスクは高まります。「長く働ける環境があるか」を考える前に、まず「長く働ける気力体力、そして健康な体作りができているか」を考えましょう。高齢期で特に気をつけたい健康リスクは、がん(悪性新生物)の罹患や加齢による転倒事故です。

 

 

60歳以降はがん健診を忘れずに

人が一生のうちにがんになる確率は2人に1人と言われていますが、実際、がんに罹患する確率が高くなるのは60歳以降です。

 

国立がん研究センターのデータ(※1)によると、現在60歳の男性が70歳までにがんと診断される確率は約16%、現在60歳の女性が70歳までにがんと診断される確率は約10%。70歳以降はさらにがんと診断される確率が高くなっていきます。

 

60歳以降は、定期的ながん検診を心がけましょう。がん健診で少しでも早くがんを発見できれば、体への負担も治療費の負担も極力抑えられます。

 

厚生労働省は市町村を通じて積極的ながん検診の受診を呼びかけているものの、現状のがん検診の受診率は30~40% (※2)です。「受ける時間がない」「必要性を感じない」という理由で未受信の人が多くなっています。

こうならないためにも、日常の中に健診日を強制的に組み込み、定期的に受診する癖をつけておきましょう。

※1出典:国立研究開発法人国立がん研究センター「最新がん統計」より「累積罹患リスク(2018年度)

 

「年齢階級別累積罹患率のデータ(2018年)」より60歳時点の男性・女性がそれぞれ70歳までにがんに罹患するおおよその確率を参照

※2出典:厚生労働省「がん検診受診率向上に向けたこれまでの取組」

 

 

運動機能の低下による転倒事故にも気をつけて

老後は、加齢によって転倒事故にも遭いやすくなるので気をつけましょう。

 

病気に関する問題はなく至って健康という人でも、加齢による身体強度や運動機能の低下は避けられないもの。老後はちょっといたつまづきから転倒しやすく、大きな事故に繋がる可能性があります

 

厚生労働省が発表している労災事故統計※によれば、職場の労働災害でもっとも死傷者数が多い年齢は60歳以上。そしてもっとも多い事故のタイプは「転倒」です(新型コロナウイルス感染症への罹患による労災事故を除く)。

 

転倒による労災事故と聞くと、製造・建設現場での事故を思い浮かべるかもしれません。しかし、たとえデスクワークでも階段で足を踏み外してしまったり、清掃したばかりの床ですべって転んだりする可能性は十分ありえます。

先の労災事故統計によると、転倒災害による平均休業見込期間は41.5日。ですが、60歳以上の場合はより長い休業期間が必要になるかもしれません。

 

転倒事故や事故による長期の休業を避けるためには、転倒の原因となる「つまづき」そのものを減らすことが大切です。足腰の筋力が衰えるとつまづきやすくなるため、軽いランニングや筋トレで足腰を鍛える習慣を癖付けましょう。

また、加齢によって視力が低下することが転倒に繋がる可能性もあります。眼科で定期的に視力をチェックし、視力低下のケアを怠らないようにしてください。

※出典:厚生労働省「令和3年労働災害発生状況の分析等」

 

 

社会保険や福利厚生、民間保険のサービスを活用して健康リスクに備えよう

老後も長く働くためには、定期的ながん検診受診や運動習慣が大切です。

 

加入中の社会保険や福利厚生、民間保険には、これらの健康対策を気軽に行えるサービスが付いています。以下の例を参考に、自身が活用できる健康サービスを調べて利用してみましょう。

 

<各種保険や福利厚生で活用できる健康サービス>

  • 社会保険:会社の健康保険による定期健診、人間ドック割引サービスなど
  • 会社の福利厚生制度:スポーツジムの割引、企業独自の健康維持・増進に利用できるアプリなど
  • 民間保険会社のサービス:健康・介護に関する無料電話相談サービス、がん治療相談サービス、人間ドック割引・紹介サービスなど

 

いずれも一例です。会社の福利厚生制度や民間保険会社のサービスは会社ごとに特色が異なるため、詳細は確認してみてください。確認してみると、意外と利用できる健康サービスは多いことに気付くと思います。積極的に活用して健康増進に取り組みましょう。

 

 

まとめ:健康リスクに備えつつ、保険の見直しもしておこう

老後も長く働くためには、健康リスクに備えて健診や運動を習慣化することが大切です。

 

ただ、いくら健康に気を付けていてもがんや些細な転倒による事故を100%防ぐことはできません。がんになる確率は年々上がっていきますし、転倒の原因となる視力や運動機能の低下は自然な加齢現象です。

 

健康に対する意識を高める一方で、「いずれは自分も病気やケガをするだろう」という心持ちで保険も備えておくと安心です。会社の健康保険や福利厚生制度、民間保険で活用できるサービスを確認する際に、病気やケガに関する保険もあわせて見直してみてください。

 

 

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