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なぜ保険会社によって保険料が違うの?理由は2つ

家計に影響を与える保険料の“安さ”は、保険を選ぶうえで外せない目安です。そのため、保険比較サイトなどで保険料の比較をする人は多いのではないでしょうか。

 

ただ、比較をしていると「同じような保障内容でも保険会社によって保険料が違う」ことに気付くはずです。そもそも、なぜ保険会社によって保険料が違うのか、考えたことはありますか?

 

今回は、保険料の違いが保険契約にどう影響するのかを解説していきます。保険料が違う理由を見ていくと、保険会社選びの基準が変わるかもしれません。

 

保険会社によって保険料が違う理由は付加保険料(経費)が違うから

 

死亡保険金額が1,000万円の定期保険をネットで検索してみると、保険会社によって設定されている保険料が違います。

 

同じ保険金額でも保険料が違う理由の一つは、保険会社によって保険事業のやり方が異なるから。わかりやすく言えば事業方針の違いが経費のかけ方の違いになり、それが保険料に表れているのです。生命保険料の決まり方の詳細を見ていきましょう。

 

 

 

生命保険料は純保険料と付加保険料で構成されている:

生命保険会社の保険料は、以下の純保険料と付加保険料で構成されています。

 

  • 純保険料:将来の保険金・給付金の支払いに充てられる部分
  • 付加保険料:保険事業を継続的に運営するために使われる部分

 

上記のうち、「純保険料」は将来の保険金支払いの原資となる部分です。

過去の統計データを元に見込んだ予定死亡率や、保険会社が運用によって得られる利益の見込み(予定利率)といった指標を元に計算されています。

純保険料は生命保険料の原価に相当する部分になるため、保険会社の違いによる差はほとんどありません。

 

一方、事業運営に関わる「付加保険料」は保険会社による大きな違いが出る部分です。

付加保険料には、保険事業の運営に必要な儲けや人件費、広告費などの経費が含まれていて、各社で必要とする経費の割合(予定事業費率)を元に計算されています。

各社で必要な経費に対する考え方は異なるため、付加保険料も保険会社によって違うのです。

 

 

 

付加保険料に含まれる経費のかけ方は保険会社によって違う:

保険会社は、「自社の継続的な保険事業にはいくら必要か」を独自に算出したうえで付加保険料を設定します。具体的な経費は、以下のとおりです。

 

  • 新契約の締結・成立に必要な予定新契約費:保険商品の広告・宣伝費や、営業職員の人件費、保険代理店や保険ショップに支払われる販売手数料など
  • 保険料の集金に要する予定集金費:保険料を回収するための諸費用。口座振替やクレジットカード払いなどで支払われる保険料の収納に必要な経費
  • 保険期間を通じて契約を維持管理するための予定維持費:顧客管理システムの費用や、内勤職員の人件費、保険会社・支社の物件費、保険契約継続のために保険会社が行う施策の費用など

 

各経費の必要額は、保険会社の規模や方針、サービス体制などによって違います。

たとえば対面でのサポートに力を入れる場合、その分営業職員の人件費(付加保険料)がかかります。

そのため、対面販売の会社は生命保険料も高くなりやすいのです。

 

反対に、対面サポートがないネット完結型の保険会社では、人件費(付加保険料)を抑えられるため、生命保険料を安く設定しやすくなります。各種経費の中でも人件費は大きな割合を占めるため、対面サポートの有無は保険料に大きな影響を与えます。

 

こうした保険会社としての事業方針やサポート体制の違いが、生命保険料の差に繋がっているのです。

 

 

「経費を抑えて保険料を安くしている保険」のほうが良い保険なのか

 

ここまでお話ししてきたように、保険会社によって保険料に違いがあるのは保険事業の方針が出る「経費のかけ方」によるものです。

 

特に経費の中でももっとも影響がある費用は人件費です。つまり、人件費を極力抑えている保険が、少しでも安い保険ということです。

 

他方で、安い保険は総じて良い保険、入るべき保険と言えるのでしょうか。

もちろん、保険料は家計に影響する部分なので、契約を継続するためにも安さは重要な指標です。

 

しかし保険の本来の意義は、万が一のときに「保険金・給付金を受け取る」こと。

サポートに関わる人件費を極力抑えた保険を選び家計の負担を軽減しても、必要なときにすぐ受け取れなければ保険の意味がありません

 

そう考えると、人件費がかかる保険=他社と比較して保険料が高い保険の見え方も変わってくるはずです。

 

 

 

人件費がかかっているからできるサービスもある:

経費がかかっている保険にはその分“人”が介在するため、請求手続きのサポートや契約者サービスの充実といった側面があります。

 

たとえば多数の死者・行方不明者が出た東日本大震災では、営業職員が避難所巡りをして顧客の安否確認を行い、遺族に保険金を届けるために奔走しました。

この奔走により、営業職員がいる保険会社では高い保険金支払率を記録しています。

これは、ある程度人件費をかけて営業職員を雇用している対面系の保険会社だからこそできた事例と言えます。

 

また、ネット系保険会社の一部では保険料を滞納したときに契約を元に戻す制度(失効取消・復活制度)がありません。

そのため、数か月でも保険料を滞納すれば契約は失効します。

ネット系保険会社では保険料を抑えるためにコスト効率を重視しているため、保険金の受け取り機能やサポートについて劣る点は否めないでしょう。

 

経費の中でも割合の高い人件費については賛否が分かれるところですが、人が介在していることで請求漏れを防ぎやすいのは事実です。

 

保険は継続しなければ活用できないから、保険料負担を抑えることは重要。

一方で、保険は有事の際に保険金を受け取るためのもの。そう考えると、保険料とあわせてサポート体制も確認したうえで保険会社を選ぶ視点が大切です。

 

 

まとめ

 

保険会社によって保険料が違う主な理由は、経費のかけ方によるものです。

つまり保険料が安い保険とは、通信販売で人件費などの「経費を抑えた保険会社の保険」ということになります。

 

一方、人件費をかけている分保険料がかかる保険商品は、その分契約者サービスやサポート体制が充実しています。

保険金・給付金を受け取ることこそ保険の意義だと考えれば、こうしたサポート体制も保険選びの重要な指標ではないでしょうか。

 

保険選びから保険の契約管理、万が一の保険金請求までネットですべて行える人であれば、サポートが簡素な保険でもいいでしょう。

しかし、有事のときこそサポートに期待したいという人は、フォロー体制の充実度で保険会社や保険を選ぶことも考えてみてください。

 

保険は「とにかく加入しておけば受け取れるもの」と考える人もいらっしゃいますが、実際には「加入しているのに受け取れない」ことになる事態は少なくありません。

対面系の保険会社が人件費をかけてしつこいほど契約内容の確認を繰り返しているのは、保険金受け取りを確実にするためです。

 

なお、次回のコラムでは「加入しているのに受け取れない」よくある事例として、指定代理請求制度について解説します。

皆さん、指定代理請求制度は活用されていますか?もし活用していなければ万が一のときに受け取れない可能性が出てきます。

 

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続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:

教えて!「指定代理請求人制度」とは?成年後見制度や家族登録制度とは何が違うの?

 

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