介護休業を取得する際は、一定の要件を満たすことで「介護休業給付金」を受け取れます。
休業中は収入が一時的に減少しますが、介護休業給付金を利用することで収入への影響を抑えられるでしょう。
本記事では、介護休業給付金の受給額から受給要件、手続きの方法、申請に必要な書類まで詳しく解説します。
そもそも介護休業とは
介護休業給付金を受け取るには、介護休業を取得したうえで一定の要件を満たす必要があります。まずは、介護休業の内容や取得条件などについて確認しましょう。
介護休業とは、「常時介護を必要とする状態」が2週間以上続く家族を労働者が介護する際に取得できる休業です。対象の家族は、「配偶者」「子」「父母」「配偶者の父母」「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」です。
要介護2以上、または厚生労働省が定める基準を満たした場合に「常時介護を必要とする状態」と判断されます。
厚生労働省が定める基準とは、12個の質問に1~3で回答し、2が2つ以上または3が1つ以上あり、かつその状態が継続する見込みがあることです。質問には、「10分間1人で座っていられるか(座位保持)」、「立ち止まったり座り込んだりせずに5m程度歩けるか」、「日常の意思決定はできるか」などがあります。
上記を満たせば介護休業を利用できますが、雇用期間に定めがある方に関しては、「介護休業の取得予定日から数えて93日が経過する日から6ヶ月が経過するまでに契約期間の満了および更新しないことが明確ではない」という条件を満たす必要があります。
なお、令和4年4月1日以降の申し込みからは、入社1年以上の要件が廃止されました。
また、労使協定を締結しており、以下に該当する人は介護休業の対象外です。
- 入社1年未満
- 申出の日から93日以内に雇用期間が終了する
- 1週間の所定労働日数が2日以下
介護休業給付金とは
介護休業給付金とは、介護休業中に一定の要件を満たすことで受け取れる給付金です。受給額や受給要件、手続きの流れについて詳しく見ていきましょう。
受給額
介護休業中に一定の要件を満たすと、休業開始時賃金月額の67%の給付金を93日にわたり合計3回まで受け取れます。例えば、1回の休業期間が3ヶ月以上の場合は、受給期間は3ヶ月が上限です。また、複数回の介護休業を取得する場合は、3回を上限として通算93日まで受給できます。
受給額は、休業開始時賃金月額に対する介護休業中に支払われた賃金額の割合で異なります。
休業開始時賃金月額に対する介護休業中に支払われた賃金額の割合 | 介護休業給付金の受給額 |
13%以下 | 休業開始時の賃金日額×支給日数の67% |
13%以上80%未満 | 賃金額+給付金の額が休業開始時賃金月額の80%に達するまで受給可能 |
80%以上 | 受給できない |
受給要件
介護休業給付金は介護休業を取得しており、以下の要件を満たした場合に受給できます。
- 令和2年8月1日以前の申し出の場合
介護休業を開始した日から2年前までの間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上ある
- 令和2年8月1日以降の申し出の場合
介護休業を開始した日から2年前までの間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月あるいは賃金支払基礎時間数が80時間以上の完全月が12ヶ月以上ある
介護休業給付金の手続き方法・必要書類
介護休業給付金の手続きでは、「受給資格確認」と「支給申請」の必要書類をハローワークに持参します。
受給資格確認の必要書類 | 支給申請の必要書類 |
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介護休業給付金の支給が決定すると、1週間程度で指定の口座へ給付金が振り込まれます。支給決定までにかかる期間は明確ではないため、早めに申請することが大切です。
まとめ:介護休業給付金を休業中の生活費や介護費に利用しよう
介護休業給付金は、介護休業を取得していれば多くの方が受給できる給付金です。
介護期間中は自身や家族の生活費に加えて介護費用もかかるため、国が認めている制度は必ず活用したいところでしょう。
介護休業給付金の制度は定期的に見直されているため、最新の情報をチェックするとともに、まずは気軽に各役所窓口や専門家などに相談することをおすすめします。
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