産休・育休期間中にはさまざまな手当を受けられますが、税金や社会保険料の支払いはどうなるのでしょうか。
実は、産休・育休期間中でも住民税について支払う必要があるため注意が必要です。
本記事では、産休・育休中にもらえる手当と、支払いが必要な住民税について解説します。育休中に住民税の納付通知書が来て、払えないような場合に利用できる猶予制度についても解説します。住民税の支払いで悩んでいる人は、参考にしてみてください。
産休・育休中にもらえる手当を確認
ここからは産休・育休中にもらえる手当を解説します。産休・育休中の手当はすべて非課税ですが、昨年度の収入に対して課税される住民税は支払いが必要です。
出産育児一時金
被保険者または被扶養者である家族が、妊娠4か月以上で出産したときに、一児につき42万円が支給されます。
ただし、産科医療補償制度の対象外となる医療機関で出産する場合は、40.8万円の支給です。また、会社で独自の健康保険に加入している場合は組合による独自給付がある可能性があるため、詳細は加入している健康保険に確認するといいでしょう。
出産育児一時金を申請する際は「直接支払制度」を利用するとスムーズです。直接支払制度を利用することにより、直接医療機関へ一時金が支払われるほか、出産費用が42万円を超えた場合でも、差額のみの負担で済みます。
出産手当金
産前42日から産後56日までの範囲内で仕事を休んだ場合に、1日につき給与の2/3の金額が加入中の健康保険より支給されます。
給与額は「直近12か月の標準報酬月額の平均額」を使用します。標準報酬月額の内訳には、基本給のほか手当やボーナスを含みます。
育児休業給付金
育児休業給付金は、原則として1歳未満の子を育てるため仕事を休んだ場合に、1日につき賃金月額の67%が雇用保険より支給されます。賃金月額は、育休開始前の6か月間の賃金を180日で割った金額のことで、ボーナスがあった場合はその金額も含みます。
子どもの年齢については原則として1歳未満までとされていますが、両親が育休を取得する場合は1歳2か月まで、保育所に入所できない場合は最長2歳まで延長されます。また、支給日数が181日以上になる場合は、支給額が67%から50%になります。
産休・育休中にもらえる手当に所得税はかからない
産休・育休中にもらえる手当は、健康保険法と雇用保険法に基づき非課税とされています。そのため、この給付から所得税は引かれないほか、次年度の住民税を計算する収入にもなりません。
社会保険料は申請することで免除される
産休・育休中は社会保険料が免除され、雇用保険料は原則として支払い義務が生じません。社会保険料の免除を受けるためには、事業主(会社)から年金事務所または健康保険組合へ所定の書類を提出してもらう必要があります。
産休・育休中も社会保険には加入したまま|厚生年金は年金額に反映される
産休・育休中は社会保険料の支払いが免除されますが、社会保険にはそのまま加入していることになります。年金額を計算する際は、厚生年金保険料を納めたものとして扱われます。
住民税は支払う必要がある|前年の所得を基準とするため
社会保険料は免除されますが、住民税は支払う必要があります。住民税は所得税と違って、前年の所得を基準として、6月から翌年の5月にかけて分割して支払っている(特別徴収)からです。
住民税が払えない場合はどうする?知っておきたい住民税の猶予制度とは
もし住民税が払えない場合は、猶予制度の利用を検討しましょう。
支払いが厳しい場合は猶予制度を利用しよう
住民税の支払いが厳しいと認められた場合は「育児休業中の住民税の徴収猶予」の制度が利用できます。猶予された住民税は、職場復帰後に延滞金とともに納税することになります。
東京都主税局によると、延滞金の利子は現在、納付期限の翌月から1か月を経過する日までは2.4%、1か月を経過した日以降の期間は8.7%となっています。
住民税が払えないまま放置していると、滞納扱いになり、財産が差し押さえられる可能性がありますので、支払いが厳しい場合は猶予制度の利用を検討しましょう。
まとめ:産休・育休中の手当は非課税だが、住民税は支払う必要がある
本記事では、産休・育休中にもらえる手当や、住民税が払えない場合の猶予制度について解説しました。
手当の税金が非課税であることや、産休・育休中でも問題なく社会保険の対象であることは覚えておきましょう。
なお、今後産休・育休から復帰して扶養内で働く場合に気をつけたいポイントは、関連する記事「【2022年版最新】主婦が損しない税金・社会保険料と扶養の壁を徹底解説!」で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:
【2022年版最新】主婦が損しない税金・社会保険料と扶養の壁を徹底解説!
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