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急な相続発生で慌てる前に。相続手続きの流れと今からできる相続準備

「ご家族が亡くなったら、どうしますか?」 

 

目を背けがちな質問ですよね。ご家族がお元気だとなおさら、答えを後回しにしたくなります。しかし、人間に寿命がある以上、相続は避けて通れない問題です。  

 

今すぐ話し合うべきとは言えませんが、今のうちに相続手続きの流れを確認しておけば、いざというときに手続きを進めやすくなります。そこで本記事では、相続手続きや相続準備について解説します。 

 

自らが相続人となる場合だけでなく、相続やその対策で周囲が困っているときにも、良き相談相手として貴方の知識が活きるかもしれません。ぜひ、参考にしてみてください。 

誰もがとまどう相続。相続手続きは知らなくて当然

相続は一生のうちで何度も起こるものではありません。

 

日常生活を送っているだけでは「知らなくて当然」の手続き。不利益や余計な負担が生じないよう確実に相続手続きを進めていくためには、事前に必要な知識を得て、できる準備をしておくことがおすすめです。

 

手続きの知識を得ておけば不安の解消につながる

まずは、相続の際に必要な手続きを一通り確認しておきましょう。

期限内にしなければならない手続きがいくつかあり、それをしないと前に進めないものもあります。相続が発生したときに知っておきたい知識を今から得ておけば、いざというときに余裕を持って行動でき効果的です。話し合いが必要な内容と話し合うべき相手、税金や諸費用などがかかるケースとかからないケースなどが、得ておくと有効な知識として挙げられます。

 

次からは、相続が発生した際の手続きと、相続が発生する前に確認しておきたい事柄や取るべき対策を解説します。

 

必要な手続きと期限を確認

関係各所の連絡や葬儀の準備なども大切な流れですが、ここでは期限のある手続きとその期限を中心に解説します。

 

1.死亡した際、役所などに届け出が必要な項目

  • 死亡届(亡くなったことを知った日から7日以内)
  • 死体火葬許可申請書(亡くなったことを知った日から7日以内)
  • 年金受給権者死亡届・厚生年金(死亡日から数えて10日以内)
  • 年金受給権者死亡届・国民年金(死亡日から数えて14日以内)
  • 介護保険資格喪失届(死亡日から14日以内)
  • 世帯主の変更届(死亡日から14日以内)

※カッコ内でその期限を記しています。

 

なお、死体火葬許可申請書は、葬儀会社が提出してくれるケースも多いので、葬儀の打合せ時などに確認が必要です。年金や保険などは、亡くなったご家族が該当するものを確認し、適宜期限内に手続きを行いましょう。

 

2.遺産分割など相続に関係するもの

  • 遺言書の有無を確認、自筆証書遺言があれば遺言書の検認手続き(速やかに)
  • 法定相続人の把握(速やかに)
  • 相続財産調査(速やかに)
  • 遺産分割協議・遺産分割協議書の作成(できる限り速やかに)
  • 遺産分割協議に参加・相続放棄・限定承認など、相続の意思表示(相続人として相続できる財産があることを知った日から3カ月以内)

 

これ以外に、相続する財産に不動産があるケースでは登記申請が必要です。

 

3.その他:税金などの申告

  • 所得税の準確定申告(亡くなった日の翌日から4カ月以内)
  • 相続税の申告(亡くなった日の翌日から10カ月以内)

 

こちらの項目は、収入や財産状況に応じて必要かどうか判断します。税金の還付手続きなどにも期限があるものが多く、要注意です。

 

  • 未支給年金請求(年金の支払日の翌月初日から5年以内)
  • 準確定申告や相続税の還付請求(亡くなった日の翌日から5年10カ月以内)
  • 遺族年金等(亡くなった日の翌日から5年以内)
  • 国民年金の死亡一時金請求(亡くなった日の翌日から2年以内)
  • 高額医療費還付請求(還付対象の支払月から2年以内)

 

これらは、1日でも期限を過ぎると無効になるケースもあります。しっかり確認しておきましょう。

 

相続人となる場面を想定しておこう

万が一相続が発生した際に備えて、今できる対策を考えしょう。

 

まずは、ご自身やご両親などで「相続人となりうるケース」を想定するところから始めていきましょう。

相続人には、次の人が該当する可能性があります。

 

  • 被相続人の配偶者(必ず相続人になります)
  • 被相続人の子(相続人になります)
  • 被相続人の両親・祖父母など(被相続人に子がいなかった場合)
  • 被相続人の兄弟姉妹(被相続人に子・両親や祖父母などがいなかった場合)

 

なお、相続人である子や兄弟姉妹が既に亡くなっている場合、その亡くなった相続人の子が相続人になるケースもあります。遺産分割協議では、相続人全員での話し合いと合意が必要です。話し合う相手が事前に想定できれば、対策も立てやすくなるでしょう。

 

相続放棄や相続対策が必要な人

次は、相続対策が必要な人を想定します。

 

ここでは、亡くなった場合を想定する人を「推定被相続人」、現時点でその人が亡くなった際に相続人となる人を「推定相続人」と呼んで説明します。相続対策が必要になるのは、主に以下のようなケースです。

 

  • 推定被相続人と疎遠になっているケース
  • 推定被相続人に負債がある・または以前負債があったケース
  • 推定被相続人の財産の中に、不動産など分割の難しいものがあるケース
  • 推定相続人同士の関係が良くないケース
  • 推定相続人同士が疎遠になっているケース
  • 推定相続人が多数存在するケース

 

これらのケースでは、相続放棄の検討が必要であったり遺産分割協議が難航したりする可能性が高くなります。

そこで、以下の対策を事前にとっておくと安心です。

 

  • 推定被相続人にあたる人に遺言を書いてもらう
  • 相続放棄に向けて迅速に動けるよう準備しておく(生前に相続放棄はできません)

 

また、相続税の発生が予想される資産状況であれば、相続税対策を生前から取っておくのも効果的です。

 

 

まとめ:相続準備をしておけば、いざというとき慌てず対応できる

相続はいつ発生するか分からないものです。現在は一見必要ないように思えても、相続の際に戸惑わないよう準備だけはしておくことをおすすめします。

 

実際に相続が発生したときに手続きをスムーズに行えるだけでなく、あらかじめ対策や準備をすればトラブルの解消や相続税の節税につなげられる事柄も多くあります。代替わりをした後の将来を含め、貴方やご家族がこれから先の人生を幸せに過ごしていくためにも、この機会に相続準備について考えてみませんか?

 

相続の準備を始めてみようかなと考えている人は、以下の記事で相続制度の改正について確認しておきましょう。

 

 

続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:

【2023年4月から変わる!】民法改正が相続に与える影響を徹底解説

 

 

 

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