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住宅ローンを退職金で一括返済するのはアリ? 退職金で一括繰り上げ返済の注意点

 

 

「住宅ローンは退職金で完済すればいい」と考えている方は多いのではないでしょうか。 

 

退職金は老後生活をおくるうえで大切な資金です。しかし、十分に検討することなく住宅ローンの一括返済に充ててしまうと、かえって老後生活が苦しくなってしまうかもしれません。

 

そこで今回は、住宅ローンを退職金で一括返済するメリットやデメリット、失敗しないためのポイントをわかりやすく解説します。 

 

住宅ローンを一括返済するメリットとデメリット

 

まずは、住宅ローンを一括返済するメリットとデメリットをみていきましょう。

 

一括返済するメリット

住宅ローンを退職金で一括返済する主なメリットは、以下の2点です。

 

  • 老後の住居費負担が減る
  • 金利上昇リスクがなくなる

 

老後生活に入ると、主な収入源は給与から年金になり世帯収入は低下するケースがほとんどです。たとえ再雇用で働けたとしても、定年前の稼ぎを得るのは困難でしょう。

 

世帯収入が減少したにもかかわらず、退職前と同様に毎月10万円や15万円などの住宅ローンを返済するとなると、生活が苦しくなるかもしれません。退職金で住宅ローンを一括返済できれば、返済負担がなくなり生活にゆとりが生まれやすくなります。

 

変動金利型の住宅ローンを組んでいる方は、世の中の金利や政策の影響によってローンの金利が上昇し、返済負担が増えて家計を圧迫する可能性があります。退職金で一括返済できれば、金利上昇の不安をかかえることもなくなり、より安心した老後生活を送れるでしょう。

 

一括返済するデメリット

一方で住宅ローンの一括返済には、以下のデメリットがあると考えられます。

 

  • 手持ち資金が著しく減ってしまうことがある
  • 団体信用生命保険の保障がなくなる

 

定年退職の時点で、住宅ローン残債が1,000万円以上あった場合、退職金で一括返済をすると手持ち資金を多く減らしてしまいます。老後資金があまり準備できておらず、手持ちのお金が少なくなると、不安を抱えながら老後生活を送ることになるかもしれません。

 

団体信用生命保険(以下、団信)に加入している人は、一括返済をすると保障がなくなります。団信は、亡くなったときや所定の重い障害状態になったとき、保険会社が残債を肩代わりする保険です。一括返済をするとローン残債がなくなるため、団信の保障は終了します。

 

退職金のすべてを安易に繰り上げ返済に充てるのは危険

退職金で住宅ローンを一括返済できると、老後の住居費負担が大幅に減り、老後生活にゆとりが生まれるかもしれません。一方で、老後生活では生活費だけでなく以下のような支出が発生するため、安易な繰り上げ返済は避けたほうが良いでしょう。

 

<生活費以外に老後生活で発生する支出の例>

  • 病気やケガになったときの医療費
  • 訪問介護の利用料や介護ベッドの購入費用などの介護費用
  • 自宅の修繕費用・リフォーム費用
  • 住宅の購入・買換え費用
  • 有料老人ホームの入居費用
  • 子どもや孫への資金援助 など

 

計画的に老後資金を準備しており、退職金を一括返済に充てても数千万円の資金が残るのであれば、医療費や自宅の修繕費用などが発生しても問題はないでしょう。

 

しかし、退職金を一括返済に充てた結果、手元にまとまった資金がなくなってしまった場合、自宅の屋根や外壁の修繕が必要になっても費用を捻出できないかもしれません。また、老後に楽しもうと思っていた旅行も、実現できない可能性があります。

 

老後生活が始まる前に、できれば住宅ローンは完済しておきたいものです。とはいえ、手持ち資金にあまり余裕がない人は、不測の事態に備えて一括返済せずに退職金を確保しておいたほうが良いこともあります。

 

一部繰り上げ返済をするのも方法

退職金で一括返済をせずに、一部繰り上げ返済をするのも選択肢の一つです。繰り上げ返済をすると、毎月の返済負担を抑えたり返済期間を短縮したりできます。例えば、借入額4,000万円、返済期間35年、金利1.5%の住宅ローンを40歳で組んだとしましょう。返済方法は、毎月一定額を支払う元利均等方式、ボーナス払いはなしとします。

この場合は、「毎月の返済負担は約12.2万円」です。

 

60歳で定年退職を迎えたときに500万円を繰り上げ返済した場合、毎月の返済額を約9.1万円に減らせます。また返済負担はそのままに、残りの返済期間を15年から10年11か月に短縮し、71歳で完済することも可能です。

 

住宅ローン残高と退職金額を確認しよう

退職金を使って住宅ローンを完済するかどうかは、退職を迎える直前ではなくあらかじめ計画しておくことをおすすめします。「定年退職時の住宅ローン残高」と「退職金の支給額」を確認することで、退職金での一括返済が可能かどうか判断しやすくなります。

 

退職時の住宅ローン残高は、借入後に発行される返済予定表や金融機関の窓口で確認が可能です。退職金制度については、勤務先の就業規定や賃金規則などで確認できます。必要に応じて、自分自身で支給額を計算してみるのも有効です。

 

 

まとめ

退職金だけでは住宅ローンの完済が難しいとわかっていれば、一括返済に向けた資金作りができるでしょう。老後生活におけるお金の不安を少しでも軽減するためには、早いうちから少しずつでも良いので行動を開始し、将来の資金計画を立てることが大切です。

 

資金計画の立て方がわからない人は、お金の専門家であるファイナンシャル・プランナーへの相談も検討しましょう。

 

 

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住宅ローンの繰り上げ返済はする?しない?タイミングの考え方を解説

 

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