住宅ローンの繰り上げ返済について調べていると「繰り上げ返済はしないほうがいい」「いや、したほうがいい」という、真逆の意見が散見されます。
繰り上げ返済は、住宅ローンの利息額を軽減して早期完済を目指せる方法です。
ただ、タイミングによっては他のことに資金を投じたほうが家計全体の資金効率を高められることも。繰り上げ返済のタイミングは、慎重に考えることが大切です。
今回は、繰り上げ返済のタイミングを見極めるポイントを解説します。
「住宅ローンは繰り上げ返済したほうがお得」なのか?
繰り上げ返済とは、住宅ローンの利息額を軽減することで支払総額を少なくする方法です。
住宅ローンの借入金利やローン残高、残存年数などによってお得になる金額は異なりますが、「繰り上げ返済はお得かどうか」と言われれば「お得」でしょう。
ただし繰り上げ返済をするには、まとまった資金を家計から捻出しなければなりません。
また、現在の住宅ローンは低金利で住宅ローン控除という節税制度もあります。タイミングに よっては繰り上げ返済で利息額を軽減するよりも、住宅ローン控除を受けたり、その資金を別のことに投じたりしたほうが資金を有効活用できるかもしれません。
つまり、繰り上げ返済がお得になるかどうかはタイミング次第です。繰り上げ返済をする際は、家計全体で資金をどう使うのが良いかを考えたうえで判断しましょう。
住宅ローンの繰り上げ返済のタイミングを見極める!チェックポイント3つ
住宅ローンの繰り上げ返済のタイミングで迷ったら、以下3つのチェックポイントを参考にしてみてください。
ポイント1:住宅ローン減税の控除率とローン金利を確認
現在「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」の適用期間中という人は、以下、節税額と利息軽減額を比較してみてください。
- 住宅ローン控除でお得になる節税額 → 現在適用されている住宅ローン控除の「控除率」を確認する
- 繰り上げ返済でお得になる利息軽減額 → 現在借り入れしている住宅ローンの「借入金利」を確認する
上記の「控除率」は住宅ローン契約年や住宅種別などで異なりますが、年0.7~1.2%の範囲で設定されています。もし控除率より現在の住宅ローンの「借入金利」が高い場合は、繰り上げ返済したほうがお得になる可能性があります。
ただし、実際にいくら利息額が軽減できてお得になるかは、現在の借入状況によっても変わってきます。上記は1つの目安として覚えておき、詳細は住宅ローンや税制に詳しいファイナンシャル・プランナーなど専門家に相談することをおすすめします。
ポイント2:貯蓄状況と今後のライフプランを確認
繰り上げ返済にはまとまった資金が必要になるため、現時点でその資金を使っても良いかどうかを確認しましょう。
貯蓄状況と今後のライフプランを照らし合わせて、「今ここで貯蓄が減っても、この先のライフイベントに対処できるだろうか」を考えてみてください。大きな支出が発生するライフイベントには、子どもの進学時期や、自動車の買い換え時期などがあります。また住宅購入後一定年数が経過している場合は、住宅の修繕費用が必要になることもあるでしょう。
修繕費のかかり方はマンションか戸建てか、住宅の種別によっても異なります。経年劣化で水道管が破裂し、修理費が必要になった…なんて事態も考えられます。こうした突発的な支出にも備えられるよう、資金は分けて管理しておいてください。
ポイント3:利息削減以外に資金を活用できる方法はないか確認
繰り上げ返済用の資金を他の方法で運用・活用できる方法はないかを確認することも大事です。
繰り上げ返済は、まとまった資金を返済することで利息を減らし、支払総額を少なくできる効果があります。
しかし、ここで「少なくできる利息」以上に経済的なメリットを得られる方法があるのなら、まとまった資金はそちらに回したほうが資金効率は良くなります。
たとえば、繰り上げ返済で300万円を返済し、利息削減効果が30万円あるとします。このとき、「300万円を運用して30万円以上の利益を得られる方法が他にないか」を考えてみることが大切です。
もし他に利益を出せる運用方法があるのなら、繰り上げ返済に固執せず効率の良い方法に資金を回すのも1つの方法でしょう。
また、住宅ローンには団体信用生命保険という保険制度もあります。保障をできる限り長く持ちたいという理由で、繰り上げ返済をしない人もいるでしょう。
どの方法が正解ということはないため、家計全体で資金効率が良いと思える方法を選択してください。
繰り上げ返済する前に金融機関に確認しておきたい注意点
繰り上げ返済をすると決めたら、以下の点を金融機関に確認してください。
- 繰り上げ返済の方法:インターネットバンキング、電話、窓口手続きなどの方法がある
- 繰り上げ返済できる金額:手続き方法や残存年数、金融機関によっていくらから繰り上げ返済できるか異なる
- 繰り上げ返済時の手数料:手続きや金融機関によって違う
- 戻し保証料の有無:住宅ローン保証料を一括で前払いしている場合は、繰り上げ返済の時期によっては「戻し保証料」を受け取れる可能性がある。戻し保証料があれば、繰り上げ返済の利息削減以上の経済的メリットが少し大きくなる
上記のように、繰り上げ返済の条件は金融機関によって異なります。
また、戻し保証料も金融機関が利用している保証会社によって変わってくるため、繰り上げ返済でどれだけ手数料がかかるのか。また戻ってくる金額はあるのか?をよく確認しておきましょう。
まとめ
利息を軽減して住宅ローンの支払総額を少なくできる繰り上げ返済は、経済的なメリットがある手段です。
ただし、繰り上げ返済にはまとまった資金が必要になります。各家庭の貯蓄状況やライフプラン、住宅ローン控除の状況などをよく確認したうえで、最適なタイミングを見極めましょう。また、繰り上げ返済用の資金を他の方法で運用するのも1つの方法です。
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