保険は、病気やケガによる入院・手術、あるいは死亡といった「起きたら困る保険事故」によって保険金を受け取れる商品です。
この性質によって、保険はしばしば「賭け事(ギャンブル)の仲間」などと言われることがあります。
たしかに仕組みは似ていて、保険もギャンブルと同様に“当たる”確率はそう高くありません。
しかし、ギャンブルには「賭け事をやめて生じるリスク」はありませんが、保険には「保険対策をしないことで生じるリスク」がわずかながらにあります。
確率は低くとも、いざという時に保険金を受け取ることでリスクを回避できるのですから、保険とギャンブルを同一視して無駄と切り捨てるのは早計ではないでしょうか。
当記事では、保険の確率と保険料のバランスについて、保険商品の性質を紐解きながら解説していきます。
確率論に基づき設計されている保険は、ギャンブルや宝くじと同じ?
冒頭で解説したとおり、保険は不幸かつ確率の低い保険事故によって、お金を得られる商品です。
そのため「不幸の宝くじ」「損する可能性が高いギャンブル」と言われることがあります。
たしかに、重い病気や交通事故、死亡といった保険事故の多くは発生確率が低く、実際に保険金・給付金を受け取れる人は加入者全体のごく一部です。
当たる確率が低く一部の人しかお金を手にできない仕組みは、多くの人がプールしたお金を元にしたルーレットゲームに似ています。
仕組みだけ見れば、保険とギャンブルは同じと言えるでしょう。
しかし保険は、保険料を払うことで事前に「小さな損失を確定」させ、将来発生しうる「大きな損失を回避」する商品です。
ギャンブルをやめても大きな損失は発生しませんが、保険対策をやめれば、確率は低いものの発生しうる大きな損失の回避が難しくなります。
このように、保険とギャンブルでは活用する目的が大きく違います。
子育て世帯を支える世帯主の夫が交通事故に巻き込まれて亡くなるという、それこそ万が一の事態に備えて家族を守る役割を持つのが保険です。
保険に関して「確率が低いから」と要・不要を議論するのではなく、保険のリスク・リターンについて理解したうえでうまく活用する方法を考えるほうが建設的ではないでしょうか。
大切なのは、リスクとリターンをどう捉えるか
保険商品は、商品によって受け取れる確率の度合いと受け取れる金額が違います。
たとえば学資保険や養老保険といった貯蓄型保険は、一定年数継続すれば元本以上のリターンを受け取れます。
継続さえすれば元本割れせずに受け取れる確率が高くなるため、保険料の払い損といった「小さな損失」は回避しやすいです。
ただし、小さな損失を回避するため、将来発生するかもしれない「大きな損失」に備える金額=受け取れる保金額は少なくなります。貯蓄型保険は、まさにローリスク・ローリターンの商品と言えるでしょう。
一方、掛け捨て型の医療保険や定期保険は、少ない保険料で多くの保険金を設定できるため、「大きな損失」に備えやすくなっています。
ただ、大きな損失が発生する保険事故はそもそも発生確率が低いため、多くの場合保険料は掛け捨てのまま払い損になります。
受け取れない可能性は高いものの、もしも受け取れたら多額の保険金を手にできるという性質は、ハイリスク・ハイリターンと言えます。
このように、保険商品で払い損になるリスクの度合いを下げればリターンも少なくなります。それぞれのバランスを考えたうえで、各家庭に適した商品選びが必要になってきます。
保険料が高い… 保険の選び方はどうすればいい?
先述したように、保険金を受け取れる確率と受け取れる保険金額は商品によって異なります。
払い損を極力防ぐ貯蓄型保険はその分ローリターンで、払い損の可能性がある掛け捨て型保険はその分ハイリターン。
このリスクの度合いと保険金のバランスをうまく保つためには、まず各家庭で以下の内容を明確にする必要があります。
- 1. どのような保険事故に備えるべきか、備えたい保険事故の優先順位をつける
- 2. 保険対策において、あらかじめ小さく損してもいい金額=家計で許容できる保険料はいくらか
各家庭で備えるべき保険事故の優先順位付け、そして家計における保険料許容額の算定。
これらを明確にすれば、各家庭に適した保障・保険料の商品を合理的に選択しやすくなります。
リスクとリターンのバランスも取りやすくなるでしょう。
ただし、保障や保険料だけではなく、保険会社のさまざまな条件(支払事由)や手続きにも留意する必要があります。
なぜなら、保険は契約時の想定どおりに受け取って初めてパフォーマンスを発揮する商品だからです。
手続きや受け取り時のサポートは保険会社によって異なるため、サポートの手厚さも考慮しておくことをおすすめします。
まとめ
保険がギャンブルと違うのは、保険料を払うことで事前に「小さな損失を確定」させ、それによって将来発生しうる「大きな損失を回避」できる点です。
つまり、保険の目的は損失を回避すること。
そのためには、各家庭にとって備えるべき損失を明確にしたうえで、家計に影響のない範囲で損失を補てんできる商品を選ぶことが大切です。
保険にはローリスク・ローリターンからハイリスク・ハイリターンの商品まで種類があり、どの保険をどう選ぶか見極めることは買い物のコスパを考えることと似ています。
ただ、家電製品や化粧品のコスパはなんとなくわかっても、その対象が保険商品となると、判断が難しくなるものではないでしょうか。
「我が家はこれくらいの確率がある病気への備えを確保したい。そのためには、我が家ではこれくらいの保険料を払って、これくらいの給付金額を得られるなら(多少小さく損しても)コスパが良いのでは」といった保険の“セルフチェック力”は、簡単に身につけられるものではありませんよね。
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