みなさんは生命保険独自の権利である「既得権」をご存知でしょうか?
長期間契約することの多い生命保険では、加入時に健康に問題がなかったとしても、加入中に健康リスクを抱えてしまうことは少なくありません。
最新の保険に見直したいと考えても、健康を害していれば診査を通らない可能性もあります。
そうした際に有効なのが「既得権」です。
既得権とは、「既に得ている権利」すなわち「現契約の保障」を継続する権利ということですが、これを行使するにはいくつかの条件をクリアする必要があります。
今回の記事では、どのような場合に既得権を行使すべきなのか、どのようなことに注意すべきなのか、具体的に解説します。
生命保険の既得権とは
長期加入することの多い生命保険には、加入者が契約内容を途中で変えられる既得権があります。
現在の保障を継続する権利ということは、同じ生命保険会社の商品に見直すことを前提にしており、他社への乗り換えでは行使できません。
その見直しの際に活用するのが「転換制度」です。
現在の契約を下取りして、新しい契約に見直す仕組みです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
おすすめの記事:持病があるのに保険の更新時期!そんな時に有効な転換(下取り)とは?注意点を解説
なお、同じ会社で見直す場合も、現在の契約を解約して新規で加入し直す場合は行使できませんので注意してください。
【引用元】生命保険文化センター
続けて、どのような場合に既得権を行使すれば良いのか?具体的に確認しましょう。
既得権を利用することがメリットになるケース
既得権は、どんなときに行使するとメリットがあるのでしょうか?
代表的な事例として、下記の1~3をご確認ください。
既得権を行使する際に注意することは
ここまでの解説から、既得権はメリットばかりだとイメージされているかもしれませんが、下記の場合は十分にご検討の上で権利を行使(転換制度を活用)しましょう。
留意すべきポイントは以下のとおりです。
- ①転換制度を活用する際のデメリット情報を確認し、納得しているか?
- ②転換後契約が条件付契約となった場合、新旧のどちらが優位なのかを比較しているか?
- ③既得権に囚われることで、他社への乗り換えにより優位となる保障内容を確保する機会を失っていないか?
もう少し詳しく確認してみましょう。
①転換におけるデメリットとして代表的なのは「予定利率の変更」です。
保険会社は、契約者から受け取った保険料をどれくらいの運用利回りで運用できるのかを予測して保険料を設定していますが、その“予測した運用利回り”のことを「予定利率」と言います。
一般的に、予定利率が高ければ保険料は安くなり、予定利率が低ければ保険料は高くなります。
運用環境が良かった時代は予定利率が高く設定されていたので、運用環境が厳しいタイミングに見直すと予定利率が低くなるデメリットが発生します。
②転換ご契約が条件付契約となった場合、既得権として継続できる保障を得るのと引き換えに、その条件を呑むことになります。
従って、既得権を行使する保障内容よりも条件付契約になってしまう保障内容の方が重たい、その条件は呑めないと考える場合は転換制度の活用を見送った方が良いかもしれません。
③既得権の行使ばかりに目が行ってしまうことで、他社への乗り換えを視野に入れていない場合があります。
同じ保険会社で最新の保障内容に見直すよりも、他社の最新の保障へ乗り換える方がニーズに合った見直しができる可能性があります。
特に最近は、同じ保障内容でも割安な保険料設定となっている商品も登場しているので、以下のどちらが優位なのか?を比較してみる価値があると思われます。
なお、保険会社によっては「既得権」という言葉を使わず、特約条項の一部として同じ主旨の制度を取り扱っている場合もあるので、保険会社が異なる商品を比較される際は注意してください。
まとめ
今回の記事では、生命保険の既得権について解説させて頂きました。
注意点として解説したとおり、既得権を行使する際はメリットデメリットの整理が不可欠です。
とは言え、商品ごとの保障内容の違いや、同じような商品名でも保険会社によって異なる保障範囲や免責事由の比較を自身で行うのは難しく、できれば専門家に頼ることをおすすめします。
なお、「そうは言っても専門家を頼るのは少し気が重い」という方は、一般の方ではなかなか知り得ない保障範囲や支払事由に関する留意点を紹介した記事があるので、まずはこちらを確認してみるのはいかがでしょうか?
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