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そもそも、保険金や給付金を受け取れないことなんてあるの?

「生命保険に加入していたのに、保険金をもらえなかった」となれば、今まで支払ってきた費用が無駄になるほか、生活に影響が及ぶ人もいるかもしれません。

 

保険金が受け取れない事例として請求漏れや保証内容によるものであれば理解ができますが、中には専門家でなければ分かり得ない難しい事例も存在します。

 

そこで今回は、保険金や給付金が受け取れない事例について実例を元にして具体的に解説します。

保険金はいつでも受け取れると思っていませんか?

 

基本的に生命保険の請求権は、3年で時効を迎えます。

 

保険法第95条第1項

「保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、三年間行わないときは、時効によって消滅する」(平成22年4月1日施行の保険法による)

 

通常、死亡・満期などの保険金請求権が発生していることが明らかなものについては、「時効の援用」がありません。そのため、3年を過ぎてしまったとしてもあきらめずに、まずは保険会社に問い合わせるとよいでしょう。

 

ただし、告知義務違反や自殺の場合、つまり権利者が故意に請求を遅らせるほか、時間の経過等によって立証が困難な際は「時効の援用」が適用されることもあります。このように状況によって対応が異なるため、保険会社への確認を忘れないようにすることが大切です。

 

また、時効以外にも保険金が受け取れないケースがあります。具体的にどのようなパターンなのかチェックしていきましょう。

 

 

代表的な「受け取れないパターン」は3つある!?

 

保険金を受け取れないケースとして、主に以下の3つが挙げられます。

 

事例 概要
① 故意 Ÿ 告知違反など

 

※詳しくはこちらをご覧ください。

 

教えて!告知義務違反の重大な過失とは?

② 事由対象外、免責 Ÿ 保障内容によるもの

 

※詳しくはこちらをご覧ください。

 

そもそも、「支払事由」に含まれていなければ受け取れません!

 

 

Ÿ 免責によるもの

 

※詳しくはこちらをご覧ください。

 

教えて!生命保険の「免責」とは?どんなときに受け取れない?

③ 手続き関連 Ÿ 専門家でない限り気が付きにくいケース

 

たとえば保険に加入する前に病気やけがが発覚していたにも関わらず、それを隠していた場合は告知違反に該当します。

この場合は、故意にやったと判断されて契約が解除されることがあるほか、当然保険金の支払いはされません。

 

支払事由の対象だと思っていても、細かな条件によって対象外になるケースも少なくありません。

このような事態に陥らないためにも、約款に目を通し、事由対象外や免責について確認しておくことが大切です。

 

また、③の手続き関連には専門的な知識が必要な場合もあり一般的には気が付きにくいケースがあります。次で詳しく見ていきましょう。

 

 

「手続き」をしなければ受け取れません!?

 

「手続きをしないと受け取れないことぐらいわかっているよ!」と思われた方もいるかもしれませんが、実際によくあるのが以下の3パターンです。

 

事例 概要
①【失念】

請求漏れ 等

  • 後で請求しようと思っていたまま忘れていた
  • 請求可能な特約を付加していたことを忘れていた
②【不知】

請求権(受給権)

  • 誰に請求権があるのかを知らなかった
  • 代理請求という仕組みがあるのを知らなかった
③【不知】

認知、認識

  • 本人や家族が保険加入の存在を知らなかった
  • 本人が認知症となり保険に加入していることを覚えていない

 

続けて、具体的なトラブルの事例を確認してみましょう。

 

 

実際に発生しているトラブルの具体例を確認

 

①【失念】請求漏れ 等

 

 

家族型の保険に加入していた事例
  • 子どもがケガをした。
  • 確か、自分の保険に子がケガした場合の保障も付いていたはず。
  • 定期的に訪問してくる担当者に確認してみようと思っていたまま忘れていたが、翌年の定期点検訪問の際に担当者から言われて思い出した。
  • まだ請求できるとのことで実際には給付金を受け取れたが、担当者の請求漏れ確認が無ければそのまま忘れていた可能性がある。

 

夫の死亡保険金を受け取った際の事例
  • 夫が他界し加入していた保険の保険金を受け取った。
  • 死後の整理でバタバタしていたことや、金額が大きい死亡保険金に気が行っていたこともあり、死亡前に治療していた際の入院給付金や手術給付金の請求を忘れていた。

 

 

 

②【不知】請求権(受給権)

 

 

被保険者に請求権があることを知らなか事例
  • ある日、夫が交通事故に遭いICU(集中治療室)で寝たきりのまま硬直状態が続いた。
  • 病院への交通費が重なり、また看病に伴う休職によって輸入が減ったこともあり、夫が加入している生命保険の請求を行うことにした。
  • ところが、保険会社からは原則として本人(被保険者)からの請求が必要だと言われた。
  • 夫は意識が戻らないままなのにどうすれば良いのか…。専門家への相談が必要になり、給付金を手にするまでには随分な時間がかかってしまった。

 

《参考》詳しくはこちらのコラムをご確認ください。

 

そもそも、「請求する権利のある人」が請求しなければ受け取れません!

 

教えて!「指定代理請求人制度」とは?成年後見制度や家族登録制度とは何が違うの?

 

 

 

③【不知】認知、認識

 

 

大規模な災害により夫が他界した際の事例
  • ある日、災害に見舞われ家屋は損壊し夫は帰らぬ人となった。
  • 瓦礫の中から思い出される大事な物は見つけ出したが、そもそも夫が加入していた生命保険の存在を知らなかった。
  • 理由は、夫の職場に訪問するセールスマンからの説明を受けて加入した保険であったため、妻は関与していなかったことが原因。
  • 保険会社側(担当セールスマン)からの連絡によって手続きを行うことができた。

 

認知症への対策を怠っていた事例
  • ある日、親を訪ねたところ「脳血管性認知症(まだら認知症)」の発症を確認した。
  • その際に対策を講じておけば良かったが、急展開に明らかな認知症に至るとは思っていなかったこともあり、生命保険やその他金融資産の諸確認(証券、暗証番号等)を行っていなかった。
  • かかる状況下に保険会社から通知が届いたことで加入実態を認識するに至った。
  • その結果、長く掛け続けていた個人年金保険の年金を受け取ることができた。

 

《参考》詳しくはこちらのコラムをご確認ください。

 

【おひとり様の老後が心配な人に】その保険、本当に自分で請求できる?

 

 

 

具体例な事例を確認し、「たしかにあり得る話かも知れない…」と、ヒヤッとした方も多いのではないでしょうか?

また、「これらについて回避策を練っていない…」と思われた方もいるかもしれません。

 

こうしたトラブルを防ぐには、まずは加入内容の確認が必要です。

さらには、専門家の知識が必要とされるところもあり、なかなか手に負えない可能性もあります。

 

一方で、せっかく掛け続けている保険を未請求のままとしたくないのは当然です。

中には、年に1回の定期点検を専門家に依頼している方もいるようです。

 

メーカーによって異なる詳細な取り扱いの差などを掌握することは非常に困難です。

特に、一社だけでなく複数社の商品の利点を組み合わせて加入している場合などは専門家を頼った方が安心でしょう。

 

 

まとめ

生命保険に加入する目的は、勿論のこと不測の事態が発生した際に保険金や給付金を“受け取る”ためです。

 

ところが、手続きをしなければ受け取れないことなど百も承知のはずなのに、事例を挙げて解説したようなトラブルが後を絶ちません。

生命保険は決して安くは無いお買い物だと言われています。できれば、1件でも「未請求」は防ぎたいものです。

 

また、受け取ることはできたにしても、意図した通りにその保険金や給付金が活かされなければ意味がありません。

 

そのために重要なのが「受取人の名義」であり、上述の「加入内容の確認」を行う際の重要な着眼点のひとつです。

「気になる」「どういうこと?」と思われた方には、続けてこちらのコラムのご確認をおすすめします。

 

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続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:

そもそも、「受取人」がいなければ受け取れません!

 

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