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医療費・保険料はなぜ高い?生活に直結する出費、高額医薬品を絡めて解説!

 

最先端の治療や検査の開発や予防医学の発達など、近年の医療の発達は目覚ましいものがあります。

その反面、最先端医療は軒並み高額であり、素晴らしい医療技術であったとしても多くの患者には供給できないというジレンマを抱えています。

 

誰しもがより発達した医療を受けたいと願うのは当然ですが、残念なことに今の日本では全員がこれらの医療を受けることはできないのです。

「必要な時にいつでも最新の医療」を国民が保険制度で受けようとすれば、国民皆保険制度が破綻してしまうからです。

 

実際に、諸外国と比較して高齢化が進む日本では年々医療費が増大しており、さらに人口が減っている為国民一人当たりの医療費負担額も増大しています。

今、日本の国民皆保険制度は窮地に立たされ、改革を求められているのです!

 

そこで本書では、日本の医療費高騰の現状と我々の取るべき対策について解説していきます。

<「必要な時にいつでも最新の医療」を提供できない理由は?>

 

胸痛

 

「必要な時にいつでも最新の医療」を保険診療で受ける。

これは医療を享受される国民からすれば理想的な環境ですが、現実的に不可能です。

理由は大きく分けて2つあります。

 

  • 費用対効果の低い医療提供

 

乳ガンを例に挙げてみましょう。

乳ガンは女性ホルモンの被曝量が多ければ多いほど発症しやすくなる病気であり、歳を取るほど女性ホルモンの被曝量が増えて発ガンリスクも高まります。

実際に日本人の30代では乳ガン罹患率は0.3%程度ですが、40—45歳では約8%、45歳以上では約11%と加齢とともに罹患率は上昇しています。

また日本の食文化の欧米化に伴い、女性ホルモンの分泌量が増加してしまい、乳ガン罹患率は年々増加傾向にあります。

 

乳ガンに限らずどんなガンでも、より早期に発見できた方が生存率は高まり、逆に発見が遅れてしまうと治せるガンも治せなくなってしまいます。

実際に乳ガンの場合は、ガンステージⅠ期の5年生存率は99.8%ですが、Ⅱ期では95.7%、Ⅲ期で80.6%、Ⅳ期ではなんと35.4%まで低下してしまいます。

 

これらのデータを鑑みれば、誰しもがより若いうちから乳ガン検診を受けたいと考えるはずですが、30代では約0.8%の罹患率である為、1000人の女性が検査を受けても992人にとっては不要な検査なのです。

 

もし仮に全員が乳ガン検診を受けた場合、マンモグラフィーの保険点数は約500点、30代女性の人口は約900万人ですから、なんと医療費は45億円も増加してしまう計算になります。

 

つまり30代に対して乳ガン検診を保険診療で提供することは、かなり費用対効果の低い医療提供になってしまい国民皆保険制度の破綻を招きかねないため、日本では現状40歳以上を対象に公的費用助成を行っています。

逆に20-30代の方が乳ガン検診を受ける場合は、今の日本の医療制度では自費で受けるしかなく、1000人中数人の方は発見が遅れることも仕方ないというのが現状です。

 

  • あまりにも高額に膨れあがった医療費

 

2つ目の理由は、あまりにも高額に膨れあがった医療費の問題です。

日本の医療費は2019年度、44兆円を超え過去最高額を更新しました。

国家予算は年間約100兆円であり、いかに医療費が財政を圧迫しているかが分かります。

日本の国民皆保険制度を維持するためには、これ以上の医療費の増大は避けたいというのが本音であり、「必要な時にいつでも最新の医療」を提供するわけにはいかないのです。

 

2008年には人口1億2800万人以上でしたが、現在は1億2500万人ほどまで減っている日本でここまで医療費が高額になる理由として、人口動態の変化が挙げられます。

日本では諸外国と比較して高齢化社会が進んでおり、医療を必要とする世代の人口だけが増え続けているのです。

また、高額な医薬品の登場も問題です。

 

<医療費高騰を招く高額な医薬品>

 

 

薬の価格、つまり薬価とはどのように決められてきたのでしょうか?

同じような薬がすでに発売されている場合は比較対象となる薬があるため、既存の薬と同じ、もしくは少し安い薬価に設定されます。

 

既存に無い全く新しい薬の場合は比較対象となる薬がないため、製薬会社が発売までに要した研究開発費と発売後の売り上げ予測などの総合評価で決定します。

最先端の治療薬や検査は、その開発コストや人的コストが価格に上乗せされてしまうためどうしても高額になってしまいます。

 

例えば、白血病に対する新薬「キムリア」が良い例です。

2019年に承認された当時の薬価はなんと3349万3407円!

キムリアの場合、患者は3割負担で約1000万円の負担、かつ高額療養費制度を使えば、年収500万円の患者の負担額は約40万円にまで軽減され、差額の約3300万円は社会保険料から捻出しなければなりません。

 

キムリア以外にも、今まで完治することの難しかったC型肝炎に対する新薬「ハーボニー」は、発売当初1日1錠8万円ほどの薬を12週間内服する必要がありました。

 

例え薬価が高額とはいえ、どちらの薬も今まで難知であった病気に対して素晴らしい有効性を持つことは間違いありませんが、それと引き換えに医療費の高騰という代償を払う羽目になったのです。

 

高額医薬品だけでなく、臨床現場での薬価に対する考え方にも問題があります。

日本では医師が薬を処方する場合、どの薬を処方するかはそれぞれの病気に対して定められた診療ガイドラインに沿って決められています。

 

この診療ガイドラインは基本的にその治療の「有効性」と「安全性」のみを配慮した最高の医療提供を目的に作成されているため、薬価はあまり考慮されていません。

 

例えば、心房細動と呼ばれる不整脈疾患に使用される薬であるワーファリンは1錠9.6円ですが、同じ効果を持つプラザキサは1錠239.3円です。

ワーファリンと違ってプラザキサは内服管理が楽であり、食べ合わせの悪い食べ物も特に無いため便利な薬であることに間違いありませんが、敢えてワーファリンからプラザキサに切り替える必要のない患者でも薬価を無視して切り替えてしまう例も散見されます。

 

病状によっては最高の治療を行わなくても、昔からある安い「それなりの薬」で何とかなる可能性があるにも関わらず、ガイドラインで推奨された薬は薬価に関係なく使用される、それが今の医療現場の実情です。

 

<保険制度の今後と対策について>

 

医療費高騰が嘆かれる今、諸外国に遅れて日本でもようやく費用対効果を考慮した薬価算定方法が導入されました。

類似の医薬品・医療技術等に比べて、費用対効果が優れているのか、あるいは劣っているかをデータに基づいて判断し、その上で価格を調整する手法です。

 

これにより医療費の高騰を抑えられるかもしれませんが、費用対効果が低いと判断された薬は保険適用から外される可能性もあり、その結果使用できる患者が激減すれば製薬会社の収益に影響します。
そうなればいかに革新的な医薬品だとしても製薬会社は開発をやめてしまう可能性があり、結果的に我々の首を絞めかねません。

 

これらの背景から、今後日本で暮らす我々が「必要な時にいつでも最新の医療」を受けるには、諸外国のように事前に自分で民間保険に加入するか、もしくはお金を用意しておく必要があります。

これからの時代、健康と命を守る為にはお金と情報が必要不可欠です!

 

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基本 「がん」とは何か?どのようにして罹患するのか?

確率 年齢や男女差は?

部位 どんな種類がある?年代・性別に多いのは?

発見 早期発見するには?

原因 遺伝は関係ある?生活習慣はどこまで影響する?

治療 どんな治療方法がある?

費用 いくらかかる?

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