症状の段階によって治療方法が異なりますが、想像よりも大変だと思われるかもしれません…
糖尿病治療には血糖値のコントロールがカギとなります。では具体的にどのような治療が必要なのか。血糖をコントロールするために行う治療法についてご紹介します。
糖尿病治療は血糖をコントロールする治療
糖尿病の治療として血糖値をコントロールするためにまず行うのは、食事療法と運動療法です。
2型糖尿病の方の場合、まず食事療法と運動療法で血糖値の経過をみていきますが、それでも血糖値の改善がみられないときなどは必要に応じてお薬による治療を行います。
1型糖尿病の方は自分でインスリンを作れなくなるため、インスリン注射による治療(薬物療法)が欠かせません。食事や運動の制限はほとんどありませんが、運動中の低血糖には注意が必要です。
血糖をコントロールする治療法は大きく3つ
糖尿病の治療法には大きく3つ、食事療法、運動療法、薬物療法があります。
糖尿病の治療1 食事療法
まずは食事療法を進めるにあたって、1日あたりの適正なエネルギー量を知っておくことが大切です。1日あたりの適正なエネルギー量は、身長と体重、身体活動量から計算できます。まずは、身長をもとに「目標体重」を計算します。
① 目標体重を確認する
【計算式】
65歳未満:身長(m)×身長(m)×22
65~74歳:身長(m)×身長(m)×22~25
75歳以上:身長(m)×身長(m)×22~25
ただし、75歳以上の後期高齢者の場合は、現在の体重に基づき、基本的ADLの低下や合併症、食事の摂取量などを踏まえて、適宜判断することが望ましいとされています。日本肥満学会では、BMI値22を適正体重(標準)とし、25以上を肥満、18.5未満を低体重と分類しています。現在の自分のBMI値を知りたい方は、 現在の体重(kg)÷ 身長(m)× 身長(m)で表すことができます。
②1日あたりの適正エネルギー量を計算する
1日の適正なエネルギー量(kcal)=目標体重(kg)×身体活動量(kcal)
※目標体重は、前出の年齢を考慮に入れた目標体重を使うこと
※身体活動量の目安
- 軽い労作(大部分が座位の静的活動)の場合、25~30
- 普通の労作(通勤、家事、軽い運動も含む)の場合、30~35
- 重い労作(力仕事が多い、運動量が活発)の場合、35~
例えば、身長165cmで65歳未満、日常あまり動かない人の場合で考えてみましょう。
目標体重は1.65(m)×1.65(m)×22=59.9(kg)、身体活動量は上記の軽い労作に該当するため25~30です。
59.9(kg)×25~30=1498~1797(kcal)
この人の1日の適正エネルギー量は、約1500~1800(kcal)となります。
適正エネルギーを知ったうえで、栄養素に偏りがないようバランスのよい食事を心がけます。炭水化物、たんぱく質、脂質はエネルギーの元となるもので三大栄養素と呼ばれており、人が健康に生きていくためには欠かせないものです。このほかにも体の調子を整えるミネラル、ビタミンなどの栄養素もバランスよく摂取する必要があります。
※栄養のバランスの目安(日本人の食事摂取基準2020年版)
- 炭水化物:総エネルギー量の50~60%
- タンパク質:総エネルギー量の20%まで
- 脂質:炭水化物とタンパク質の残り
ほかには、炭水化物の摂取量とは無関係に、食物繊維を1日当たり20g以上摂取することが推奨されています。
糖尿病だからといって食べてはいけないものはありませんが、控えたほうがよい食べ物はあります。腎臓に病気がある場合はたんぱく質や塩分、カリウムなどの制限があるためです。糖尿病のある方は、塩分、アルコール、間食(おやつ)などの摂り過ぎにも注意が必要です。主治医の指示に従って治療を進めていきましょう。
糖尿病の治療2 運動療法
運動をすると、体の中にたまった糖が使われます。運動して筋肉量が増えれば糖の代謝がよくなり、インスリンの効果が発揮され、血糖値は低下します。
運動の目安はできれば毎日(少なくとも週に3~5回)、全身を使った有酸素運動(ウォーキングやスイミング、ジョギングなど)を行います。さらに、週に数日はレジスタンス運動(いわゆる筋トレなど)を行うようにします。この2つの運動を組み合わせて行うことで、治療効果が高まります。1回20~60分を目安に、週150分以上の運動が勧められています。
運動をストップすると、3日ほどで効果はなくなっていきます。始めのうちは無理をせず軽い運動から体を慣らしていきましょう。大事なことは毎日続けることです。
糖尿病の治療3 薬物療法
糖尿病治療に処方される薬の種類は、飲み薬と注射薬です。
血糖を下げる飲み薬(経口血糖降下薬)には、インスリンの分泌をふやすものや、インスリンの作用をよくするもの、糖の吸収と排泄を調節するものなどさまざまです。病態や合併症など個人にあったものが処方されます。
注射薬には、直接インスリンを補充することで血糖値を下げるインスリン注射と、食後のインスリンの分泌を促して血糖値をさげるGLP-1受容体作動薬があります。インスリン注射は1型糖尿病の方には欠かせない治療法です。
まとめ:糖尿病治療で大事なことは「継続」
糖尿病はきちんと治療することが大事です。途中であきらめてはいけません。治療をストップするとさらに進行し、合併症を起こし命の危険性があります。
糖尿病の治療の目標は、頑張りすぎないこと、治療とうまく付き合っていくことです。食事や運動ではできることから少しずつ、毎日継続していきましょう。治療の継続には家族、医療関係者、仕事仲間などサポーターの協力が不可欠です。
ひとりで抱え込まず、サポートしてもらうことも治療を続ける力になるでしょう。
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