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晩酌常連組必見!あれ?「酒は百薬の長」じゃなかったの?

 

「酒は百薬の長」とは、適量の飲酒であればどんな良薬よりも効果があると、飲酒を賛美したことわざです。

実際に高血圧や糖尿病などの患者に対しても100%の禁酒は求めておらず、適量の飲酒は認められています。

 

しかし、人類の大敵であるガンだけは話が違います。

近年の研究では、わずか1日1杯の飲酒でさえもガンの種類によっては発ガン率を増加させてしまう可能性があると報告されており、適量の飲酒であっても健康を害する可能性があるのです。

 

タバコと肺ガン、ピロリ菌と胃ガンのように、これまでの多くの研究によってガンそれぞれの発症のリスクとなる要因が判明しています。

 

中には飲酒がリスクとなるガンも存在するため、特にお酒が好きな方々はそのリスクを理解しておくべきです。

そこで本書では、飲酒に伴い発症リスクが上昇するガンについて詳しく解説していきます。

<ガンとリスク要因の関係性とは?>

 

 

そもそも、なぜそれぞれのガンにはリスク要因が存在するのでしょうか?

これは、ガンが破壊と再生の中で生まれる存在だからです。

 

例えば、肺ガンが最もイメージしやすいでしょう。

タバコを吸えば肺ガンの発症リスクが上がることは周知の事実ですが、これはタバコに含まれる成分である発ガン物質が気道の細胞を破壊するからです。

 

破壊された組織は元に戻ろうとして、細胞分裂を繰り返すことで失われた組織を補完しようとしますが、これを繰り返す過程で細胞の遺伝子情報に傷が付くと、正常ではない異常なガン細胞が発生してしまうのです。

 

つまり、その組織を破壊する要因に暴露されることでガンの発症リスクが上昇してしまい、それぞれの組織毎にリスクとなる要因もある程度決まっています。

胃ガンであればピロリ菌や塩分、膀胱ガンであれば化学物質であるベンゼン、肝臓ガンであればB型肝炎などのウイルスなどが挙げられます。

 

では、飲酒は人体に対してどのような健康被害を与えているのでしょうか?

 

<飲酒が人体に与える影響とは?>

 

 

厚生労働省の示す指標では、節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコールで20g程度の飲酒としています。

これは、大体「ビール中ビン1本」「日本酒1合」「チューハイ(7%)350mL缶1本」「ウィスキーダブル1杯」などに相当します。

また一般的に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅いため、1日平均純アルコール10-15g程度が適切と言われています。

 

これ以上の飲酒は健康上有害である可能性が高く、過度な飲酒は肝機能障害や膵炎、脳萎縮、心筋炎、神経障害など様々な臓器や組織に障害を与える可能性があります。

 

またそれ以外に飲酒は発ガンとも深い関係性があります。

飲酒によって体内に取り込まれたアルコールは、肝臓内でアルコール脱水素酵素(ADH)により代謝を受けアセトアルデヒドに変換されます。

本来であればアセトアルデヒドは肝臓内でアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によりさらに代謝され、酢酸になり最終的に二酸化炭素と水になって体外に排出されます。

 

しかし、日本人は体質的に約40%の人がALDHの活性が弱い「低活性型」のため、アセトアルデヒドが体内に蓄積しやすい体質なのです。

このアセトアルデヒドこそ二日酔いの原因となる物質であり、日本人は体質的にお酒に弱い人が多い理由でもありますが、アセトアルデヒドは発ガンにも関与しているため、飲酒量増加に伴い体内にアセトアルデヒドが蓄積すると発ガンリスクが増加してしまうのです。

                                               

実際のデータを示します。

2007年にWHO(世界保健機関)は「飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と、女性の乳ガンの原因となる」と指摘しています。

国立ガン研究センターのガン予防・検診研究センターの「日本人のためのガン予防法」によると、日本人男性を対象とした研究の結果、1日あたりの平均純アルコール摂取量が46g以上の飲酒で40%程度、69g以上で60%程度、ガン全体のリスクが上昇することが示されました。

 

部位別では、肝臓・大腸・食道ガンにおいて飲酒の影響が「確実である」とされています。

例えば大腸ガンでは、1日あたりの平均純アルコール摂取量が23-45.9g、46-68.9g、69-91.9gと増すにつれて、リスクも1.4、2.0、2.2倍と上昇しています。

 

さらに驚くべき報告もあります。

2019年12月に発表された東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室の財津將嘉助教らの報告によれば、全国33カ所の労災病院の入院患者を対象とし、新たにガンと診断された6万3232症例と、同数のガンでない患者の飲酒習慣などを聞き取り、「低~中程度の飲酒がガン罹患に与える影響」を調べた結果、飲酒量が多ければ多いほど発ガンリスクが高くなり、たとえ少量の飲酒であっても発ガンリスク上昇に影響を与えることが分かりました。

 

さらに、1日1杯の飲酒でも10年続けるとガン全体の罹患リスクは5%も上昇し、部位別でみると、最も上昇率が高いのは食道ガンで45%、続いて喉頭ガンが22%でした。

日本人に多いガンの部位では、大腸・乳房ガンが8%、胃ガンが6%となっています。

この研究結果から、たとえ少量の飲酒であっても長期的な飲酒習慣は、十分にガンの発症リスクを上昇させてしまうことが分かったのです。

 

更に、喫煙者が飲酒をした場合は食道ガンやガン全体の発症リスクがさらに高くなることも分かっています。

では、この現状を踏まえ我々が取るべき対策とはどんなことがあるのでしょうか?

 

<晩酌好きでも行うべき対策とは?>

 

 

晩酌好きな方にとって、禁酒は容易なことではありません。

しかし、本書からも分かる通り飲酒はガンの発症に深く関わっています。

そこで、晩酌好きな方が取るべき2つの対策をご紹介します。

 

  • 飲酒量を抑える

 

以前までは適度な飲酒は健康に有害ではないと考えられていましたが、近年の研究では飲酒量に比例して発ガンリスクが高まっていくというデータもあるため、晩酌好きな方でも飲酒量を意識して抑えるべきです。

 

また喫煙は飲酒と異なり明らかに健康に有害であり、喫煙本数を抑えるよりも完全に禁煙するべきです。

 

  • ガンの定期検診を受診する

 

飲酒によって発症リスクが増加すると考えられているガンは、食道ガン、喉頭ガン、大腸ガン、肝臓ガン、乳ガンなどです。

このうち、特に大腸ガンは年々罹患者数が増加傾向にあり、今や日本人で最も罹患者数の多いガンになりました。

 

そこで、国内では大腸ガン検診に対して公費助成を行い、検診受診を促しています。

日本における大腸ガン検診では、「便潜血検査(免疫法)」が強く推奨されており、ガンやポリープによって生じた大腸内の目に見えない微量の出血を検出する方法です。

 

大腸ガン検診は副作用の心配もなく安全に受けられる検査で、検査前の食事や内服薬の制限もないため、普段通りの生活の中で受診することができます。

その上で、検診受診によって死亡患者数が60%減るという報告もあり、非常に有用な検査だと思います。

飲酒する人であれば、なお一層受診すべきです。

 

まとめ

残念ながら日本は大腸ガン検診の受診率が低く検査方法も簡易的であるため、欧米と比較して大腸ガン患者は減るどころか増加の一途を辿っています。

逆に米国では検診をうまく利用し、見事に大腸ガン患者を減らすことに成功しています。

一体、米国と日本では何が違うのでしょうか?

 

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