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退職金は一括受け取りと分割、どちらがいい?退職金をお得に受け取るポイント

退職金は、一度に大きな金額を受け取るものであると思ってはいませんか?

 

退職金の受け取り方は一括で受け取るだけでなく、いくつかの選択肢があります。受け取り方によっては最終的に受け取れる金額に大きな差がでる場合もありますので、自分のライフプランにあった受け取り方を選ぶのが大切です。 

 

今回は退職金の受け取り方の解説と、お得に退職金を受け取るための考え方についてご紹介します。 

 

退職金にかかる税金については、こちらの記事で解説しているので参考にしてみてください。

 

関連記事:「退職金にかかる税金の注意点!高額課税を防ぐためにお得な受け取り方を考えよう」 

退職金の受け取り方

 

 

退職金の受け取り方には、多く分けて「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3種類があります。

 

ただし、退職金の制度はそれぞれの企業が独自に設けているため、どの退職金制度を選べるのかは企業によって異なります。自分の会社がどの退職金制度を選べるのか、あらかじめ就業規則・退職金規程を確認しておくとよいでしょう。

 

一括で受け取る「退職一時金」

退職金の代表的な受け取り方が、退職時に一括で全額を受け取る「退職一時金」です。退職金といえば、この一時金をイメージされる方が多いでしょう。

 

企業にとっても一時金制度は一般的であり、退職金給付制度がある企業のうち約91%が退職一時金制度を採用しています。

 

分割で受け取る「退職年金」

退職金を年金として受け取る方法が「退職年金」です。退職金を企業年金として運用し、配当を含めた金額を一定の期間内に分割して受け取れます。

 

企業年金には、あらかじめ受け取れる金額が決まっている「確定給付企業年金制度」と、運用成績によって受け取れる金額が変動する「確定拠出企業年金制度」があり、どちらが採用されているかは企業によって異なります。

 

一時金と年金を併用

企業年金の制度を設けている会社の中には、一時金と年金を併用できる企業もあります。一時金で受け取る分と年金に回す分の金額を自分で決められますが、退職時の退職金総額には影響はありません。

 

 

退職金をお得に受け取るには

退職金は収入の一種であるため、所得税や住民税の課税対象です。ただし一時金と年金は税法上における所得の種類が異なるため、税金の計算方法が変わります。

 

受け取り方や金額によって手元に入る退職金の金額が異なりますので、自分にとってもっともお得な受け取り方を探してみましょう。

 

 

退職金の額によっては一時金がお得

退職一時金は、所得の計算上「退職所得」に分類されます。退職所得は普段の給与に比べ税金がかかりにくい所得とされており、税金の計算対象となる課税所得が低く計算されるようになっています。

 

退職所得は、退職金の総額から以下の計算式で算出された「退職所得控除額」を差し引いて求められます。

 

勤続年数  退職所得控除額 
20年以下  40万円×勤続年数 
20年超  800万円+70万円×(勤続年数ー20年) 

引用:退職金と税|国税庁 

 

退職所得控除は他の所得における控除よりも高額に設定されています。退職金の額によっては全額が控除内に収まり、税金が1円もかかりません。

具体的には、勤続年数に対し以下の金額までの退職一時金は全額を受け取ることができます。

 

勤続年数  所得税・住民税がかからない退職一時金 
5年  200万円 
10年  400万円 
20年  800万円 
30年  1,500万円 
40年  2,200万円 

 
もし退職金が上記の金額に収まるようなら、一時金として退職金を受け取っておくと、所得税・住民税を余計に支払わずに済むでしょう。

 

 

退職年金は公的年金の繰り下げと併用するとお得

退職年金は国民年金・厚生年金などの公的年金と合算され「公的年金等」として扱われます。

 

公的年金等は年齢と所得に応じて定められる「公的年金等控除額」が差し引かれた額が「公的年金等に係る雑所得」として、所得税・住民税の課税対象となります。

 

公的年金等控除により、65歳未満は60万円、65歳以上は110万円までの公的年金等には税金がかかりません。もし公的年金等の年間受け取り額が公的年金等控除額を超えてしまうようなら、国民年金・厚生年金の受給時期を繰り下げ、受給開始を遅らせることで、最大70歳までは課税を避けられるでしょう。

 

しかし、年金受給開始の繰り下げは、年金収入の受け取りが遅れることを意味します。70歳まで受給開始を繰り下げた結果、生活資金が不足してしまわないように、繰り下げにともなう生活資金の計画は十分に検討しましょう。

 

 

将来不安が大きいなら一時金

退職年金のうち、確定拠出企業年金制度は従業員が自分で掛金を運用します。運用成績次第では一時金よりも金額が増える可能性がある一方、不適切な運用により元本を割り込んでしまうリスクもあります。

 

もし運用に自信がなく、将来受け取れる年金の額が減るリスクを避けたいなら、退職時に一時金として全額受け取るとよいでしょう。

 

 

 

まとめ

退職金の受け取り方は、一括で受け取る「一時金」と分割で受け取る「年金」の2種類があります。

 

受け取り方によって所得の種類が変わり、税金の計算が変わるため、金額や受け取り時期によっては受け取れる総額に大きな差が生まれるかもしれません。

 

退職金の運用を考えている人はこちらの記事もおすすめです。

 

 

続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:

「退職金を運用して豊かな老後を」の前に。退職金運用の失敗を防ぐポイントを解説

 

 

 

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