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「何歳まで働ける?」65歳以降も働く人は30%。将来は70歳定年の可能性も

「老後資金が心配だからできる限り長く働きたいけど、実際は何歳まで働けるのだろう」

老後が近づいてくると、こんな疑問が出てきます。

 

老後も今と同様に働いて収入を得られるのなら、老後資金の不安はある程度解消できます。実際、いつまで働けるか?は切実な問題ではないでしょうか。

 

そこで今回は、老後の就労状況の実態を見ていきましょう。

何歳まで働ける?65歳以降も働いている人は30%

2022年版の内閣府調査※1によると、65歳以降に収入を伴う仕事をしている人の割合は約30%です。

 

特に男性が働く割合は高く、65歳以上の男性のうち約40%は会社員や自営業、パートタイムなど何らかの仕事で収入を得ています。

 

会社員の場合、65歳まで働ける環境については大方整備されています。政府は企業に対し、従業員が65歳まで働けるように「65歳までの雇用確保措置」を高年齢者雇用安定法(第9条)※2で定めました。厚生労働省の2021年度調査(※3)によると、調査報告した企業のうち99.7%がこの雇用確保措置を実施済でした。

 

同調査によれば、現在66歳以上まで働ける制度のある企業は全体の38.3%70歳以上まで働ける制度のある企業は全体の36.6%となっています。数値だけ見ると、「65歳までは働けるけど、65歳以降に働ける環境はまだまだ整っているとは言いがたい」と思うでしょう。

 

ですが、これはあくまで現在の数値です。今の現役世代が老後を迎える頃には、今よりもっと働ける環境が整備されているのではないでしょうか。なぜなら、先述した高年齢者雇用安定法には、「70歳までの就業機会の確保」が企業に努力義務として設けられているからです。

 

※1出典:内閣府「令和4年版高齢社会白書(概要版)」

※2出典:厚生労働省「高年齢者雇用安定法改正の概要」

※3出典:厚生労働省「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果より

 

 

政府が求める「70歳までの就業機会確保」とは

政府は高年齢者雇用安定法により、「65歳までの雇用確保措置」に加えて「70歳までの就業機会の確保」を努力義務として設けました。

 

具体的な内容は、以下のいずれかの措置を講ずるよう、企業に努力を呼びかけるものです。

 

<70歳までの就業機会の確保(努力義務)>

  1. 70歳までの定年引き上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
  4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  5. 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
  1. 事業主が自ら実施する社会貢献事業
  2. 事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

出典:厚生労働省「高年齢者雇用安定法改正の概要」

 

「65歳までの雇用確保措置」は義務化されたものでしたが、「70歳までの就業機会確保」は努力義務。刑事罰などの法的制裁はありません。あくまで、努力してくださいねと呼びかけるものです。

 

とはいえ、高年齢者雇用安定法に70際までの就業機会確保についての努力が明文化されていることは事実です。今後社会の状況にあわせて、定年年齢や継続雇用制度の年齢を見直す企業は増えていくでしょう。

 

2022年4月から、公的年金やiDeCo(私的年金の一種)の受け取り開始可能年齢が引き上げられました。公的年金・私的年金でも高齢社会に備えて年齢を引き上げていることを鑑みると、「70歳までの就業機会」がいずれ義務化することは十分ありえます。

 

少子化によって生産年齢人口が減少し続けている日本では、どのみち高齢者が働くことでしか労働人口を増やすことができません。65歳以降も働く人は、今後ますます増えていくでしょう。

 

 

定年後も働けたら老後資金の不安は大きく改善できるが……

総務省の2019年家計調査(※1)によると、60歳以降の高齢夫婦無職世帯の家計は、公的年金を受給しても毎月3.3万円程度の赤字がありました。「2000万円問題」の元になった2017年度家計調査(※2)でも、高齢夫婦無職世帯の家計は毎月5.5万円程度の赤字でした。

 

こうした赤字をカバーするためにも老後資金の準備が必要なのですが、定年後も働けるのであれば、赤字の解消は難しいことではありません。「老後資金が足りない」と不安な人は、老後も長く働ける環境のある会社に勤め、自身の健康管理に気をつけましょう。

 

特に重要なのが自身の健康管理です。老後に働ける環境があったとしても、体が思うように動かなければ働いて収入を得ることはできません。老後は、どんな人でも加齢による病気やケガのリスクが高まります。

健康診断やがん健診を定期的に受け、運動習慣を今から身につけておくことが大切です。

 

また、規則正しい生活や睡眠、食生活の向上といった生活習慣の改善も、老後に大きく活きてくるでしょう。

健康な体はすべての資本になるため、今から健康に対する意識を高めていきましょう。

 

※1 出典:総務省「2019年度 家計調査」

※2 出典:金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」

 

 

まとめ

少子高齢化が進み高齢者が多数を占める日本では、定年後も働ける環境が整備されています。現在、65歳以降も働く人は全体の約3割ですが、今働き盛りの人が定年を迎える頃には、半数以上が働いているかもしれません。

 

ただ、先述したように働き続けるためには健康な体が何より不可欠です。今からできる「健康リスクに備える方法」については、以下の記事でご紹介しています。老後も働くことを考えている人は、参考にしてみてください。

 

 

続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:

老後も長く働くために気をつけたい、健康リスクの備え方

 

 

 

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