結婚したときと同様に、離婚して独身になる際も生命保険の変更手続きや見直しが必要です。
とはいえ、離婚時にはただでさえやるべきことが多くあります。生命保険についても「何からするべきかわからない」という人がほとんどではないでしょうか。
そこで今回は、離婚時の生命保険でするべきことについて解説します。離婚前に話し合うべき内容から離婚後の保険契約手続き、見直しのポイントまで具体的に説明していきますので、離婚を考えている人は参考にしてください。
離婚時の生命保険でするべきこと
離婚の際は、加入している生命保険について「するべきこと」があります。
<離婚時にするべきこと>
- 離婚前:財産分与の対象になる保険があるか見直しする
- 離婚後:各種手続きと保険の見直し
加入している保険は、離婚による財産分与の対象になる可能性があります。財産分与の対象になるということは、保険の資産性が高いということ。つまり離婚後の家計に関わる大切な資産ですから、離婚前には必ず財産分与の対象になるかどうかを確認しましょう。
また離婚後には、各種手続きや保障内容の見直しが必要です。生活環境ががらりと変わる離婚時はするべきことが多いため、離婚する前に何をするか整理しておきましょう。
次項からは、離婚前と離婚後に分けてするべきことを順に解説していきます。
離婚前:生命保険をどうするか話し合おう
離婚前にするべきことは、「現在加入している生命保険をどうするのか」の話し合いです。
なお、ここでの「生命保険」とは一般的な死亡保険から医療保険、がん保険、子どもの学資保険や将来の個人年金保険まで幅広い保険商品を含みます。
まずは加入している保険をすべて洗い出し、財産分与の対象になるものがないかを確認してください。
1.財産分与の対象になる生命保険を確認する
一部の生命保険は財産分与の対象になります。対象になる生命保険とは、以下のとおり貯蓄タイプのもの。つまり、掛け捨てタイプではない商品です。
<財産分与の対象になる生命保険>
- 解約返戻金のある生命保険
- 満期保険金のある養老保険
- 年金を受け取れる個人年金保険
- 学資金を受け取れる学資保険
- その他、一定の保険金や解約返戻金を受け取れる貯蓄性の高い保険
また、上記の他に貯蓄タイプの損害保険も財産分与の対象になります。積立型の傷害保険や火災保険など損害保険に加入している場合は、それもあわせて財産分与をどうするか話し合いましょう。
2.保険契約を継続するか解約するか決める
財産分与の対象になる生命保険(損害保険を含む)を確認したら、次はその保険契約を継続するか解約するか話し合いましょう。
貯蓄型保険の多くは、長く続けるほど受け取れる保険金や解約返戻金が増えます。短期間で解約すれば、受け取れる保険金や解約返戻金が減ってしまう可能性もあるので要注意です。
「解約して新たに入り直す」と考えるかもしれませんが、たとえば学資保険の場合、子どもの年齢によって加入制限があります。他の生命保険でも、その時点の健康状態や年齢によっては加入できなかったり、保険料が想定よりも高くなったりします。したがって、離婚時に保険を解約するかどうかは慎重に考える必要があります。
なお離婚時に保険を財産分与する方法は、以下のいずれかです。
- 離婚によって保険を解約する:そのときの解約返戻金を2分の1にするなどして、財産分与する
- 離婚後も解約せずにどちらかが保険を継続する場合:離婚時点の解約返戻金相当額を計算し、2分の1を現金で一方に渡すといった方法で財産分与する
このように、離婚時に解約をしなくても保険の財産分与は可能です。悩んだときは保険に詳しい専門家に相談するなどして、冷静な視点で保険の解約・継続を考えてください。
離婚後その1:各保険契約の変更手続き
離婚後は、各保険契約の変更手続きが必要になることが多いです。以下の例を参考に、自身に必要な手続きをすませましょう。
- 保険契約者、受取人、指定代理請求人の変更
- 名義変更
- 住所変更
- 電話番号変更
- 口座変更(保険料の引き落としや保険金受け取り時の指定銀行口座)
- 保険料の支払方法の変更
ここで注意したいポイントは、離婚に伴う「保険契約者」と「受取人」の変更です。貯蓄タイプの生命保険の契約者や受取人を変更することで、保険金・解約返戻金の受け取り時に適用される税金が変わる可能性があります。ただ、生命保険と課税の関係は複雑です。できれば保険に詳しい税理士や税制に詳しいファイナンシャル・プランナーなど、専門家に相談しながら変更手続きを進めていきましょう。
離婚後その2:独身に必要な生命保険の見直し
加入している各保険契約の手続きが終わったら、今度は離婚後に必要な保障を考えましょう。
離婚時は独身になるため、「そもそも保険は不要になるのでは」と思うかもしれません。しかし保険の必要性や最適な保障内容は、離婚後の家族構成や家計の状況、今後のライフプランによって変わります。
たとえば、「離婚前は元配偶者が家計の大黒柱で、自分は専業主婦(夫)だった」というケース。この場合、離婚後は自身が働いて一人で家計を支えていかなければなりません。子どもがいる場合には、病気やケガで働けなくなったときの備えに加えて子どものための備えが必要です。
このように、離婚で家計を支える人が変わるときや扶養家族がいる場合は、保険の見直しが必要になる可能性が高いです。また、離婚後に結婚の予定がなく老後も独身を貫く場合は、一人で老後資金を用意する必要が出てきます。離婚して独身になることで公的年金の受給額が変わる人は多いため、老後資金のこともふまえて保険の見直しをしましょう。
まとめ
離婚後はこの先のライフプランが大きく変わるため、保険を含めたライフプランの見直しをおすすめします。
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