離婚が決まったら、速やかに健康保険の変更手続きを行う必要があります。手続きを怠ると、生活に重大な支障が生じる恐れも。特に、「扶養妻」など配偶者の扶養に入ってる人は要注意です。
そこでこの記事では、「離婚後の健康保険で気を付けるべきポイント」について、さまざまな視点から解説します。
離婚後の健康保険で特に注意が必要な人
離婚後の健康保険で特に注意が必要なのが次の人たちです。
- 離婚前に配偶者の扶養に入っていた人
- 離婚した夫婦の子ども
以上に該当する人は、離婚後に健康保険の未加入期間が生じて生活に深刻な影響が生じる恐れがあります。
配偶者の扶養に入っている人は離婚で健康保険の加入資格を失う
配偶者の扶養に入っている人が離婚すると、その時点で健康保険の加入資格を喪失します。その後速やかに新たな健康保険に加入しないと、健康保険の未加入期間が生じます。
両親の離婚後に子どもが健康保険の加入資格を失うケースもある
両親の離婚後に子どもが健康保険の加入資格を失うケースもあります。
- 例)父親の被扶養者として健康保険に加入する子どもが両親の離婚で母親が扶養者になった時点で健康保険の加入資格を失う
その場合は子どもにも未加入期間が生じるため、速やな対処が必要です。ただし、両親が離婚しても子どもは加入を継続できる健康保険もあるため、まずは加入中の健康保険に問い合わせてみてください。
健康保険未加入者は10割負担で医療費が高額に
健康保険の未加入期間が生じると、以下のような深刻な事態が生じます。
- 医療費が10割負担となる
- 高額療養費制度や子ども医療費助成制度などの対象外となる
上記によって、重い病気やケガでも病院を受診できない可能性が出てきます。
また、「未加入期間がある人が国民健康保険に加入する場合、未加入期間の保険料も納付する必要が生じる」などの事態も起こりえます。そのような事態を回避するためにも、離婚後に必要な健康保険の手続きについて誰もがよく知っておく必要があるのです。
配偶者の扶養に入っていた人が離婚後必要となる健康保険の手続き
配偶者の扶養に入っていた人離婚後に健康保険の加入資格を失ったら、以下の2つの手続きをすぐに行いましょう。
1.配偶者が加入する健康保険から「資格喪失証明書」を発行してもらう
まず、配偶者を通して加入していた健康保険に「資格喪失証明書」を発行してもらうことが必要です。
「資格喪失証明書」は新たな健康保険に加入する時に必要な書類です。加入手続きが終わるまで大事に保管しておきましょう。
2.新たな健康保険への加入手続きを行う
「資格喪失証明書」を受け取ったら、新たな健康保険への加入手続きをすぐ行いましょう。その場合の選択肢は以下の3つです。
① 国民健康保険に加入する
離婚後企業等に就職する人や親族等の扶養に入る人以外は国民健康保険に加入します。
国民健康保険の加入手続きは市区町村役場で受け付けています。健康保険の加入資格を喪失してから14日以内に加入手続きを行いましょう。
加入手続きに必要な書類は、「資格喪失証明書」「世帯全員のマイナンバーカードまたはマイナンバー通知書」「届出者の本人確認書類(マイナンバーカード、免許証など)」です。
② 就職先の健康保険に加入する
離婚後企業等に就職する人は、扶養する子どもと共に就職先の健康保険に加入できます。その場合も加入時に「資格喪失証明書」の提出が必要です。
なお、離婚から就職まで時間がかかる場合はまず国民健康保険に加入し、その後就職先の健康保険に加入し直しましょう。
③ 親族が加入する健康保険の被扶養者になる
親族(親兄弟など)の扶養に入る場合は、その親族が加入する健康保険の被扶養者として加入する方法もあります。その場合も加入時に「資格喪失証明書」の提出が必要です。
離婚後はこれらの手続きを1日も早く行いましょう。それによって多くのデメリットが生じる未加入期間の発生を回避できます。
自分で健康保険に加入する人が離婚後に必要となる健康保険の手続き
現在は個々で健康保険に加入する共働き夫婦が増えています。そのケースで離婚後必要となる健康保険の手続きについても解説します。
サラリーマンが配偶者や子どもを自分の扶養に入れていた場合
この場合に必要な健康保険の手続きは以下のとおりです。
- 配偶者の加入資格喪失の手続きを行い「資格喪失証明書」を受け取る
- 必要に応じて子どもの加入資格喪失の手続きを行い「資格喪失証明書」を受け取る
- 配偶者に「資格喪失証明書」を渡す
- 配偶者や子どもの健康保険証を返却する
- 必要に応じて自分の住所氏名等変更手続きを行う
サラリーマンが離婚後新たに子どもを自分の扶養に入れる場合
配偶者に子どもの健康保険証を返却して資格喪失の手続きを行ってもらい、「資格喪失証明書」を受け取ります。その後、自分が加入する健康保険に「資格喪失証明書」を提出して子どもの加入手続きを行います。
夫婦ともに国民健康保険に加入していた人
夫婦ともに国民健康保険加入者の場合は扶養に関する手続きはありませんが、以下の手続きは必要です。
- 国民健康保険の世帯分離を行う
- 子どもを自分を世帯主とする国民健康保険の世帯員とする(子どもを扶養する場合)
手続きの際は国民健康保険証とマイナンバーカード、本人確認書類などを市町村役場に持参します。
なお、離婚で別の市区町村に転出する場合は、まず転出元の市区町村役場で国民健康保険資格喪失手続きを行い、役場から転出者全員の「資格喪失証明書」を発行してもらいます。
その後、転出先の市区町村役場に「資格喪失証明書」を持参し、世帯全員の国民健康保険加入手続きを行います。
まとめ:離婚後の健康保険の手続きは速やかに
離婚後の健康保険の手続きは数多くあり、離婚時の状況によって手続きが異なる点に注意が必要です。
健康保険の手続きが遅れると困った事態に陥いるため、速やかに手続きを行いましょう。
また、以下の記事では離婚時の財産分与にかかる税金と節税ポイントについて解説しています。あわせてご覧ください。
続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。