社会保険でカバーされていない保障を補うように任意加入の生命保険を選択する姿勢はとても重要です。
社会保険によって保障されているものをしっかりと確認し、社会保険と重複しない商品を選んでいる方は、“効率的な保険選び”をしているといえます。
ところで、任意加入の生命保険を選ぶ前に勤務先の福利厚生制度は確認しているでしょうか?
会社が提供する福利厚生制度は、従業員の生活を充実させ、安心して働ける環境を提供するために用意されている制度です。
任意加入の生命保険と同等以上の保障を受けられるものもあり、社会保険との重複確認にあわせてチェックしておきたいものです。
そこで、今回は“効率的な保険選び”の実現に向けて、事前にチェックしておきたい代表的な福利厚生制度について解説します。
活用できる勤務先の福利厚生(企助)を知ろう
福利厚生制度は会社によって設計が異なるため他社で利用できるものが自社でも使えるとは限りません。
必要最低限の制度しか用意していない会社があれば、任意加入の生命保険に劣らない保障を完備している会社もあります。
また、福利厚生という言葉に含まれる会社からの補助は幅広く、その形式もさまざまです。
会社が全ての費用を負担して従業員が無料で利用できるものだけでなく、会社が制度だけ用意して費用は従業員負担という場合も少なくありません。
ただし、任意加入の生命保険を個人で契約するよりも割安に加入できる「グループ保険(団体加入による保険)」などが含まれている場合もあるので、まずは興味がある福利厚生制度を調べ、同様の保障と考えられる自身の生命保険と比較してみるとよいでしょう。
代表的な福利厚生
福利厚生は保険や財形貯蓄、スポーツ施設の利用権や出張時の手当など、従業員に対する幅広い領域のサービスが含まれています。
今回は「保険」に関わる福利厚生の中から、代表的な制度をピックアップしてご紹介します。
病気・ケガに役立つ福利厚生:
従業員の病気やケガに備える福利厚生として医療保険と同様の保障を受けられるものがあります。
民間の医療保険に加入する前に、まずは福利厚生制度内の保険制度をチェックしてみましょう。
団体医療保険
会社が保険契約者となる医療保険です。
会社が保険料を全額負担する「全員加入型」、従業員自身が保険料を負担する「任意加入型」があります。
任意加入型の場合、個人で任意加入の生命保険に加入する場合よりも保険料が安く設定されるのが一般的です。
なお、保障内容は会社が契約している保険プランの種類に依存するため、必ずしも従業員自身が希望する保障を全てカバーしているとは限りません。
労災上乗せ保険
会社は従業員が就業中に負ったケガや病気などに対する保障として労災保険に加入する義務があります。
保障の範囲は法律で決められているため、従業員が望むほどの保障を受けられない可能性がありますが、法定保障を超えた手厚い保障を行うための福利厚生として、会社が「労災上乗せ保険」に加入している場合があります。
従業員側が任意で加入できる保険ではありませんが、万が一の時に会社がどのような保障を用意してくれるのか、福利厚生の内容を確認しておくとよいでしょう。
就業不能時に役立つ福利厚生:
会社での就業期間中、思わぬトラブルによって働けなくなってしまうことは決して珍しい話ではありません。
就業中の病気やケガに対する保障は健康保険や労災が保障できる一方、保障金額は100%ではなく、職場から離れている間の収入減は避けられないのが現状です。
近年、そうした長期離脱中の従業員の収入を保障する保険商品が注目されています。病気やケガからのスムーズな復帰をサポートする福利厚生があるのか、会社の制度を確認しておきましょう。
団体就業不能保障保険
近年人気を集めている「就業不能保障保険」に会社単位で加入できる保険が「団体就業不能保障保険」です。
会社が保険契約者となり、全員加入型と任意加入型があり、任意加入でも一般的な就業不能保障保険よりも保険料が安めなのは団体医療保険と同様です。
社会保障制度である傷病手当金や休業補償利用は平均賃金の60~80%の支給となるため、目減りした分を団体就業不能保障保険でカバーできるのが理想的です。
本人の死亡時に役立つ福利厚生:
在職中に従業員が亡くなった場合、会社から何らかの金銭が支払われるのが一般的です。
これは法的に義務づけられているわけではなく、あくまで福利厚生の一環として行われています。
また会社も万が一従業員が就業中に死亡する事態に備え、従業員の家族の生活を守るための保険制度を設けている場合があります。
総合福祉団体定期保険
総合福祉団体定期保険は、従業員が死亡または高度障害状態になった際に保険金を受け取れる保険です。
保険契約者は会社であり、保険料の支払いも会社です。
従業員には一切の保険金負担はなく、保険金の受け取りは死亡した従業員の遺族となります。
死亡退職金/弔慰金制度
死亡退職金は、退職給付金制度がある会社の従業員が死亡した際に、それまで積み立てられていた退職金を遺族が受け取れる制度です。
なお、退職給付金制度は全ての会社が設けているわけではありませんので、退職給付金制度がない会社では死亡退職金も受け取れません。
弔慰金制度は、会社が従業員またはその家族が死亡した際に金銭を支払う制度です。
退職給付金制度とは直接関係がありませんので、退職給付金制度がなくても弔慰金制度がある会社もあります。
なお死亡退職金に比べ金額が小さい傾向にあり、多くても10万円程度が相場となっています。
団体保険:
団体保険は総合福祉団体定期保険と同じく従業員が被保険者となる保険です。
ただし従業員が契約者となる任意加入の保険であり保険料は契約者が負担します。
団体加入による割引効果があるので個人で契約するよりも保険料が割安になるのが特徴です。
また最近は、従前からラインナップされている「死亡」や「がん」「傷害」への備えに加えて「三大疾病」や「就業不能」への備えも保障されるなどラインナップが充実されています。
任意で加入する生命保険との重複を避け、少しでも割安な保険料に抑えるためには、先ずはこの「団体保険」をチェックされるようお勧めします。
まとめ
会社の福利厚生の中には、任意加入の生命保険と同等かそれ以上の保障を受けられる制度が含まれている場合があります。
解説したように、その会社に勤めているからこそ”無料”で得られる保障や、個人が任意で加入する生命保険よりも安い保険料で保障を得られるのが最大のメリットです。任意加入の生命保険に加入する前に必ず確認しておくべきでしょう。
本サイトには皆さんのセルフチェックをサポートする様々なメニューがあります。中でも今回の記事に連動してご利用頂きたいのがこちらのメニューです。
- 「公助・企助・自助の順番に考える」(動画)
- 「公助・企助チェックシート」(PDF)
このチェックシートには今回の記事で例示したような代表的な福利厚生制度が記載されています。
それぞれに対応した任意加入の生命保険における代表的な商品を横並びで比較できるようになっていますので、ご自身の加入状況と照合する形でご利用いただけます。
また、あわせて社会保障制度によって得られる保障についても同様に比較可能であり、任意加入の生命保険料を最低限に抑えたい方にはフル活用をおすすめします。
下方「ぜひ、お気軽にご利用いただきたいメニューはこちら」の直下にある黒いボタン(アップデートメニュー)をタップしてメニュー一覧のページにお進みいただき、まずは上記の動画(「公助・企助・自助の順番に考える」)をご視聴ください。動画内でチェックシートの活用方法などをご確認いただけます。
ぜひ、お気軽にご利用いただきたいメニューはこちら:
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