保険金を受け取るためには「契約期間中」である必要があります。
このことは皆さんも“百も承知”であるかとは思いますが、中にはたった1日で数千万円の保険金を手にできなかったという事例があります。
保険契約は約束した保険料を指定された期日までに支払う必要があり、これを逸脱した場合は「失効」と言って契約の効力を失うことになります。
数千万円を受け取ることができなかったという事例は、この「失効」によるものです。
今回は、確実に保険金を受け取るための要件のひとつである「契約期間」に着眼して、どのようなケースで「失効」が発生するのかを解説します。
「契約期間」が切れるタイミングは?
原則として、保険金は「契約期間内」でなければ受け取れません。
契約期間を過ぎると「失効」扱いとなり保険契約の効力が失われてしまい、結果として保障が受けられなくなります。
とはいえ、保険料の払い込みを一度忘れたからといってすぐに失効扱いになるわけではありません。
保険契約を有効に継続させるためには払込期月までに保険料を払い込むことが必要です。
多くの保険では「保険料払込期月」を設定しているほか、払い込みが遅れた場合は払込猶予期間がスタートします。
この払込猶予期間は保険会社によって異なるため注意しましょう。
【払込猶予期間の例】
保険料の 払込回数 |
保険料払込期月 | 保険料の 払込猶予期間 |
月払い | 月ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで | 保険料払込期月の翌月の1日~末日まで |
半年払い | 半年ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで | 保険料払込期月の翌月1日から翌々月の月単位の契約応当日まで(月単位の応当日がない場合は翌々月の末日まで。ただし、契約応当日が2月、6月、11月の各末日の場合には、それぞれ、4月、8月、1月の各末日まで) |
年払い | 年ごとの契約応当日の属する月の1日から末日まで |
なお、保険商品によっては「自動振替貸付」が適用され、契約が継続する場合があります。
自動振替貸付とは、解約返戻金の範囲内で保険会社が保険料を立て替えてくれる仕組みのことです。
意図せず「失効」してしまうケースとは?
「突然に意識を失い、そのまま集中治療室(ICU)へ運ばれてしまった」
自分の身にこんなことが起きてしまったとします。家族や身近な人は保険の存在を知らない場合、保険はどうなってしまうのか考えたことはありますか?
実際、入院中に保険が失効とした話は珍しくありません。下記のような状態である場合は特に注意が必要です。
- 家族が保険に加入していたことを忘れていた
- 家族に告げずに保険に加入していた
- 銀行口座の残高が十分ではない
- 長期間の休務により減給すると、給与天引きの保険料が支払われない可能性がある
保険契約が失効しそうになると通知等により警告してくれる保険会社もありますが、すべての会社が同様に対応してくれるわけではありません。
また、仮に通知が発信されていたとしても、家族がその通知の意味を知らなければ失効を未然に防ぐことは難しくなります。
保険料を口座引き落としにしている場合、残高が十分にあれば当面の間は失効を回避することができそうですが、もし残高不足に陥ってしまった場合は、入院期間中に失効してしまう可能性が十分に考えられます。
本来であれば入院中の場合、退院後には入院給付金や手術給付金を請求したいところですが、それも叶わなくなります。
ましてや、万一にも亡くなってしまった場合には、家族に遺すはずだった数千万円の保険金も受け取れない事態に陥ってしまいます。
確実に保険金を受け取るためには、契約の要件である「保険料の支払い」が必須であり、どのような場合に失効してしまうのか?十分な確認が必用です。
失効した保険を復活させる制度があることをご存じですか?
失効してしまえば保険金は支払われないとお伝えしましたが、実は失効した保険契約を復活させる制度があります。
以下の「復活」と「失効取消」です。
- 復活:3年以内など定められた期間内であれば、契約を元に戻せる手続き。失効期間中の払い込みと告知または審査が必要であり、保険会社によっては所定の利息の支払いが生じる
- 失効取消:失効後の一定期間内であれば、失効した保険の未払い保険料を払い込むことで失効を取り消せる。失効日にさかのぼって保障を継続できる
以前であれば、失効した保険を元に戻す「失効取消」や「復活」の手続きをすることはどの保険会社でも可能でした。
しかし昨今では、コスト効率を図る目的として取り扱いがない保険会社も増えてきています。
保全手続きにかかるコストを削減する事業努力により毎月の保険料が安くなることは利点ですが、保険金の受け取りに支障が出てしまうことも考えられるので注意が必要です。
確実に保険金を受け取るために必要なこととは?
確実に、意図したとおりに保険金を受け取るためには、次の点に留意する必要があります。
- 【手続き】 手続きをしなければ、保険金は受け取れません。
- 【支払事由】 対象となる保障内容でなければ、保険金は受け取れません。
- 【請求権】 請求権のある人が請求しなければ、保険金は受け取れません。
- 【受取人】 お考えと一致した名義になっていなければ、意図したとおりに保険金は受け取れません。
「こんなの当たり前では?」と思われるかもしれませんが、それぞれのトラブル例を確認されるとお分かりのとおり、いずれも知っていて損はない、知らずにいれば思わず損をしてしまう可能性があることばかりです。
下記は、参考までにそれぞれを詳しく解説したコラムになります。お時間が許される際に、ひと通り目を通しておかれることをお勧めします。
おすすめの記事:
そもそも、「請求する権利のある人」が請求しなければ受け取れません!
まとめ
今回は、本来なら受け取れたはずの保険金が受け取れない事態を回避するために「契約期間」の重要性と「保険契約の失効」について解説しました。
当然の認識ではあるものの、改めて留意しておくべき点をご確認いただけたのではないでしょうか?
なお「失効」について、更に詳しく認識しておきたいと思われる方には、こちらのコラムからの情報収集をお勧めします。
下方「続けてご覧になっていただきたい記事はこちら」の直下にある黒いボタンをタップしてご覧ください。
続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:
教えて!失効・復活について知りたい!復活ができない保険もあるってホント?
この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。