現役世代の「私」のお金・健康に関するお役立ち情報

「長期間働けなくなる」状態は急にやってくる… 公的保障はある?いくら受け取れる?

 働けなくなってからでは手遅れ!休業中の生活費をどう確保する?健康であるいま考えておくべきことは?

 

ケガや病気で働けなくなった時の保障はどれくらい出るのか?民間の保険に本当に入るべき人とは?

 

筆者は地方中核病院で勤務する医師です。

病気やケガで困っている患者さんを診察することも多くあります。病気やケガで働けなくなると患者さんにはお金の心配も出てきます。

 

 

突然の病気やケガによる収入減に備える

 

病気やケガをして長期間働けないときに、気になるのは収入です。

治療に専念したいのにお金のことが気になるような状況は避けたいものです。

 

  • 子どもの教育費
  • 住宅ローン返済費
  • 衣食住の生活費
  • 病気やケガの治療費

 

働けないときの生活費を確保しなければいけません。

健康に働けている今こそ考えておきましょう。

病気やケガになったときにご自身が正常な判断ができるかどうかはわかりません。

病気やケガになったあとでは、必要だったとしても保険に入れない可能性があります。

 

 

知っておきたい公的保障

 

業務外の場合 :健康保険

 

  • 傷病手当金 (4日〜1年6ヶ月)
  • 障害年金 (1年6ヶ月以降):障害1級〜3級の場合

 

業務中や通勤中の場合 :労災保険

 

  • 休業(補償)給付金 (4日〜1年6ヶ月)
  • 障害年金 (1年6ヶ月以降):障害1級〜3級の場合
  • 傷病補償/障害補償年金 (1年6ヶ月以降)

 

 

会社員の場合

 

会社員は病気やケガで休業する場合に、健康保険や労災保険から給付金が受け取れます。業務外の場合は健康保険から、業務中や通勤中の場合は労災保険から受給できます。

 

業務外の病気やケガで収入がとだえる場合には、4日〜1年6ヶ月の期間であれば「傷病手当金」を受給できます。支給額は勤務先の普段の給料の3分の2程度で、受給期間は1年6ヶ月です。

それ以降は障害年金を受給できます。

障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金があり、会社員の場合は受給できます。

 

業務中や通勤中のケガで収入がとだえる場合には、4日〜1年6か月の期間であれば「休業 (補償)給付金」を受給できます。支給額は勤務先の普段の給料の8割程度です。

1年6ヶ月が経過した後は前述の障害年金と併せて傷病補償年金または障害補償年金を受給できます。1年6ヶ月時点で障害がない場合は傷病補償年金、障害が残る場合は障害補償年金を受給できます。

障害1から2級の障害が残る場合には、障害年金と障害補償年金を受給するため、元々の給料より計算上、受給額が多くなってしまうことがあります。その場合は、労災保険の傷病/障害補償年金が調整されます。(障害等級1級とは、両上肢もしくは両下肢の機能に著しい障害を有するものなどが該当します。)

 

障害の程度は日本年金機構の「障害等級表」に詳細に記載がありますので、ぜひ参考にしてください。

 

例えば会社員のケースを想定してみると

平均年収400万円で配偶者と子ども1人の世帯で勤続年数10年の場合

受給できる障害年金は障害基礎年金と障害厚生年金です。

※平均年収の計算に残業代は含まれないので注意しましょう。

 

 

(障害基礎年金) + (障害厚生年金)

 

  • 障害1級:1,199,625 + 2,109,250 = 3,308,875円
  • 障害2級:1,004,600 + 1,777,200 = 2,781,800円
  • 障害3級:0 +585,100 = 585,100円

 

業務上の病気やケガであれば、これに傷病補償年金または障害補償年金が追加されます。

合計の受給額が健康保険と労災保険を合わせたときに、これまでの収入額を上回る場合は労災保険からの受給額が調整されます。

 

 

自営業やフリーランスの場合社員の場合

 

自営業やフリーランスの場合は公的保障が公務員や会社員に比べて少ないです。

労災保険や厚生年金に加入していないため、受給できるのは障害基礎年金のみです。

これは配偶者や子どもの人数のみで計算されます。

 

 

 

 

 

民間の保険が必要な人をケースごとに考える

上述したように公的保障は会社員や公務員に手厚く、自営業やフリーランスの場合は少ないです。自営業やフリーランスで、特に十分な貯金がない場合は民間の保険が必要になる可能性が高いことを念頭に置いておきましょう。

 

民間の保険にはいろいろな種類があります。例を挙げると

 

  • 生命保険 (死亡保障)
  • 医療保険
  • 就業不能保険

 

などが代表的で、さまざまな種類の商品があります。

 

独身、子育て中の人、老年 という3つのケースに分けて必要な保険を考えて行きたいと思います。

 

 

ケース1【独身】

 

独身の場合は

 

  • 就業不能保険
  • (医療保険)

 

これらは貯金額などの状況によって検討したい保険です。以下に解説していきます。

 

独身で養う家族がいない場合、死後に家族にお金を残すことを目的にしている生命保険・死亡保険は必要ないでしょう。

独身の場合は、働けなくなった場合の収入をカバーする「就業不能保険」を検討に入れてみると良いでしょう。一定の免責期間を超えて働けない状態になったときに保険金を受け取れる保険です。業務上、業務外は問いません。入院や医師の指示による自宅療養中も保険金が支払われます。

保険期間はさまざまで

 

  • 3年
  • 5年
  • それ以上の長期契約

 

などがあります。

ただし、会社員であれば傷病手当金(3分の2程度)や休業補償給付金(8割程度)が受給できます。それを踏まえて、必要な保障額を検討するべきです。

 

医療保険は年齢が若い場合は必要がないことが多いです。国民皆保険制度で治療費は3割で、高額療養費制度で負担に上限があります。加えて、年齢が若い人は長期間の治療が必要になるような疾病にかかるリスクが極めて小さいです。

ただ、貯金の少ない自営業者・フリーランスの方は検討してもいいかもしれません。

加えて、保険適用外の治療を受ける場合は、全額自己負担になりますので注意が必要です。

 

 

ケース2【結婚して子育て中の人】

 

結婚して子育て中の人は

 

  • 生命保険
  • 就業保障保険
  • 医療保険

 

これらは貯金額などの状況によって検討したい保険です。

 

子育て中の家庭は働き手の収入が途絶えることで、困窮するリスクが高まります。

 

  1. 死亡する場合
  2. 長期間働けない場合

 

に備える必要があります。

 

死亡する場合:

令和2年の簡易生命表によると、40歳男性の1000人に約1人が亡くなります。(女性は約0.6人)万が一のことを考えて、死亡に備えた生命保険に入るのであれば、子供が生まれてから加入しましょう。子供が成長するまでの期間は、保険に入っておくといいでしょう。

注意点として、住宅ローンを借りてマイホームを購入している場合は団体信用生命保険でローンが完済されます。そのような場合には住居費が不要になるため保障額は少なめでも良いかもしれません。また、残された家族には遺族年金がありますのでこちらも確認しておきましょう。

 

長期間働けない場合:

死亡よりリスクが大きいのは、長期間働けなくなった場合でしょう。住宅ローンはそのまま払い続けなければなりません。

公的保障に乏しい自営業やフリーランスの方は特に、就業不能保険を検討したいものです。

会社員や公務員も公的保障が手厚いですが、必要な教育費に応じて就業不能保険を検討してもいいと思います。

ただし、子どもが成長し教育費などの支払いが必要なくなれば、加入している保険を一度見直しましょう。必要保障額は家族の状況に応じて変わるため、定期的に見直すことが重要です。

また、この年代から長期間の治療が必要な疾患にかかる人も増加します。十分な貯金がない場合には医療保険を検討しましょう。

 

 

ケース3【老年の人】

 

老年の人は

 

  • 医療保険

 

を検討しましょう。特に貯蓄が不十分な場合は検討する必要があります。

 

働いている間の保障である就業不能保険や死亡保障は不要です。

病気やケガには公的保障と貯蓄で備えることが基本です。また70-74歳では高齢者医療制度により医療費は2割負担、75歳以上では1割負担となることも知っておきましょう。もちろん、高額療養費制度もあります。

 

 

まとめ:収入が途絶えたときの手段を確認しましょう

 

収入が途絶えたときの手段は確保できていますか?

「まさかこんなはずは……」と途方にくれる患者さんも多くいらっしゃいます。

 

会社員や公務員の場合は手厚い公的保障があります。必要のない保険に加入して保険料を支払うのであれば、運用や貯金に回した方が懸命です。

自営業やフリーランスの場合は障害基礎年金は受給できますが、労災保険からの補償や障害厚生年金がありません。公的保障は万全とはいえず、貯金が少ない場合は収入が途絶えた場合の不安が残ります。

 

貯金であれば生活費2年分程度を準備したいです。民間の保険を活用するとすれば就業不能保険や医療保険、生命保険を上手に活用していきましょう。

死亡した場合には経済的に困窮することがありません。働いている世代はそれ以上に働けないことによる経済的なリスクに注目してみましょう。

 

 

エピローグ もし、このようにお考えなら

今回のコラムはいかがでしたか?既にご存じの情報もあれば、「そうなんだ」「知らなかった」といった情報もあったのではないでしょうか?

 

昨今、働けない状態に陥った場合の保障が注目されています。感染症などの場合、急に明日から仕事ができなくなることも考えられ、治療費などの出費と収入ダウンの“Wパンチ”に見舞われる可能性もあります。

 

そんなときに頼りたいのが社会保障制度や勤務先の福利厚生制度ですが、最近は、「自分が利用できる制度はにはどんなものがあるのか?」を事前に情報収集されている方が増え始めているようです。

 

「収支のバランスが崩れた場合はどうする?」「ライフプランにはどんな影響がある?」などの対応策を具体的にイメージできないという方は、下方の「関連するおすすめ記事」の中から知りたいと思われるコラムを選択して、情報をアップデートしてみるのはいかがでしょうか?

 

また、今回ご確認いただいた情報をもとに「自分に合った具体的な対応策を考えておきたい」と思われる場合は、直下(黒いボタン)の 「ぜひ、お気軽にご利用いただきたいメニューはこちら」 をタップしてください。皆さんのセルフチェックをサポートするメニューをご確認いただけます。

 

ぜひ、お気軽にご利用いただきたいメニューはこちら:

 

アップデートメニュー

 

 

今回の記事に関連するおすすめの記事はこちら:

 

 

 

この記事は役に立ちましたか?

もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

関連記事