年金は⤵介護の自己負担は⤴ “今のまま”なワケがないのがよくわかる「3年ごとの介護法改正」に注目!
超高齢化社会が進む日本にとって、なくてはならない制度の一つとして介護保険法があります。この制度は加齢や病気によって要介護状態になった場合、必要とする介護や支援に対してかかる費用の一部が給付され、住み慣れた地域で自立した日常生活を継続できるよう支援するものです。
でも実は3年ごとに改正されていることをご存知でしたか?
介護保険法の仕組みについて
介護保険法は、高齢者の介護を社会全体で支えることを目的に2000年4月に施行されました。制定の背景には、高齢化の進行に伴う高齢者人口の増加や、核家族化による家族の介護問題の増加がありました。介護保険法の制定以前にあった老人福祉法や老人保健法だけでは、必要とされる介護や支援に十分に対応できなくなってしまったのです。
では、高齢化などによる問題を解決するために制定された介護保険法は、どのような仕組みで成り立っているのでしょうか。
介護保険法では、社会保険方式が導入されています。40歳以上の被保険者が保険料を納めることで、要介護認定を受けた際には金銭的な負担を抑えながら介護サービスなどの保険給付を受けることができます。介護保険法の運営は、この介護保険料と、国・都道府県・市町村の公費で成り立っています。
介護保険法が改正され続けるのはなぜ?
介護保険法は制定された後、時代や社会のニーズに合わせて3年ごとに改正されてきました。ますます進む少子高齢化による介護財政の圧迫を改善するためには、介護サービス利用料金や、自己負担額を見直す必要があるのです。
例えば、介護サービスを利用する時の自己負担額は、2000年は全員が1割でしたが、2015年には一定以上の所得があると2割負担になり、2018年には介護サービスを利用する高所得者の自己負担割合が3割へと引き上げられています。また2021年には高額介護サービス支給制度の上限が見直され、地域包括ケアシステムの強化や福祉用具のレンタル費の適正化が行われました。今後は、介護サービス利用が高まる一方で、介護に関わる人材不足や、財源不足に陥ることがますます懸念されています。
介護保険制度とは?
介護保険法に基づいた介護保険制度では、どのようなことが可能になっているのでしょうか。
まず、介護保険の対象者には次の2種類があります。
- 第1号被保険者:65歳以上の高齢者
- 第2号被保険者:40歳以上65歳未満で健保組合などの医療保険に加入している方
介護保険で利用できるサービスには大きく、居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスの3種類があります。この3種類の中には、さまざまな介護サービスの種類があり、利用者は自身でそれらを選択し、1~3割の自己負担で利用することができます。
このような介護保険制度の利用に対して支援をする福祉機関が、地域包括支援というものです。ここでは保健師、社会福祉士などの専門職員が、関係機関と連携しながら地域住民を支援します。家族の介護が必要になった際は、まず地域包括支援センターへ相談することをお勧めします。
2024年の介護保険法改正について
2024年には次回の介護保険法改正が控えています。現在、介護保険サービスを利用する90%以上の方は負担割合が1割となっていますが、次回の改正では原則2割にすること、その2割負担となる対象範囲の拡大も検討されています。
介護職員の負担軽減や、介護業務の効率化を図ることも議論されています。現在、介護施設の人員配置基準が入居者3名に対して職員1名であるのを、4名に対し1名へと軽減することが検討されています。また、人員配置基準の軽減を行う上で、介護ロボットなどのテクノロジーの活用が期待されていますが、実際の介護現場においてどのように効率化が進むのかなど検証がなされた上で、慎重に導入を進める必要があるでしょう。
このように、時代の流れに合わせて改正が行われる介護保険法ですが、改正のたびに負担が増加するなど高齢者やその家族への負担は小さくありません。ですが、介護保険法の改正は超高齢社会の道を歩む日本にとって必要なものです。介護保険サービスを最大限に活用するためにも、どのような改正が行われたのか情報に注目し、理解しておくことが大切です。
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