紀元前221年、当時7国で争っていた中国を初めて統一した秦の始皇帝は晩年「不老不死」を追い求め、人体にとって有害な水銀を不老不死の薬と信じて中毒死しました。
秦の始皇帝ほどでは無いかもしれませんが、人は皆「健康でいたい、老けたくない」という思いを抱きながら生活しています。
しかし、残念ながら現代の医療を持ってしても人間は90年近くしか生きられず、老化には抗えないのです。
老化の原因は様々ですが、その1つに腎臓の機能低下が挙げられます。
腎臓は体内に不要なものが溜まれば尿から排出し、必要なものが不足すれば尿から再吸収して、体内の環境を常に一定に保つように働いています。
しかし、腎臓の機能が低下すると体内の環境を一定に保てなくなり、徐々に老化が進行してしまいます。
腎機能を低下させる原因として塩分や糖分が注目されていますが、近年食生活の欧米化に伴い摂取する機会が増えた「リン」も人体に悪影響を与えていることが注目されています。
そこで本書では、老化を加速させている物質「リン」が人体に与える影響や、その上で我々が取るべき対策についても詳しく解説していきます。
<長生きがしたい!どうやって老化を食い止める?>
ここ最近ではアンチエイジングという言葉を良く耳にするようになりました。
また日本では年間3万人近くが自殺していますが、その原因は経済的困難でも家庭問題でもなく、健康問題が最も多いです。
これは多くの人が「老けたくない」「健康でいたい」と考えているからです。
しかし、医療の発達により年々平均寿命は伸びていますが、それでも約90年近くで寿命を迎えてしまいますし、どんなにお金を掛けても人間には必ず老化が訪れます。
なぜ、人間は老化してしまうのでしょうか?
今まで「体の大きさが老化や寿命と相関する」と考えられてきました。
確かに犬や猫には当てはまりますが、人間よりも圧倒的に大きい象の寿命は約70年、野生のクマは20年も生きられません。
つまり、体のサイズと老化スピードや寿命には相関関係が無かったのです。
その一方で、血液中のリン濃度と寿命には綺麗な相関関係があったのです。
興味深い事に、血中リン濃度の高いマウスでは毛並みが悪く、体が小さく、背骨が曲がり、老化に似た症状を次々と発症して、正常なマウスに比べて早死にしてしまうという報告もあります。
つまり、人体の老化はリンによって加速させられている可能性が高いのです!
<リン濃度を調整している腎臓の役割とは?>
摂取された食べ物の中に含まれるリンは腸管から吸収され血管内に入り、その多くは細胞の中に入って、それぞれの細胞の機能維持のために働きます。
また骨はリンとカルシウムによって作られていて、骨の形成のためにもリンは必要であり、リン濃度は低すぎても高すぎてもいけません。
では、血液中のリン濃度はどのように調整されているのでしょうか?
結論から言えば、リン濃度は主に腎臓によって調整されています。
腎臓は血液を濾過して尿を作る際、体内に含まれる余分な成分を尿中に排出し、逆に体内で不足する必要成分を尿から再吸収して、体内の環境を常に一定に保つように働いています。
例えば、水分を摂取しすぎれば多量の尿で水分を排出し、カルシウムが不足すれば尿中のカルシウムを再吸収して血液内に取り込むのです。
まさに血液の濾過装置のような役割を担っています。
血液中のリン濃度が高くなった場合、腎臓がそれを感知し尿中に積極的にリンを排出する事でリン濃度は調整されています。
しかし、同じ濾過機能を持つコーヒーのフィルターは、フィルターを交換すれば何度でも使えますが、腎臓の濾過フィルターは加齢とともに徐々に機能を落としてしまい交換することもできません。
特に、高血圧や糖尿病などの生活習慣病によって腎臓のフィルター機能は破壊されていきます。
つまり、高血圧や糖尿病の進行により腎臓の濾過機能が破壊されると、リン濃度を適切に調整できなくなってしまいます。
<腎機能低下によるリン濃度上昇が人体に与える影響とは?>
腎機能の低下によって、本来腎臓から排出していたカリウムやリンや水分が排出できなくなり、再吸収していたカルシウムやナトリウムが再吸収できなくなります。
血液中のカルシウムを再吸収できなくなるため、カルシウム濃度が低下し、代わりに人体のある部分からカルシウムを得ようとします。
ご存知の通り、カルシウムがたくさん含まれているのは「骨」です。
骨を分解することで血液中のカルシウム濃度を無理やり正常化させようとするため、腎機能低下は骨の破壊を招いてしまうのです。
さらに恐ろしいことに、骨はリンとカルシウムで形成されているため、骨を破壊する過程でリン濃度まで上昇してしまい、ただでさえ排出できないリンがどんどん血液中に溜まっていく負のスパライルに陥ってしまいます。
行き場を失ったリンは、血液中のカルシウムと結合して血管壁で結晶化してしまい、最終的に動脈硬化を招きます。
石灰化してガチガチに硬くなった血管は、心筋梗塞や脳梗塞の原因になってしまうため非常に危険です。
腎機能が正常な場合、それ以上の腎機能の低下を招かないように、高血圧や糖尿病、高脂血症や高尿酸血症を予防する事で、腎臓のフィルター機能を守っていく必要があります。
では、一度腎機能が低下してしまった場合、我々はどう対策すべきでしょうか?
- リンの過剰摂取を避ける
リンは塩分や糖分と異なり無味無臭なので摂取量を自覚しにくく、控えるのが難しい成分です。
そこで、食品に含まれるリンについてもう少し細かく説明します。
リンは、肉や魚介類、穀物、野菜、乳製品など、毎日のように食べているほとんどの食品に含まれています。
また食品添加物に入っているリンを加えると、少なくとも「必要量の約3倍」を摂取していると考えられます。
リンには「有機リン」と「無機リン」の2種類があり、有機リンは肉類、魚介類、卵、乳製品、野菜、穀物などに含まれていますが、体内への吸収率が低いため意識的な節制は必要ありません。
その一方で、無機リンは食品の防腐剤として使用されているため、ソーセージやハム、ベーコンなどの加工肉、干物や練り物、スナック菓子、インスタント麺、ファストフードなど、ほとんどの加工食品に含まれています。
無機リンの場合、体内への吸収率が高いため、意識的に節制すべきです。
食品表示ラベルに「リン酸塩」という記載があれば、リンが入っていることが分かりますが、何種類もの添加物を一括名で表示することも許されているため、リンという言葉が記載されていないことも多いです。
リンが使用されている可能性が高い添加物の例としては、「かんすい」「酸味料」「香料」「乳化剤」「pH調整剤」「強化剤」「結着剤」などがあります。
- 運動を行う
血液中のリン濃度を下げるためには、運動も効果的です。
運動によって骨に負荷が掛かる、もしくは太陽光によって体内のビタミンが活性化されると、血液中のリンとカルシウムから新たに骨が形成されます。
つまり、血液中のリンを骨に封じ込めるように働くため、骨は丈夫になり、血管の石灰化も免れることができます。
まとめ
つい食べたくなるジャンクフードや加工食品ですが、中に含まれる塩分や油分は生活習慣病を進行させ、保存料であるリンは血管の石灰化を進行させてしまい、心筋梗塞や脳梗塞を来す可能性があります。
食生活を見直し、定期的な運動を行うことが予防の観点から非常に重要です。
また腎機能は一度低下すれば改善しないため、不安がある方は民間保険に加入し備えておくことも1つの選択肢だと思います。
【エピローグ】 もし、このようにお考えなら
今回の記事はいかがでしたか?既にご存じの情報もあれば、「そうなんだ」「知らなかった」といった情報もあったのではないでしょうか?
中でも、心疾患や脳血管疾患の内訳となる“病名(種類)”については、「混乱してしまう」「わかりにくい」といった声が多く聴かれます。
・ 【心疾患】 心筋梗塞と急性心筋梗塞の違いは? 狭心症とは何が違うの?
・ 【脳血管疾患】 脳卒中と脳梗塞と脳出血の違いが分からない⁉
またこの違いは、ご加入されている生命保険の「保障範囲の違い」にも直結し、場合によってはこのように「受け取れる」「受け取れない」の違いになってしまうことも考えられます。
・自身の認識:「脳血管疾患」と診断されれば受け取れると思っていた。
・実際の保障範囲:「脳卒中」の場合のみ受け取れる保障内容だった。
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