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「上皮内がん」 って、普通の 「がん」 と何か違うの?

 

ガンと一言で言っても、厳密には「悪性新生物」と「上皮内新生物」の2つに分類されることを皆さんはご存知でしょうか?

あくまで同じガン細胞が発生していることに違いはありませんが、浸潤の度合いが異なるためこのように使い分けられています。

 

上皮内新生物であればガンが上皮内に留まるため、早期に対応すれば転移や再発の可能性は限りなく低くなります。

逆に、対応が遅れ悪性新生物に移行してしまえば、ガンは上皮内に留まらず転移や再発の可能性が高まります。

数あるガンの中でも、統計学的に男性では膀胱ガンが、女性では子宮頸ガンが上皮内新生物で発見されることが多いと言われています。

 

中でも、子宮頸ガンはヒトパピローマウイルス(Human Papilloma virus: HPV)の性感染に伴う発症であることが多く、20代から急速に発症率も増加します。

 

いかに上皮内新生物で発見されることが多いといえど、発見が遅れ進行すれば子宮を手術する可能性もあり、場合によっては妊孕性に多大な影響が出る可能性もあります。

 

他のガンと異なり性交渉に伴う感染による発ガンであるため、正しい知識や情報を持ちさえすれば感染や発症を防ぐことができます。

 

そこで本書では、上皮内ガンについて解説するとともに、特に子宮頸ガンに対しての取るべき対策をご紹介します。

<表層のガン、上皮内新生物とは?>

 

 

正常な細胞が破壊されると、同じ組織の細胞が自身の遺伝子情報を元に、全く同じ機能や形状の細胞を複製します。

これを細胞分裂と言い、いわばコピーされた細胞で補完するわけです。

 

しかし、長期間の損傷が続くと正常細胞の遺伝子に傷が付いてしまい、それがコピーされると正常とは異なる細胞、つまりガン細胞が発生するのです。

 

では、このガン細胞は人体のどこに発生するのでしょうか?

結論から言えば「体内のどこにでもできる」というのが答えですが、前述したように発ガンには長期的な損傷による遺伝子の異常が関わっているため、実際にはガンの発生しやすい部位には偏りがあります。

 

例えば胃ガンを例に挙げてみましょう。

胃の層構造は、食べ物が通過する内腔側から順に、粘膜上皮、基底板、粘膜層、粘膜筋板、粘膜下層、筋層、漿膜となっています。

 

皆さんのイメージする一般的な胃ガンであれば、食事の塩分によって胃の粘膜上皮が損傷され発ガンするため、胃の中でも内腔側の粘膜上皮から発生することがほとんどです。

 

しかし、同じ胃にできるガンでもGISTと呼ばれるガンは、胃の筋層から急に発ガンするタイプのガンであり、いわゆる胃ガンとは異なります。

 

つまり同じ胃に発生するガンでも、一般的な胃ガンとGISTでは発生する層が異なり、また塩分という発症要因がある一般的な胃ガンの方が当然発症頻度も高くなります。

 

これは胃に限った話ではなく、多くの組織はこう言った層構造によって成り立っていて、ガンが粘膜上皮に留まるものを上皮内新生物、基底板を越えて浸潤するものを悪性新生物と区別されています。

上皮内新生物は悪性新生物と違い、基底板を超えずに上皮内に留まるガンであるため、当然周囲組織に浸潤しません。

また基底板よりも外側の粘膜下層には血管やリンパ管が豊富に存在しているため、悪性新生物の場合は血行性転移やリンパ性転移のリスクが高くなりますが、上皮内新生物であれば転移の可能性はほとんどありません。

 

また悪性新生物の場合、ガンが進行すると徐々に深層に浸潤し、筋層を超えて最も外側の漿膜まで成長すると、発症した組織に留まらず周囲の組織にまで浸潤、もしくは播種します。

播種とは、成長した悪性新生物が胸腔や腹腔に飛び散ることを指します。

 

仮にガンを切除したとしても、悪性新生物の場合より深層まで浸潤しているため切除しきれずに再発もしくは転移する恐れがあります。

しかし、上皮内新生物では初回の治療でしっかりと切除すれば再発の可能性も非常に低くなります。

 

これらの特徴からも分かる通り、上皮内新生物のうちに治療することが健康において非常に重要なのです。

 

国立がん研究センター「全国がん罹患モニタリング集計2015年罹患数・率報告」のデータによれば、ガンの中で上皮内新生物と診断された人の割合は、全部位の平均で10.1%、悪性新生物の割合は78.9%であり、データ上は悪性新生物として発見される割合が非常に高いです。

 

しかし、その一方で上皮内新生物の割合が高いガンもあり、男性では膀胱ガンが44.2%、女性では子宮頸ガンが65.1%でした。

特に子宮頸ガンは上皮内ガンとして発見される割合の方が高く、早期に治療すれば完治可能なガンであるため、若年女性にこそ正しい知識と認識を持った対応が求められます。

<子宮頸ガンとは一体どんなガンなのか?>

 

 

子宮頸ガンとは子宮の入り口付近に当たる頸部に発症するガンのことであり、HPVの感染を契機に発症するガンです。

2018年の罹患者数は1万人を超え、罹患者数や死亡者数は高齢化の影響を除いても増加傾向にあります。

また一般的なガンは中高年での発症が多いですが、子宮頸ガン最大の特徴は20代から急速に罹患率が増加する点です。

 

子宮頸ガンの原因はHPVの性感染による、子宮頸部の細胞の遺伝子異常がほとんどだと考えられています。

またHPVには100種類以上の型が存在し、ハイリスク型(16,33,52,58型など)とローリスク型(6,11型など)に分けられます。

 

子宮頚ガンと診断された場合には、子宮全摘術もしくは放射線治療が治療の原則ですが、早期ガンで妊娠を強く希望される場合には円錐切除術やレーザー治療などの子宮温存手術が適応になる事もあります。

 

残念ながら進行ガンで発見された場合は子宮全摘術を受けることになるため、その後の妊娠や出産は望めず、命だけでなく妊孕性にも大きな影響を与えかねません。

つまり、数あるガンの中でも、より早期から対策を講じておくべきガンなのです。

 

<子宮頸ガンに対して取るべき対応策とは?>

 

 

  • 定期的な検診受診

 

子宮頸ガン初期には不正出血や性交時出血を認める事もありますが、比較的無症状である事も多いため、ガン検診で発見される方も多いです。

 

20歳以上で発症率が急増するため、日本では子宮頸ガンの検診は20歳以上の女性で2年に1度、保険適応で検査できます。

極力ガン検診を受診して早期発見することが重要です。

 

  • 民間のガン保険に加入する

 

民間のガン保険には、悪性新生物に対する保障に対して上皮内新生物に対する保障が薄いことが多いです。

場合によっては、上皮内新生物に対する保障が一切無いものもあります。

 

特に女性では、子宮頚ガンの罹患率は年々上昇しており、かつ上皮内新生物で発見されることが多いため、上皮内新生物が悪性新生物と同等の保障を受けられるような保険を、極力早期から選んでおくべきです。

 

  • HPVワクチンを接種する

 

日本では小学6年性から高校1年性までの女児がHPVワクチンを定期予防接種として無料で接種でき、子宮頚ガンの原因となるHPVの約6-7割を予防することができます。

また近年では新しいHPVワクチンも開発されており、注目度が増しています。

 

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